議員日誌

知ってはいけない読書ノート①

 新年早々、とても興味深い本に出会いました。

 矢部宏治さんの「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」です。

 この本の冒頭に、日本支配の構造の基本が書かれています。

 この事は、1983年「日米地位協定の考え方増補版」にこう書かれています。

 〇アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。

 〇日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

 矢部さんは、「日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に『NO』ということはできない。」構造があると語っています。

 矢部さんは、「日本の『法治国家崩壊状態』は、いま沖縄から本土へ、そして行政の末端から政権の中枢へと、猛烈な勢いで広がりはじめています。今後、その被害にあう人の数が次第に増え、国民の間に大きな不安が蓄積された結果、『戦後日本』というこれまで長く続いた国のかたちを、否応なく変えざるをえない日が必ずやってきます。そのとき、自分と家族を守るため、また混乱のなか、それでも価値ある人生を生きるため、さらには無用な争いを避け、多くの人と協力して新しくフェアな社会をいちからつくっていくために、ぜひこの本を読んでみてください。」と語っています。

 矢部さんは、この国の「ウラの掟」を9つ取り上げ、解説しています。

 最初の「ウラの掟」は、「日本の空は、すべて米軍に支配されている」です。

 首都圏に広がる横田空域、沖縄全土に広がる嘉手納空域、そして、中四国に広がる岩国空域について書かれています。

 岩国空域については、日本共産党県議団が繰り返し県議会で指摘をしてきました。

 県議会の議事録検索で「岩国空域」とワードを入れると2001年2月県議会で久米県議(当時)がこの問題を初めて取り上げています。

 久米県議は、全運輸省労働組合が出版している「航空フォーラム」に「松山空港への進入管制を米軍が行っていること、広島西飛行場も米軍との調整が必要なこと、そして、この空域を通過しないように民間機が大変な制約を受けている」ことが書かれてあると指摘し、県に岩国空域の返還を求めるよう質しました。

 吉富理事(当時)は「国から『日米合同委員会の下部組織である民間航空分科委員会において、継続して、管制業務の返還を求めている』との説明を受けておりますので、県としては、当面、国の動きを見守ってまいりたいと考えています。」と答えました。

 2001年6月の久米議員の質問に、二井知事(当時)は「『岩国空域』及び『横田空域』における管制業務を日本側に移管することを、渉外知事会の要望項目として追加するように、提案いたしたところでございます。現在、関係都道府県との事務的な調整が終了し、今後開催される総会に、本年度の要望案として提案されることになっております」と答えました。

 私は2004年6月県議会で岩国空域の返還を県に求める質問を行っています。

 村武理事(当時)は、「岩国空域における管制業務の日本側への返還については、民間航空機の円滑な定期運航と安全性の確保のために必要であると考えていますので、引き続き渉外知事会等を通じ、粘り強く国に要望していきたいと考えています。」と私の質問に答えました。

 2017年8月に行われた渉外知事会が政府に行った「基地対策に関する要望書」(別冊)に「航空交通管制業務の日本側への返還」があり、「一都9県にわたる『横田空域』への管制業務について、同空域の活用により首都圏空域の効率的な運用を図るため、日本側に早期に全面返還すること。また、『岩国空域』における管制業務については、民間機の円滑な定期運航や安全性を確保するため、日本側に早期に全面返還すること。」とあります。

 2001年から17年間「横田空域」「岩国空域」の返還を渉外知事会は日本政府に求め続けているのに、未だに実現していないことが分かりました。

 矢部さんは、横田空域や岩国空域の返還がなされない背景に1975年に交わされた日米合同委員会での密約「日本政府は、軍事演習を行う米軍機について、優先的に関政権をあたえる」があると指摘しています。

 矢部さんの指摘する「9つの掟」を国民は知る必要があると感じました。

 そして、様々な密約を明らかにし解除し、対等平等な日米関係を再構築する必要があると感じました。

 その上で、横田空域、岩国空域の返還を議会で質問した一人として強く望みます。

 横田空域、岩国空域について皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 引き続き、矢部さんの「知ってはいけない」から学んだこうと報告していきたいと思います。

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