議員日誌

念仏者の死刑制度への対応

 昨日に引き続き、「死刑制度」について考えてみたいと思います。

 今日紹介するのは、名古屋大学名誉教授であり、真宗大谷派9条の会共同代表世話人の平川宗信さんの「真宗と社会問題」の中の「念仏者の死刑制度への対応」という小論です。

 平川さんの専門は「刑法学」であり、死刑問題の権威の一人と言っていい方です。

 平川さんは「1987年に国連でいわゆる『死刑廃止条約』が成立してから廃止国が増加していて、現在では、世界の約7割の国が、法律上または事実上死刑を廃止しています。アジアでも、廃止国が徐々に増えてきています。お隣の韓国も、事実上の廃止国になっています。」と世界の状況を述べた上で、「日本では、人の命を奪う犯罪は、戦後一貫して減り続け、1990年代以降は低い水準で安定しています。しかし、死刑の執行は1990年後半から徐々に増加していますし、死刑の言渡しもここ数年著しく増えています。」と日本の現状を述べています。

 犯罪(交通事故を除く)による死亡者数と殺人認知件数のデータがこの本に掲載されています。

 1966年の犯罪による死亡者数は、3661名、殺人認知件数は2198件です。

 2013年の犯罪による死亡者数は、819名、殺人認知件数は939件です。

 この半世紀で、犯罪による死亡者数と殺人認知件数は3分の1以上減っています。

 死刑執行数は、1980年代は15人。1990年代は、36人。2000年代は、46名と10年単位で見ると、90年代以降は確実に死刑執行数が増えています。

 日本の現状は、世界の動きと逆行していると思います。

 その上で、平川さんは日本の死刑問題をどう考えるか述べています。

 「釈迦は、『法句経』の中で、『殺してはならない。人を殺させてはならない』と、不殺生戒を説いておられます。死刑は、国が殺す、国が刑務官に殺させる制度です。仏教徒が死刑を支持することは、この言葉に反するというほかはないと思います。」

 「親鸞聖人は、阿弥陀が『願をおこしたもう本意、悪人成仏のためなれば』と説かれ、『悪人』が『もっとも往生の正因』だとする『悪人正因』を唱えておられます。また、承元の法難では、住蓮房・安楽房ら同朋・同行を死刑にされ、これを『猥りがわしく死罪に坐す』と厳しい言葉で批判しておられます。そのような親鸞聖人が、『悪人は死刑にしてもよい』と言われるとは思えません。」

 平川さんは、この小論を「すでに、世界の7割の国・地域において、死刑なしで問題なく社会が動いています。それらの国と比較しても犯罪情勢が極めて良好な日本で、それと同じことができないはずはありません。」と結んでいます。

 私は、政治家として、念仏者の一人として死刑問題をしっかり考えていきたいと思います。

 皆さんは死刑制度をどのようにお考えですか、お教え下さい。

 

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