昨日、ロブ・ライナー監督の映画「記者たち 衝撃と畏怖の真実」を観ました。
この連休に、ジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領だったチェイニーの人生を描いた「バイス」を観ました。
「バイス」同様、この映画は、同時多発テロ後、アメリカ政府が、イラク戦争を決断した経緯が見事に描かれた映画です。
ベトナム戦争当時の機密に迫るワシントンポストの奮闘劇を描いた「ペンタゴン・ペーパーズ」を観ましたが、この映画も、ジャーナリズムとは何かを問う作品でした。
映画の中で、イラク戦争の開戦を認めるかどうかの国会での審議の様子が映し出されます。
民主党のベテラン議員が、反対を表明します。
彼は、ベトナム戦争開戦の契機となった「トンキン湾事件」の真実を語り、イラク戦争の開戦に反対を表明します。
北ベトナムのトンキン湾で米駆逐艦が北ベトナムの魚雷艇から攻撃を受けたとされる事件が「トンキン湾事件」ですが、この事件はねつ造だったことを暴露したのが「ペンタゴン・ペーパーズ」であり、この機密文書の公表を巡る攻防を描いたのが「ペンタゴン・ペーパーズ」でした。
イラク戦争は、イラクに大量破壊兵器があることが開戦の口実でした。
この事実はなかったことを開戦当時から報じていたのが「ナイト・リッダー」でした。
映画のパンフレットに、この映画のモデルとなった人びとが当時を語っています。
ギャロウェイは、ベトナム戦争の従軍記者であり、この当時、ナイト・リッダーに招聘されています。
「我々はアメリカ国民に向けて、必死に伝えようとした。この国はまったく必要のない、物凄く費用のかかる戦争を始めようとしていると。しかし、信じようとする人はいなかった。政府が嘘をついている証拠をつかんでいて、それを記事として発表しているのに、聞く耳を持ってもらえないことは本当にもどかしかった。」
ストロベルは、ナイト・リッダーの当時の記者です。
「この作品は本当にジャーナリズムについて、新聞が本来の機能を果たさなくなったときに社会が何を失うのかということについて、観た人に強く語りかけている。事実を伝えることは、とても大切だ。というのも今、メディアの報道に対する信頼はこれまでにないくらい低いからね。僕のようにこの業界で30~35年やってきた人間にとっては、とても残念な状況だ」
ウォルコットは、ナイト・リッダーの当時のワシントン支局長です。
「政府が何か言ったら、記者として必ずこう問え。『それは本当か』と。それは今でもまだ十分ではないと思っている。この作品は多くの人に観てもらいたい。観た後に、こういうジャーナリズムこそ今のアメリカに必要だと感じてもらえると嬉しいね」
監督のロブ・ライナーさんはこう語っています。
「民主主義は皆に平等に与えられるものだ。宗教や人種、性別、性的指向を理由に、あらゆる人々を締め出そうとするが、それは民主主義ではない。すべての国民が権利を与えられて初めて成立するものなんだ」
ねつ造された事実を基に戦争が始まる。その事が繰り返されていることに怒りが湧いてきました。
この歴史を繰り返さないためには、今の民主主義を徹底させる努力を惜しまずに続けていくことだと感じました。
参議院選挙目前です。
自民党は、「改憲」が大きな争点だとしています。
改憲の焦点が憲法9条ならば、これを変えることを国民が望んでいないことをはっきり示す時だと思います。
安倍政権にノーをつきつけると同時に、憲法9条こそ、イエスなのだというメッセージを参議院選挙で示す時だと思います。
来週、時間をみつけて「新聞記者」を観たいと思っています。
「記者たち」すばらしい映画でした。ライナー監督、すばらしい映画をありがとうございました。
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