議員日誌

無償教育と国際人権規約

 三輪定宣埼玉大学名誉教授著「無償教育と国際人権規約」を読んでいます。
 2012年、日本政府は閣議決定で1979年以来の国際人権A規約13条2項(b)(c)の無償教育条項の留保(適用しない方針)を撤回し、中等・高等教育(日本では高校や大学まで)の「無償教育の漸進的(段階的)導入」は政府の「誠実に遵守」(憲法98条)すべき条約となりました。A規約の実行を促す国連の社会権規約委員会は、その留保撤回後(2013年5月)、5年後の2018年5月31日までに無償教育計画を迅速に作成し実施することなどを求めています。
 政府は、「2018年問題」の対応である2018年5月31日期限の「(A規約)第16条及び第17条に基づく第4回政府報告に関しては、できる限り早期に提出するよう、現在、鋭意作成の作業をすすめている」と議員の質問主意書に答弁しました。
 しかし、文科省の「第2期教育振興基本計画」(2018~22年度)などでは、国際人権A規約13条・無償教育条項などに一切の言及はありません。
 三輪先生は「2018年問題」への政府の対応について「同条は、高等教育までの『直接の費用』(授業料)と『間接の費用』(学校納付金)の無償と完全なる奨学金制度を方針とし、その実現のための無償教育計画の作成を求めているが、政府の現段階の無償教育議論は一部の低所得世帯対象にとどまり、この期に及んで人権規約を無視し続け、大学管理・経営団体もそれに同調しているといわざるを得ない」と指摘しています。

 三輪先生は、「無償教育は一人ひとりの教育を公費により社会全体で支える『公費教育』であり、教育を受ける人、学習者は、その成果を個人の利益だけでなく、学習を支える社会全体の利益のために役立てようとする人格や学力・教養の形成が促される。」と無償教育の意義について述べています。

 三輪先生は、「無償教育は、多額の公費を要するが、経済発展のブレーキではなく、そのアクセルになるにちがいない。それは、少子化の解決にも道を開き、すべての人の能力を生涯にわたり最大限に発達、発揮させ、教育費負担で圧迫された家計の消費、内需を爆発的に拡大し、人間的な経済活動を促進するなど、経済や社会の新たな発展の原動力になる。」と無償教育の展望について述べています。

 政府は、「2018問題」への明確な対応策を示すべきです。

 そして、国内で無償許育を促進させて、経済発展のアクセルを踏むべきです。

 この本は、教育問題を考える上での私のバイブルになるものだと感じました。

 このような考え方から山口県の教育についても検証していきたいと思いました。

 無償教育についての皆さんのご意見をお聞かせください。
 

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