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県人事データから自民党後援会勧誘へ名簿作成 「業務上のもの」では済まされない

 2021年の衆議院選で山口3区から立候補した自民党の林芳正外相の後援会に勧誘した小松前副知事が略式命令を受け辞職した事件を巡り、26日、中国新聞は次のように報じました。
 「2021年の衆議院選で山口3区から立候補した自民党の林芳正外相の後援会に入るよう当時の副知事が部下に勧誘させた公選法違反事件を巡り、勧誘に県の人事データが利用された問題について、村岡嗣政知事は25日の記者会見で『起きてはならないこと』と述べた。一方、副知事に依頼した自民党関係者の調査はしない考えを示した。県は事件を調査する過程で人事データが使われていることを確認していた。ただ、その後にまとめた報告書には記載せず、公表もしてこなかった。村岡知事は『報告書は公選法違反の根っこの組織的な勧誘の構造を明らかにすることと再発防止に主眼を置いている。手法に焦点を当てたわけではない』と弁明した。山口地検が開示した刑事確定記録によると、副知事は林氏のリーフレットと後援会の入会申込書を配る目的で部下に山口3区内に住所、出身校、本籍がある職員リストの作成を指示した。リストは人事データを基に作られた。」
 26日の記者会見録が県ホームページに公開されました。また、私が、この間、2度にわたって閲覧した刑事確定調書から問題点を指摘したいと思います。
 第一は、人事データが業務外に使われた問題です。
 知事は、記者会見で、「指示を受けて作った職員がいるわけですけれども、これは業務上使用するためと受け止めて対応しているということでして、そのこと自体は上司からの命令で業務上のものとして受け止めて対応しているということで、それ自体について問題ということではないのだろうと思います。」
 人事データから山口3区の選挙に使う名簿を作成した職員は、2021年11月12日、山口警察署での取り調べに、「■から『山口3区で』と言われていたので、選挙に関して何らかの形で活用されることはなんとなく想像していました。元々人事データは円滑な業務、組織運営をするためにあるものです。県庁職員が勤務時間中に勧誘活動をすることは問題があると思います。今後、県庁内でこうしたことが行われないようになればと思います。」と供述しています。
 山口3区の名簿を作成した職員は、「選挙に関して何等かの形で活用されることはなんとなく想像していた」「県庁職員が勤務時間中に勧誘活動をすることは問題がある」と供述しています。
 2022年3月に公職選挙法事案に係る調査チームの報告書に、「検察庁から開示を受けた本件事件についての刑事確定記録(写し)も調査の参考に供している」としています。
 県は、検察庁の刑事確定記録(黒塗りなし)のものを見ているのですから、人事データから選挙勧誘のための名簿を作った職員と、それを部下に指示した職員の名前が分かるわけですから、知事は、調査し、全容を県民に説明すべきです。
 知事の「業務命令で問題なし」との説明に納得できません。
 地方公務員法第34条は、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。」とあります。
 山口県個人情報保護条例第8条は、「実施機関の職員又は実施期間の職員であった者は、職務上知りえた個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない」とあります。
 人事データを基に、名簿を作成し、選挙の勧誘に使う行為は、地方公務員法違反、県個人情報保護条例違反の疑いがある重大事案です。
 知事は、この問題を解明すべきです。
 二つ目は、副知事に依頼した人物の特定についてです。
 知事は、記者会見で「組織を使って勧誘を行ったというところが問題です」「外部の方が、誰がそれを言ったかというところが、われわれの方が明らかにすることは、目的としているものではありませんので、それはそれぞれの方が考えられることだと、当事者の方で考えることだと思います。」と述べました。
 2021年12月16日、山口地検で、小松元副知事に後援会勧誘を要請した者(仮にA)の供述調書があります。
 調書に「私が小松副知事にこの依頼をした時期については、はっきりした記憶はありませんが、小松副知事が令和3年4月頃であったと言うのであれば、私のおおよその記憶とも齟齬しませんので、その頃で間違いありません。」とあり、小松前副知事の調書にもある依頼をした人物が検察庁で供述しているのです。
 「自民党山口県連では、平成24年の衆議院選挙の頃から一貫して林芳正議員を応援しており、林芳正議員には衆議院議員選挙に出馬してほしいと考えていたので、令和3年4月頃も、当然、林芳正議員に次の衆議院選挙に出馬して欲しいと考えていました。」とA氏は、小松前副知事に依頼した根拠を語っています。
 「私が、このような依頼を小松副知事にした理由は、代々山口県副知事に対し、このようなことを頼んでいたことに加え、副知事は、議会との調整等を行うなど実務的な役割を担う役職であり、私や自民党県連と接触する機会も多いことから、知事ではなく、副知事に依頼し」たとA氏は供述しています。
 A氏は、自民党山口県連の重鎮であり、副知事とも何度も面会できる立場にある人物で、小松前副知事だけでなく、代々の副知事にも選挙の勧誘の依頼をしていた人物であることがこの供述調書からうかがえます。
 日本共産党県議団は、23日の予算要望の中で、「前副知事ら県幹部に自民党候補の後援会入会を勧誘するよう依頼した団体、人物を告発し、公平な裁きを求めること」を知事に要請しました。
 先述したように、県は、検察庁の刑事確定記録(写し)を見ているわけです。つまり、県は、A氏の氏名と職業を承知しているわけです。
 知事は、再発防止が目的の調査に限定せず、小松前副知事に選挙のための勧誘を行った人物を特定し、検察庁に告発すべきです。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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