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ナオミ・クライン著「地球が燃えている」読書ノート①

  年末年始に読んでいる本は、ナオミ・クライン著「地球が燃えている」です。

 数年前に、知人からナオミ・クラインさんの本をプレゼントされて読んだのがきっかけで、ナオミ・クラインさんは、私が敬愛するジャーナリストの一人となりました。

 この本の帯に、この本の推薦者の名前が二人登場しています。

 一人は、気象活動家のグレタ・トゥーンベリさん。二人目は、経済思想家の斎藤幸平さんです。

 私が注目している二人が推薦する本ですから、読まない訳にはいきません。

 特に、斎藤幸平さんは、この本について次のように評しています。

 「気候崩壊は新たなショック・ドクトリンとエコファシズムを生み、さらには文明を崩壊させる。だからこそ、資本主義に終止符を打ち、脱成長型経済をめざすグリーン・ニューディールが必要だ。『社会主義か、絶滅か』。これは、かつてないほどラディカル化したナオミ・クラインによる革命の書だ!」

 斎藤さんにこう書かせた部分を紹介します。

 ナオミ・クラインさんは、本書でこのように書いています。

 「変革につなががるプラットホォームを擁護する私のような者は、気候危機に乗じて、この危機に着目する前から抱いていた社会主義的、または反資本主義的なアジェンダを推進しようとしていると非難されることもある。これに対する私の答えは簡単だ。私は成人してからの人生全体を通してさまざまな運動にかかわり、現在の経済システムが、非情な利潤追求によって人々の生活と自然の景観を粉々に潰す無数の方法に立ち向かってきた。(中略)このような経済活動が悲惨で、時には生命を奪うような影響を引き起こすことは否定しようがない。そこで、あっさりこう論じられた-こうしたものは、膨大な富を生み出すシステムの必要コストであり、恩恵が徐々に下々に滴り落ち(トリクルダウン)、やがて地球上のほぼすべての人の生活を改善することになるであろう、と。しかし実際に起きたことは逆だった。(中略)率直に認めるが、私はこの気候変動危機を、自分なりに長年記録してきた、市場経済の生み出す局所的な危機と切り離せるものだと思っていない。両者の違いは悲劇の規模と範囲だ。いまや人類のたったひとつの家が存亡の危機に瀕しているのだ。私は常にすさまじい焦燥感をもって、もっと劇的に人道的な経済モデルへと転換する必要性を感じてきた、しかしいまでは、その緊急性の質が変わってきている。なぜなら、期せずしていま私たち全員が、進路を変更することによって想像を絶する規模の生命を救う可能性のある最後の瞬間を生きているからだ。」

 その上で、ナオミ・クラインさんはこう結論づけています。

 「以上のことはいずれも、すべての気候政策は資本主義を解体するものでなければならない、さもなけれれば却下されるべきだという、一部の批評家の愚劣な主張にはつながらない。排出量削減のためには可能な限りのすべての対象が必要であり、それもいますぐ必要だからだ。むしろ、IPCCがきわめて強い調子で確認したように、体系的な経済と社会の変化を進んで受け入れようとしない限り、決してこの使命を達成することはできないことを意味しているのだ。」

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙で音楽家の坂本龍一さんがこのように述べています。

 「コロナ感染拡大で、貧困と格差、地球温暖化、差別などさまざまな問題が明るみに出ました。資本主義が行き着いた『ニューリベラリズム(新自由主義)』の政策は、効率を何よりも優先して福祉や教育を切り縮め、医療体制を脆弱なものにしてきました。」

 「これまではニューヨークの自宅の庭から街の喧騒が聞こえていましたが、ロックダウン(都市封鎖)で人間の活動が制限されたことで、街が静かになり、鳥の鳴き声がよく聞こえてきました。アメリカの温暖化ガスの排出量もこの30年間で最も少なくなりました。コロナ禍により、経済活動が制限され、困窮された方も多いと思いますが、一人ひとりに余裕のある生き方は、自分の体にも自然環境にも優しくなります。何十年も突っ走って

きた暮らし方、社会のあり方を変えても、暮らせると分かった人は多いはずです。どんな暮らしをしたいかをこの機に考え、声をあげていくべきだと思います。」

 日本共産党の志位和夫委員長は、第二回中央委員会総会で、「日本でも、労働苦、格差拡大、高学費、環境問題など、息苦しく希望が見えない社会の根源には、人間が人間を搾取するシステム、『利潤第一主義』を本性とする資本主義の矛盾があります。」と述べました。

 地球温暖化問題を改善するために運動に参加し発言を続けてきたナオミ・クラインさんは、「すべての気候政策は資本主義を解体するものでなければならない」と述べました。

 音楽家の坂本龍一さんは「資本主義が行き着いた『ニューリベラリズム(新自由主義)』の政策は、効率を何よりも優先して福祉や教育を切り縮め、医療体制を脆弱なものにしてき」たと述べました。

 二人の問題意識に共通する問題把握と解決の方向があると感じました。

 志位委員長は先述した総会で「パンデミックは、資本主義というシステムをこのまま続けていいのかという重大な問いを人類に突きつけるものとなっている」と述べました。

 私は、更に、ナオミ・クラインさの本から地球温暖化問題を解決するために、どのような変革をすべきかを学んでいきたいと思いました。

 今年も少しづつ学び続け、その想いを本ブログに書き留めたいと思います。

 ナオミ・クラインファンの皆さん、彼女の著作の感想をお聞かせ下さい。

 

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