先般、「日雇い派遣」大手のフルキャストが、労働者派遣法が禁止している港湾運送などへの違法派遣を繰り返しているとして、東京労働局は、同社に、業務停止命令を出しました。このことは、大きな前進です。
しかし、違法派遣が繰り返される背景には、受け入れ企業の側が、違法派遣と知りながら、派遣労働者を受け入れ続けている実態があります。
厚生労働省は、派遣会社に対しては、この間、処分を行っていますが、受け入れ企業は何も処分されません。昨年は、派遣会社のクリスタルグループが業務停止を受けましたが、宇部市内にある山口日本電気楠工場には、このクリスタルグループから112人の労働者が請負労働という名目で派遣されています。この請負は偽装ではないのかなど、国は、派遣先企業に、安定雇用実現に向けて厳しい処分や指導を行うべきです。
この厚生労働省の対応の甘さが、徳島県の日亜化学に出ています。昨年、県の仲介もあって、同社は、「偽装請負を是正し、請負労働者1600人を直接雇用する」と約束しましたが、今日、同社は、「そんな約束などした覚えはない」と開き直っています。この問題でも国の厳正な対応が求められます。
同時に県の対応も重大です。山口県は、今年度から5年間の「就業促進計画」策定しました。「年長フリーターやニートなどの職業的自立の促進」が重要課題としています。正規雇用の拡大に向けて山口県は、キャリアカウンセリングの実施などを強化するとしています。このことに異論はありません。むしろ強化すべきです。しかし、正規雇用につながらない責任を労働者側だけに向けさせるには限界があります。県の方針にも「企業に対する正規雇用の拡大要請」とあります。県は、「偽装請負」の摘発など派遣先企業への指導を国と連携して強めることが重要です。そうしないと、県内でも深刻なワーキングプアの実態は改善できません。
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