議員日誌

えんこう岩

 山口県小学校教育研究会国語部会が編集した「山口のむかし話」という本があります。

 本の最後に、父の字で、「昭和48年11月28日購入す」と書かれてありました。

 昭和48年と言えば、私が9歳。小学校3年生の時です。小学校の教師をしていた父は、万倉小学校に勤務していた頃だったと思います。

 「山口のむかし話」の中に「えんこう岩」という話しがあります。この話しは、我が家に代々残っていた話しだと父がこの本を手にしながら当時、私に話してくれました。

 えんこうとは河童の事です。いたずら好きの河童にいたずらをやめさせるために、石に手形を掘らせたという話しです。その岩を「えんこう岩」と呼んで、村の人が石の碑を建てたと、話しは結ばれます。

 私が子どもの頃には、我が家の前の小川の袂に、実際に「えんこう岩」と言われる石が残っていました。

 その後の河川改修や相次ぐ水害で、えんこう岩はどこかに流れ行ってしまいました。

 先日、田植えで実家に帰った際、前から気になっていたえんこう岩を探してみようと思い立ちました。

 小川は10m程度で厚東川に流れこんでいます。その合流点付近まで、似たような石を探しましたが、見当たりませんでした。

 父が元気で、えんこう岩の存在が明らかな内に、水害の被害のない、実家の近くに移設しておけばよかったと今更ながら後悔しています。

 しかたがないので、小川で拾った石を仮のえんこう岩として、実家の庭の一画に据えました。

 この本を編集するにあたっての協力者の中に、宮本常一さんの名前がありました。

 文章は、小学校の当時の国語の先生方が書かれたものでしょう。「えんこう岩」を書かれた鶴田綾子先生は、父の知人であったと思われます。

 父が鶴田先生にあらすじを伝え、この文章が出来たのかどうか詳細は今となってはよく分かりません。

 このような地域の民話は、どんどん風化していくことでしょう。こうして文章化され本として残れば、私たちの家族だけではなく、県の一つの財産として残ります。

 地域の民話を残すことは大切なことですね。この本を編集された方々に感謝いたします。

 009.JPG

 仮のえんこう岩として私が実家の庭に据えた石

 見ようによってはえんこうの手形があるようにも見えます

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