昨日、宇部市個人情報保護対策審議会が開かれ、私は傍聴しました。
議題は、「自衛官募集に係る個人情報の外部提供について」です。
久保田市長から審議会に意見照会された内容は以下の通りです。
「防衛大臣及び自衛隊山口地方協力本部長から、自衛官及び自衛官候補生の募集事務で利用することを目的として自衛隊法第97条第1項及び自衛隊法施行令第120条の規定に基づく、募集対象者情報(当該年度に高校3年生に相当する年齢の者に係る氏名、生年月日、男女の別、住所)の資料提供要請に対して、宇部市個人情報保護条例第9条の規定に基づく外部提供に該当するか意見照会をする。」
宇部市個人情報保護条例9条は、「実施機関が保有している個人情報は、次に掲げる場合を除くほか外部へ提供してはならない。」とあり次に例外規定が設けられています。
①法令に定めがあるとき②市民の福祉の向上又は公益上の必要があり、かつ、市民の基本的人権を侵害するおそれがないと認められるとき
同条例施行規則に、9条2号に該当する場合とはとして次の規則が定められています。
「当該利用し、又は提供することについて相当な理由があり、」
現在、宇部市は、自衛隊の要請に対して、文書の閲覧を認めています。
その理由について市は、「『自衛隊募集事務は、住民基本台帳法第11条に規定する法令で定める事務の遂行のために必要である場合に該当する』と国が通知で明らかにしたところである。よって、9条1号に則り、閲覧を認めている」と答えました。
4月3日、防衛大臣は、宇部市長に対し、「募集対象者情報の紙媒体、電子媒体での提出をお願いします。」と依頼してきました。
防衛省が法的根拠として示しているのが、自衛隊法施行令第120条「防衛大臣は、自衛隊の募集に関し必要であると認められるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出をもとめることができる」です。
審議会は、防衛省が求める紙媒体・電子媒体での情報提供が、市条例9条1号に該当するかどうか審議されました。
自衛隊法施行令120条は、「大臣は市長に資料の提出をもとめることができる」と定められているが、市長が大臣に資料を提出しなければならない「明確な義務」が定められている訳ではないことが議論されました。
審議会は、紙媒体・電子媒体での情報提供の根拠を自衛隊法施行令120条に求めることは脆弱であり、今回の防衛省からの要請は、市条例9条1号に該当するとは言えないとの結論が出されました。
審議会は、今回の要請が、市条例9条2号に該当するかが審議されました。
宇部市は、防衛省に、現在、閲覧を認めている。自衛隊員募集に対し、宇部市が紙媒体・電子媒体まで提出しなければならないという市条例施行規則2条4号に定める「相当な理由」があるとはいいがたい。よって、市条例9条2号の「公益上必要がある」とは言い難いとの議論がなされました。
審議会は、防衛省からの今回の要請は、市条例9条1号の「法令に定めがある」事案ではなく、市条例9条2号の「公益上必要な場合」であるとも言い難いものであるので、「紙媒体・電子媒体での情報提供は行わない」との結論となりました。
昨日の午前中には、総がかり行動うべ実行委員会ら3団体は、市長に、「紙媒体・電子媒体などでの名簿提供は行わないよう」求めました。また、審議会傍聴にも私を含め多くの市民が参加しました。
審議会は、賢明な判断が行われたものと私は感じています。
宇部市は、審議会の結論を重く受け止めて、防衛省に「紙媒体・電子媒体での情報提供」は行うべきではありません。
自衛隊への個人情報提供問題について、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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