昨日のしんぶん赤旗日刊紙に、映画評論家の上島晴彦さんが「コミック 山本おさむ著『赤狩り1』によせて」という小論を寄せていました。
ハリウッドの赤狩りで、ブラックリストに載った脚本家のダルトン・トランボ氏。偽名で「ローマの休日」の脚本を担当します。
「ローマの休日」の脚本がドナルド・トランボ氏であると映画のエンドロールに流れるクレジットが書き加えられたのは、映画の製作から60年近く経った2011年でした。
上島さんは、山本おさむさんの「赤狩り」の中で、「ローマの休日」の撮影現場で助監督として働くレスター・コーニッグについて次のように書いています。
「実はここで助監督として働くレスターは、第二次世界大戦中に監督ウィリアム・ワイラーと知り合って以来、彼の有能なアシスタントとして戦後ワイラー作品お支えた男。」「本当なら『ローマの休日』も共同製作者の地位を得ていてもおかしくないのだが、そうはならなかった。この一件のてん末は本書続巻で語られるだろう。」
コミック 山本おさむ著「赤狩り」の続巻の中でのレスターに注目していきます。
上島さんは、この小論の最後に、「ハリウッドを追放された人々が、そのキャリアの挫折を痛快なやり方で挽回する数々の歴史的エピソードは時に映画そのものよりも劇的なことがある。」と語っています。
今、アメリカ映画「トランボ ハリウッドで最も嫌われた男」(以下トランボ)の原作本であるブルース・クック著手嶋由美子訳「トランボ ハリウッドで最も嫌われた男」を読んでいます。
この本は、1977年、トランボが亡くなった直後に刊行されました。
数えきれないほどの「もし」に導かれ、映画「トランボ」が製作されました。
更に、数えきれない「もし」に導かれ、2016年に邦訳本「トランボ」が刊行されました。
ブルース・クックは、生前のトランボは当然のこと、ハリウッドで赤狩りにあった多くの方にインタビューを行い、本書を書いています。
本書冒頭に、脚本家のマイケル・ウィルソンのインタビューが掲載されています。
自分と比較しトランボの仕事をマイケルはこう述べています。
「貧しかったころを忘れていないんだろう。ブラックリストの時代のことじゃない。もっと遠き昔のことだよ。その点、私はトランボよりも安穏とした少年時代と青年時代を送った。だから、私にはあそこまでの野心もなかったし、もっと・・・・そう、創造的怠惰のようなものに傾いていた。」
トランボは赤狩りを受けた人々のリーダー的存在だったと書いてあります。
「トランボは先頭に立ってブラックリストに戦いを挑み、戦略を示し、仲間たちの影の代弁者となって記事や手紙を書いたのだ。ブラックリストはただ終わったのではない。周到に計画され、大胆に実行された組織的活動であり、トランボはその司令官だった。」
山本おさむさんのコミック「赤狩り」を契機に、日本で、ハリウッドの赤狩りに関連した書籍の出版・再版が行われています。
トランボをはじめ、ブラックリストに乗りながら、時代とたたかい続けた人々から大いに学びたいと思います。
今年に入り、ビックコミックオリジナルの発売日が楽しみになりました。
とにもかくにも、山本おさむさんの「赤狩り」の行方が楽しみです。
「赤狩り」ファンの皆さん感想をお聞かせ下さい。
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