議員日誌

祭りが終わってから

 いまから150年前の1867年9月、マルクスが、その生涯をかけた労作「資本論」第一巻を刊行しました。

 今年は、「資本論」刊行150年の年です。しんぶん赤旗日刊紙に、社会科学研究所所長の不破哲三さんが、「『資本論』刊行150年寄せて」という論文が掲載されています。

 不破さんは、「現在、世界の資本主義は、マルクスが命名して以来の150年の歴史のなかでも、最も深刻だといえる危機と矛盾のなかにあります。」と指摘しています。

 資本論の中に「資本主義社会では、『社会的理性』はいつも『祭りが終わってから』はたらく」という文章があります。

 この言葉は、利潤第一主義を行動の原理とする理性的な力をもたないことを、痛烈に批判したものです。

 不破さんこの言葉を、「この批判は、市場の制限など無視して競争で生産拡大の道を進み、いつまでも恐慌という周期的災害から逃れられないと資本主義の体質に向けられた言葉」だと指摘し「21世紀を迎えた今日、マルクスの告発は、いちだんと深刻な意味を持っています。」として、不破さんは、21世紀の資本主義の体質を如実に示した例として、「原発問題」と「地球温暖化」問題を取り上げています。

 原発問題で不破さんは、「そもそも原発とは、原子力潜水艦という軍事上の要求から開発された原子炉を、安全性の保障もなしに民間向けに転用したものでした。この危険なエネルギー源を大規模に平時に国民生活に取り入れたこと自体、『社会的理性』の存在を疑わせる」と指摘しています。

 原発は、災害の危険だけではなく、危険な放射性廃棄物を大量に生みだします。

 不破さんは、「おそらく処理経費を入れると、原発は経済的どころか、最もコスト高のエネルギーだという結論が出るのではないでしょうか。ここには、『社会的理性』を失った資本主義の無責任さの、最悪のあらわれがあります。」と指摘しています。

 地球温暖化の問題で、不破さんは「『社会的理性』を問われている最大の人類的危機は、地球温暖化問題」と指摘しています。

 人類のエネルギー消費郎は、「資本論」刊行の時代には、年間4億8000万トンあまり(原油換算)でしたが、最近では、320億トン以上にまで急増して(2014年)、地球大気の変質を起こしています。

 不破さんは、「問題は『生産のための生産』を旗印にした資本の活動にありました。人間社会がこの危機との闘争に立ちあがる転機となったのは1997年の『京都会議』でした。まさに『祭りは終わった』のです。」と指摘しています。

 トランプ政権は、「地球温暖化」はウソだといって、このたたかいからの離脱を公然と宣言しました。

 日本の地球温暖化対策も遅れています。

 不破さんは「(日本とアメリカ)この二つの国の資本主義は、人類社会の目から見ても、経済を管理する『社会的理性』を放棄した社会とみなされざるをえないでしょう。」と指摘しています。

 今こそ、資本主義的危機と矛盾から抜け出すために「社会的理性」を発揮する時です。

 祭りは終わったのです。

 「資本論」が刊行されて150年から経過しました。

 資本主義社会についてみなさんはどうお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。

 

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。