重松清さんの「とんび」を読みました。
重松さんは、私より一つ上。主人公のアキラは、私たち世代。
不幸な出来事で母の美佐子さんは亡くなりますが、お父さんのヤスさんがアキラを大切に育てる物語です。
居酒屋「夕なぎ」のたえ子ねえさんは、ヤスさんの幼なじみ。もう一人の幼なじみは、住職の照雲さん。
たけ子さんや照雲さんと奥さんが、ヤスさんを支え、アキラを一緒に育てます。
涙なしには読めない良い作品でした。
文庫版のためのあとがきに重松さんは、「僕は確かに、ヤスさんにとてもよく似たひとを知っている。そのひとに肩車され、そのひととキャッチボールをして、そのひとにビンタを張られ、そのひとに反抗し、そのひとに悪態をつき、そのひとに愛され、愛され、愛され、一歩ずつおとなになっていったのだと思う。」と書いています。
ヤスさんのモデルは、重松さんのお父さんだったのかも知れません。
不器用だけれど、息子を愛してくれる父親。私の父もそうでした。
よく酒を飲んで帰ってきました。父は、子どもたちの出迎えを期待します。
小学生低学年の頃までは、それなりに出迎えていたように思いますが、小学校の高学年頃から、父が帰ってくる足音がすると、姉たちと奥に引っ込むようになりました。
高校生以降は、父によく反発もしていました。
市会議員に立候補する時、父は、ある小学校の校長でした。
父は、大反対しましたが、私は、自分の意志を押し通しました。
この頃は、特に衝突を繰り返していましたが、今になれば、父の置かれた状況も理解できるようになりました。
父が亡くなる数年前に、楠町が宇部市と合併して、県議選挙で、私の実家も選挙区となりました。
父は、友人・知人に数多く声をかけてくれました。
父が亡くなった後になって遠縁の方から「善昭(父)から『息子を頼む』と電話があったんよ。」と聞かされたことがあります。
父は、地元で様々な役職に就いていたので、今でも、地元を回る時には、「父の七光」に感謝することが度々あります。
この本を読んで、「父とじっくり話したかった」「父にお礼がいいたい」と素直に思いました。
実は、この小説は、来年早々ドラマとして放映されます。
ヤスさんに堤真一さん。「オールウエイズ」の父親役で有名ですが、昭和の人を演じさせたら日本一です。期待しています。
幼なじみのたえ子ねえさんに、小泉今日子さん。すっかり大女優としての風格が出た小泉さん。この役もぴったりではないでしょうか。
小説で涙し、ドラマで涙したいと思います。
重松さんは、私にとってナンバーワンの同時代作家です。これからも重松さんの作品に注目していきたいと思います。
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こんばんは、初めまして。
岩手に住む、ぱんなこったと申します。
「とんび」のコメントを見て、書き込みさせていただきました。
私は、堤さんのファンなので、原作「とんび」を早速読んでみました。
原作の中の、ヤスさんは、頑固だけれど一途で、美佐子さんをとっても愛していて、アキラ君を精一杯の愛情を注いでして・・時に空回りをするけれど。
本当に感動しました。
来年のTV放映が楽しみです。
by ぱんなこった — 2011年11月8日 18:55 PM