議員日誌

宇部港港湾計画改定(目標年次は2030年代前半)

 昨年6月県議会で、私は、宇部港長期構想について次のように質しました。
 「ことし3月、30年後の整備方向を示した、新たな宇部港長期構想が策定されました。2011年、宇部港が国際バルク戦略港湾に選定されて、最初の構想改定であります。現行の港湾計画の目標年は平成20年代後半で、目標年の取扱量は3580万トンです。この目標に近い平成29年の実績は3347万トンですから、目標を下回る貨物量で推移しています。第四回検討委員会資料では、目標年度を今度は平成40年代半ばとして、現況の取扱貨物量を1.5倍にし、公共バルク貨物は実に7倍にする、貨物量の実に98.4%をバルク貨物とする計画です。第四回検討委員会資料では、新沖の山地区の埋め立ては、現行の港湾計画では、72.3ヘクタールでしたが、92ヘクタールに拡大され、推進13メートルだった本港航路は16メートルとなり、水深16メートル、長さ700メートル程度の岸壁が計画案として示されています。現行の港湾計画における新沖の山地区の事業費は390億円でしたが、この長期構想での事業をお示しください。水深16メートルの本港航路と泊地の事業費と事業主体をお教え下さい。第三回検討委員会資料では、新沖の山地区の大水深護岸の必要性は、宇部港をケープサイズ級、世界最大級の石炭バルク船を二港目として入港させる、そしてパナマックス級の石炭バルク船の一港目として、新沖の山に寄港させることにあると書かれてあります。パリ協定を受けて、世界は脱炭素に向かっています。宇部港長期構想に、環境省の気候変動長期戦略懇談会の資料が参考に提示されています。これには、2050年の石炭供給量は2010年の半分程度になると書かれています。脱炭素が加速する中、世界から石炭バルクを集積させるために、宇部港新沖の山地区に大水深岸壁をつくる必要性についてお尋ねします。
 長期構想をもとに、これから15年後を展望した宇部港港湾計画が策定されるわけですが、計画策定の中で、改めて石炭バルクの需要見込みを精査し、新沖の山地区周辺の整備計画を私は抜本的に縮小すべきと思いますが、お尋ねします。」
 この質問に、森若土木建築部長(当時)は次のように回答しました。
 「まず、長期構想における新沖の山地区の事業費及び本港航路・泊地の事業費と事業主体についてです。長期構想は、あくまでも宇部港の将来のあるべき姿を構想、ビジョンとして取りまとめたものであり、事業費や事業主体を定めるものではありません。次に、脱炭素が加速する中、新沖の山地区に世界から石炭バルクを集積させるための大水深岸壁をつくる必要性があるのか、また宇部港港湾計画を策定するに当たって、新沖の山地区周辺の整備計画を抜本的に縮小すべきではとのお尋ねにまとめてお答えします。県内企業の国際競争力強化を図るためには、物流コストの削減に寄与する産業基盤の整備を進めていくことが極めて重要であることから、県では、国際バルク戦略港湾など、港湾の機能強化に取り組んでいるところです。新沖の山地区の大水深岸壁については、企業ヒアリングやパブリックコメントの結果等を踏まえた上で、関係市や学識経験者等の意見をお聞きしながら策定した長期構想の中で、バルク貨物の広域供給拠点の形成と機能強化のために必要としたものです。また、港湾計画については、今後、新沖の山地区を含め、長期構想に示された方向性を踏まえ、取扱貨物量の動向や企業ニーズ等を適切に把握し、策定することとしています。」と答えました。
 県港湾課は、7月21日、改訂した新たな「宇部港港湾計画」を県ホームページで明らかにしました。
 宇部港港湾計画は、2030年代前半を目標年次とするものです。
 県港湾課は、宇部港長期構想には、取扱貨物量の目標値は示していませんが、長期構想を策定する過程で、取扱貨物量の概略値を4700万トンと検討委員会に示していました。
 宇部港港湾計画の取扱貨物量の目標値は、2030年代後半で4070万トンとしています。私の一般質問を受けて、4700万トンより低い4070万トンに縮小されたことは評価しますが、平成29年度の取扱貨物量は、3347万トンですから、現状より700万トン以上増やす計画です。
 次に、新沖の山地区についてです。
 宇部港長期構想には、新沖の山地区の面積は示されていませんが、昨年6月県議会の私の質問の中にあるように、第四回検討委員会資料に、面積92ヘクタール、水深16メートル、長さ700メートルの護岸が計画案として示されています。
 今回の宇部港港湾計画は、開発面積が、90.9ヘクタール。水深16メートル、長さ390メートルの護岸となっています。私の一般質問を受けて、検討委員会で示された計画案より、開発面積で、1.1ヘクタール減、水深16メートルの護岸の長さが、310メートル減となったことは評価しますが、2030年代前半までに、宇部港に推進16メートルの大水深護岸を1バース建設する計画です。 
 次に、水深16メートルの本港航路と泊地についてです。宇部港港湾計画では、長期構想の検討委員会資料で示された通り、水深16メートルの本港航路と泊地が計画されています。
 先日、宇部港港湾計画の説明を県港湾課の担当者から受けた際に担当者は「現時点においても、本港航路と泊地の事業費及び事業主体は明らかになっていない」と答えました。
 宇部港では、現在、本港航路を水深13メートルにする工事が行われている最中です。本港航路の水深を13メートルとし、更に16メートルにする工事が、宇部港港湾計画の目標年である2030年代前半に完了できる見通しは現時点で立っていないと考えます。同時に、本港航路の大水深工事について、引き続き国が実施する見通しが立たない場合、県が本港航路の事業主体になる可能性が否定できません。その場合においても、事業を計画通り行うのかその際は再検討が必要だと思います。
 そもそも、私が、昨年の6月県議会で指摘をした通り、世界の地球温暖化防止と脱炭素化の流れは、今年の豪雨や猛暑を受けて更に強まっています。
 にも関わらず、国際バルク戦略港湾の石炭バルクの受け入れ港として、徳山下松港と宇部港に巨費をかけて、世界最大級のケープサイズ級の船を受け入れる巨大公共工事を行う是非について、更に、慎重な検討が必要だと思います。
 私の一般質問を受けて、宇部港港湾計画が当初計画より若干縮小されたものとなりましたが、宇部港が石炭バルクの受け入れ港として巨額を投資する港湾計画については引き続き、地元選出議員としてしっかり発言していきたいと思います。
 宇部港港湾計画が改定され、県ホームページにその概要が掲載されています。
 この計画の改訂について、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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