デビュー17年目を迎えるSuperfryをずっと見守ってきました。
アルバムはほぼ全て聴いています。
新聞の広告でSuperfry越智志帆さん(以下越智さん)のエッセイ集「ドキュメンタリー」が発売されると聞き、書店に注文して一気に読みました。
越智さんの誠実で真摯な姿勢を感じることのできるエッセイでした。
3年間のブランクを経ての再出発した頃から2020年7月から21年4月にかけて「考える人」に越智さんが書いたエッセイに、越智さんが出産された時の特別編を入れ一冊になっています。
越智さんの本に一番共感したのは、生育環境です。越智さんは、四国の山の中の農家に生まれ育ちます。私は、中国山地の裾野の農家に生まれ育ちます。
最後の晩餐はお父さんのお米という越智さん。お米は土鍋で炊いているそうです。
一番共感したエッセイは「影響アレルギー」です。
越智さんは、この本でこう書いています。
「私は人から『影響される』ことに、ものすごく警戒心があったのです。自分の中に他者からの刺激が入ると『きたーーーー!!!!』とアラーム発生。『影響』を察知した瞬間に、頭の中で『これを受け入れて良い? 悪い?」という緊急ミーティングが始まり、散々審議したのちに受け入れても大丈夫なものだけを受け入れるようにしていました。おそらくこういった症状が出るよになったのは、デビューしてオリジナリティについて考えるようになってからです。」「何かに直接的に影響されて、消化できないまま曲を作ったら、オリジナルだ!とは主張できないし、胸を張って活動できないよなぁ・・・。私の影響アレルギーは日に日に悪化していったのです。」
越智さんの休暇前の気持ちがストレートに表現されている文章です。
議員の仕事と歌手の仕事を同一にするのはおこがましいですが、アウトプットする仕事という点では、同じだと思います。
特に選挙中は、アウトプットするばかりですが、今回の選挙は、20年の経験が少しは行かせたと思います。これまで培ったことが、口から出てくるのです。しかし、今起きていることをじっくり勉強しながら発言していない、消化不良のまま発言しているという不安の中での発言であるとも感じます。
選挙が終わった今は、インプットする時間が出来て、映画や本などにじっくり向き合えることに喜びを感じている今日この頃です。
越智さんは、「影響アレルギー」を乗り越えた今をこう書いています。
「外の世界を遮断して自分だけで何かを追及するのも楽しいけど、誰からに刺激されながら過ごす毎日も、どこまでも続く地平線のように広がりがあって感動する。」
選挙が終わって一息ついている自分を励ましてくれる言葉です。
越智さんが母になった事は知っていましたが、これほどのご苦労があったとは知りませんでした。
体外受精での妊娠。歌手であるために帝王切開できず、出産時の激痛。
このエッセイを通じて、越智さんをトータルで信頼している自分に気づきました。
そして、この連休、移動中の車中で、Superfryを聴いています。
この本を読んでからSuperfryを聴くと、一曲一曲に越智さんの魂が宿っているようで、改めて駄作のなさに驚いています。
今日、改めて感動したのは「Beautiful」です。
「世界で一つの 輝く光になれ 私でいい 私を信じてゆくのさ 遠回りしても 守るべき道を行け 私でいい 私の歩幅で生きていくのさ」
エッセイを読んでからきくと、「影響アレルギー」で苦しむ最中の越智さんの心情も垣間見えるような作品です。
様々な状況の中でも「私の歩幅で生きていくのさ」。
これは、多くの人々を励まし続ける名作だと改めて感じながら聴いています。
越智さんのエッセイを読んだ後の私は、これからもSuperfry越智志帆さんを心から応援していきたいという気持ちです。
改めてSuperfry越智志帆さんのファンの皆さん。好きな楽曲をお教えください。
また、「ドキュメンタリー」を読んだ皆さん、感想をお聞かせください。
YCAM開館20周年記念上映で三宅唱監督の映画「ケイコ 目を澄ませて」を観ました。
この映画で、主演の岸井ゆきのさんは、第46回日本アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。岸井さんの演技にある静かな迫力に魅了された作品でした。
映画のあらすじをSNSから引用します。
「生まれつきの聴覚障害により両耳とも聞こえないケイコ(岸井ゆきの)は、下町の小さなボクシングジムで日々練習に励んでいた。彼女はプロボクサーとしてリングに立ち続けながらも、心中は不安や迷いだらけで、言葉に葛藤を募らせていた。「一度、お休みしたいです」と事務の会長(三浦友和)宛てにつづった手紙を渡せずにいたある日、彼女はジムが閉鎖されることを知る。」
聴覚障害を持ったプロボクサーという存在のケイコを丁寧に描ききった作品でした。
上映後、三宅唱監督のトークショーがあり、質疑応答も行われました。
三宅唱監督とのツーショットです。三宅監督のクールで情熱的な言葉に魅了されました。
私は、作中に音楽が一つもなかったことの意図を尋ねました。三宅監督は、最初から意図して音楽を入れなかったと話します。三宅監督は「映画を作製する中で、聴覚障害者の方々と接した。改めて、自分が音が聴こえる世界に居ることを実感した。その新鮮な思いから、あえて音楽は入れず、日常の音を集めて映像の前に入れたり工夫した。」と語ります。
映画の最初は、ペンでノートにメモを書いている音で始まります。最後は、ネタバレになるので、書きませんが、何かの音で終わります。
また、この映画には、字幕が多く活用されています。三宅監督は、「聴覚障害者の方々の意見もお聞きし、どのような字幕なら分かりやすいか推敲した。」と語ります。
一方で、ケイコが聴覚障害を持った友達と手話で語るときには字幕はありません。
三宅監督は「映画のストーリーに関わるような会話ではないので字幕を入れなかった。聴覚障害者の方々がどのようにコミュニケーションを取っているのか映像でしっかり伝えたかった。」と語ります。
作品を作った監督にその意図を聴くことができ、とても有意義な映画鑑賞となりました。
三宅監督は、今、新しい作品に取り組んでいるそうです。来年公開予定だということです。まだ30代の若手監督ですが、とても落ち着いた、思慮深い方だと感じました。
聴覚障害を持ったプロボクサーを等身大で描ききったドキュメンタリーのような作品だとも感じました。映画館で是非、ご覧ください。
三宅監督の作品に今後大いに注目していきたいと思います。
この半年間は、選挙に集中していたので、好きな映画はおあずけでした。
その分、観たい映画がありすぎて困っています。
今日は、インド映画「RRR」を観ようと思っています。
最近、ご覧になった映画の感想をお聞かせください。