議員日誌

ディア・ペイシェント~絆のカルテ~

 先日、東京出張の際、いつものように、有楽町駅近くの三省堂書店に立ち寄りました。

 気になる本があったのですが、購入せず、岐路の羽田空港。

 当初の乗り場が変わり、一桁の待合に。その近くに本のコーナーがあり、立ち寄ってみると、三省堂書店で気になっていた本があるではありませんか。

 その本が、南杏子著「ディア・ペイシェント 絆のカルテ」です。

 本ブログにも書きましたが、南杏子さんの最初の作品「サイレント・ブレス 看取りのカルテ」がとてもよくて映像化してほしいと思っています。

 南さんの二作品目が本作です。

 本作は、やはりというか映像化が決まりました。

 NHKドラマ10で、4月17日からスタート予定です。

 主人公の真野千晶役に貫地谷しほりさん、先輩ジョイ・浜口陽子役に内田有紀さん、モンスター・ペイシェント・座間敦司役に田中哲司さん、です。

 NHKドラマのホームページからあらすじを引用します。

 「病院は『サービス業』と捉え、『患者様プライオリティー』を唱える佐々井記念病院の医師たちは、さまざまな問題を抱えていた。一人は、執ように嫌がらせを繰り返す『モンスター・ペイシェント』に付きまとわれる若き女性医師。一人は、明るい性格で患者から好かれているが、大きな医療訴訟を抱え悩む先輩女医。一人は患者とは一定の距離を置きながらも、刃傷沙汰に巻き込まれてしまう同僚医師。果たして、彼女らは、希望を見いだせるのか?」

 千晶と陽子。千晶と座間。この関係がどうなるのかがこの物語の見どころです。

 医師でもある作家の中山祐次郎さんが、本書の解説でこう書いています。

 「なぜ南杏子さんはこの物語を書いたのだろうか。ひとつには、このゆがみきった医療現場を告発したいという願望からだろう。医師なら誰もが経験する、肉体の限界を軽々超える36時間連続勤務。求められるレベルの高さと、そのすぐ向こうの訴訟リスク。そして対人の仕事がゆえの、腑に落ちないクレームや心ない一言。さらに患者からの暴力(私自身、顔を殴られかけたことは何度もある)。」

 「しかしそれだけではない。南さんは、それでも医業をやめない医者を描いた。ぎりぎりのところで倒れかけながら、壊れかけの心を奮わせ、それでも医者をやる、と宣言させた。誰が悪いわけでもない、誰も悪くない、だから続ける、そう毅然と言い放せたのだ。」

 今、読んでいるのは、千晶と陽子の関係が急転したところ。急転がどうおさまるのか、さらに、千晶と座間との関係の結末はどうなるのか。

 大団円に向けて、これからが面白いところです。そして、この小説がどのようなドラマになるのか楽しみです。

 貫地谷さんは、今、観ている「テセウスの船」で主人公の姉を熱演されています。

 脇役でありながら、10年近くトップを走り続けている貫地谷さん。いよいよ主役が増えてきた貫地谷さんの演技に大いに期待しています。

 南杏子作品にこれからも注目していきたいと思います。

 南杏子ファンの皆さん感想をお聞かせ下さい。

新型肺炎と人権問題

 昨日、第22回西宇部校区人権教育推進大会が西宇部ふれあいセンターで行われました。

西宇部人権大会

二葉保育園の子どもたちの踊りを披露しました

 私が会長になって3回目の大会です。

 私は、以下の趣旨で主催者を代表して挨拶しました。

・・・

 第22回西宇部校区人権教育推進大会にご参加の皆さんおはようございます。床本参事さんをはじめ来賓の皆さんのご参加に感謝いたします。

 さて、新型コロナウイルス陽性の疑いがあった日本人男性が中国武漢市で亡くなられたことが明らかになりました。
今日、新型肺炎の感染が世界的に広がっています。昨日の毎日新聞は、「差別生まない情報発信を」という社説を公表しました。
 毎日新聞は「誤った情報の広がりが恐ろしいのは、いわれのない差別や偏見を呼ぶことだ。過去の感染症でもデマは流れ、患者差別を産んだ。原発事故の際も、被災者が苦しめられた。今回も中国人を中傷する投稿がネット上に出ている。欧米では、日本人を含めたアジアの人々への差別的言動が問題になっている。」と書きました。
 山口県人権推進指針は、分野別施策の一つに「感染症の問題」をあげ、「感染症に対する偏見や差別の解消のため、あらゆる機会を通じて感染症に関する正しい知識の普及に努めるとともに、健康危機管理の観点から迅速かつ的確な対応と患者個人の意思や人権尊重を基本とする感染症対策を推進します。」としています。
 日々、新しい人権課題が私たちの身の回りで生まれています。今日の人権大会が校区の皆さんの人権意識高揚の場となることを願って、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

・・・

 新型肺炎がまん延しています。

 この問題を始め、皆さんの身の回りの人権問題をお教えください。

無償教育と国際人権規約

 三輪定宣埼玉大学名誉教授著「無償教育と国際人権規約」を読んでいます。
 2012年、日本政府は閣議決定で1979年以来の国際人権A規約13条2項(b)(c)の無償教育条項の留保(適用しない方針)を撤回し、中等・高等教育(日本では高校や大学まで)の「無償教育の漸進的(段階的)導入」は政府の「誠実に遵守」(憲法98条)すべき条約となりました。A規約の実行を促す国連の社会権規約委員会は、その留保撤回後(2013年5月)、5年後の2018年5月31日までに無償教育計画を迅速に作成し実施することなどを求めています。
 政府は、「2018年問題」の対応である2018年5月31日期限の「(A規約)第16条及び第17条に基づく第4回政府報告に関しては、できる限り早期に提出するよう、現在、鋭意作成の作業をすすめている」と議員の質問主意書に答弁しました。
 しかし、文科省の「第2期教育振興基本計画」(2018~22年度)などでは、国際人権A規約13条・無償教育条項などに一切の言及はありません。
 三輪先生は「2018年問題」への政府の対応について「同条は、高等教育までの『直接の費用』(授業料)と『間接の費用』(学校納付金)の無償と完全なる奨学金制度を方針とし、その実現のための無償教育計画の作成を求めているが、政府の現段階の無償教育議論は一部の低所得世帯対象にとどまり、この期に及んで人権規約を無視し続け、大学管理・経営団体もそれに同調しているといわざるを得ない」と指摘しています。

 三輪先生は、「無償教育は一人ひとりの教育を公費により社会全体で支える『公費教育』であり、教育を受ける人、学習者は、その成果を個人の利益だけでなく、学習を支える社会全体の利益のために役立てようとする人格や学力・教養の形成が促される。」と無償教育の意義について述べています。

 三輪先生は、「無償教育は、多額の公費を要するが、経済発展のブレーキではなく、そのアクセルになるにちがいない。それは、少子化の解決にも道を開き、すべての人の能力を生涯にわたり最大限に発達、発揮させ、教育費負担で圧迫された家計の消費、内需を爆発的に拡大し、人間的な経済活動を促進するなど、経済や社会の新たな発展の原動力になる。」と無償教育の展望について述べています。

 政府は、「2018問題」への明確な対応策を示すべきです。

 そして、国内で無償許育を促進させて、経済発展のアクセルを踏むべきです。

 この本は、教育問題を考える上での私のバイブルになるものだと感じました。

 このような考え方から山口県の教育についても検証していきたいと思いました。

 無償教育についての皆さんのご意見をお聞かせください。
 

「地域の医療を守るために」研修会に参加

 公益社団法人全国自治体病院協議会主催で東京都・全国町村会館で行われた、地方議員を対象にした講座「地域の医療を守るために -地方議会議員への期待-」を昨日、受講しました。
 講師は、城西大学経営学部・伊関友伸教授でした。

自治体病院学習会

全国自治体病院協議会主催の学習会での伊関教授

 伊関教授は、埼玉県庁出身で、公立病院の経営問題の権威です。現実を捉えた指摘に何度も頷きました。
 講演の前半は、厚生労働省が、昨年9月に発表した公的病院424の再編リストについてでした。
 リスト発表直後、伊関教授は、NHKなどのインタビューに次のように応えました。
 ①(対象病院の)数が多すぎる。事前に予告等もないままにやるので各病院で働く人や患者に不安を与える可能性が高い。
 ②「あの病院は危ない」と風評被害さえも起きかねない。
 ③病院の統合再編の議論は地域住民を巻き込みながら行う必要がある。
 ④統合や再編の必要性が高い地域もあるのでそういうところはちゃんと進める。丁寧な議論が必要である。
 ⑤やらない決断があって良い。地域が主体的に考えるべき。
 その上で、伊関教授は次のように述べました。
 「現場の現状を反映しない再編統合はかえって地域医療を破壊することにつながり反対する。反対が多くかえって統合再編が進まなくなる。」
 更に、伊関教授は、厚生労働省の再検討要請の問題点について以下指摘しました。
 ①全国一律で急性期病院の診療実績下位33%で線をひいたため、へき地の中小病院が数多く対象とされた
 ②全国一律で自動車20分の距離が適応され、積雪や山間地などの実情を考慮していない
 ③病院に予告なく行われたため、病院職員や住民・患者に不安を与えた
 ④再検証期間が1年間と短い
 伊関教授は、「自治体病院の統合再編は地方自治の問題」と結論づけました。
 伊関教授は、この点について具体的に「地域医療構想は国の医療政策である。しかし具体的な自治体病院の統合再編の問題になれば地方自治の問題になる。自治体病院の運営は、地方自治体の自治事務である。厚労省医政局はこのことを全く理解していない。中央集権で、一方的な数字一つで地方が動くと考えている。」と指摘しました。
 伊関教授は、自治体病院について「医療機関がなくなればその地域の住民は生活できなくなる。医療機関は地域の生命線である。知恵とお金を使って存続させていくことが重要」と指摘しました。
 伊関教授は、「高齢化が進む地方において、病院や福祉施設は数少ない将来を見込める産業である。産業振興の観点で病院や福祉施設を考えるべき」だと指摘しました。
 地方の自治体病院を数多く見学したという伊関教授の渾身の訴えに頷くことの多い講演でした。
 学んだことを今後の議会での論戦に生かしていきたいと思います。
 伊関教授、すばらしい講演をありがとうございました。

「台風・豪雨災害と自治体の役割」議員研修会

 自治体研究社が主催した議員研修会「台風・豪雨災害と自治体の役割」に5日・6日参加しました。
 神戸大学名誉教授・田結庄良昭さんによる「土石流など土砂災害や河川氾濫、ダム問題のメカニズムと自治体の役割」と題する講座は大変参考になりました。

豪雨災害学習会

  講義を行う田結庄神戸大学名誉教授

 国土交通省のまとめでは、台風19号の豪雨により、7県、71河川140カ所で堤防が決壊しました(10月30日現在)。また、国管理の24河川、都道府県管理の207河川で河川水が堤防を越え、浸水しました。(朝日新聞、11月12日)。
 田結庄先生は、「台風19号での被害の特徴は福島県や宮城県の県管理の整備が整っていない中小河川に被害が集中した点にある」と指摘しました。
 台風19号で各地の河川が氾濫しましたが、大きな河川の支流で氾濫が多く発生しました。
 台風19号で堤防が決壊した71河川、140か所のうち、8割にあたる112箇所(62河川)が支流と本流の合流点から約1キロの範囲で生じたと報告されているとして、田結庄先生は、「多くの支流は本流の増水で水位があがり、せき止められた形となり越水するバックウォーター現象(背水)で氾濫が生じた。」と指摘しました。
 田結庄先生は、堤防強化策として堤防天端をアスファルトで覆い、民家側の側面を補強する「アーマーレビン工法」が有効だと話しました。
 台風19号では、5県7箇所でダムの「緊急放流」が行われました。
 田結庄先生は「多目的ダムのゲート操作は、地域住民の安全のためだけでなく利水権者有利に働き、被害を大きくするため大雨時ダムは危険」と指摘しました。
 台風19号で土石流被害は宮城、福島、岩手、神奈川など20都県の690か所で生じました。
 2018年7月の西日本豪雨では、31都道府県で計1044件の被害があり、死者は221人に達し(総務省消防庁災害対策本部2018『平成30年7月豪雨及び台風12号による被害状況及び消防機関等の対応について』)、被災の原因別では、土砂災害が125人で最も多く、洪水の82人を上回っています。
 国土交通省砂防部の2018年7月18日発表では、土砂災害のうち土石流で57人と、傾斜崩壊(崖崩れ)で11人と、多くが土石流で犠牲になっています。
 田結庄先生は、「マサ土と玉石(巨石)が混在したものが崩壊物として谷に流入し、土石流となり、この玉石が家屋崩壊を起こす」と指摘しました。

 学んだことを今後の議会活動に生かしたいと思います。

グレタのねがい

 ヴァレンティナ・キャメリニ著「グレタのねがい」を読みました。

 この本の中に、2019年1月末にグレタさんが行ったスピーチの一部が掲載されています。

 「大人は若い人たちに希望を与えなければならない。そういう言葉をしょっちゅう耳にします。でも希望なんかいりません。わたしはあなたがた大人たちに、危機感を持って行動してほしいのです。一刻を争う危機的状況に置かれているかのように、迅速に行動を起こしてほしい。だって、実際そうなのですから」

 「わたしたちの家は火事になっています。わたしたちのすまいである地球が、炎をあげ燃えています。若い人たちの未来のために、大人たちが、権力を持つ人たちが、責任ある行動をとらなくてはならないのです。」

 ジャーナリストの増田ユリヤさんは、この本の最後にこう書いています。

 「大人に抗議するグレタさんは、生意気なのでしょうか。発達障害があるから感情的になっているだけなのでしょうか。もし、単にそれだけだとしたら、これだけ世界中の若者たちに影響を与え、環境問題を考える大きなうねり(波)にはならないのではないでしょうか。グレタさんは、大人に反発しているのではありません。子どもができることには限界がある。自分たちが無力なことがわかっている。だから、大人のみなさん、政治家のみなさん、わたしたちを助けてください、わたしたちを守ってください、未来を信じられるようにしてしてください、とうったえているのです。力を貸してくださいとお願いしているのです」

 トランプ大統領をはじめ、世界の政治家たちが、グレタさんを攻撃するけれど、攻撃する政治家こそ、地球環境に責任を負った政治を行っているか自戒すべきだと思います。

 私も政治家の一人とした自らの活動をこの本を読みながら問い直しています。

 増田さんは、更にこう書いています。

 「グレタさんの生きる姿勢から学べることは、決して環境問題だけに限りません。今ある問題の根本的なところにある原因を探し、それを解決するために何があるかを考えて行動する。その勇気があれば、あなた自身の未来を変えていくことができるのです。」

 「今ある問題の根本的なところにある原因を探し、それを解決するために何があるかを考えて行動する」グレタさんから学んでいきたいと思います。