上山大峻さんの「金子みすゞがうたう心のふるさと」を読みました。
上山さんは、龍谷大学学長を経て、現在、長門市・乗泉寺の住職をされています。
上山さんは、本書の意図を「僧侶(浄土真宗)として、また、同じ地域に育ったものとして、できるだけ彼女の心に近づいてみたいと思うのです。」と書いています。
金子みすゞの有名な詩に「大漁」があります。
「大漁
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮の大漁だ。
浜はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう。」
上山さんは、「どんなものの命でも、同じ重さだ」ということをこの詩は教えているとしています。
その上で、上山さんは、「ブッダのことば」の次の言葉を引用します。
「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身をひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」
上山さんは、「この教えは、単に命の重さ(価値)が同じだということだけでなく、他のものも自分と同じように命を大切に思っているという自他の共感から、だから『他を害してはならない』と、もう一歩進められたものです。」と解説しています。
そして、上山さんは、「鰮の命と人間の命が同じだとうこと、鰮も仲間の死を悲しんでいるだろうという思いが起きるのは、あたり前のことだったのです。でも、人間だけが偉いのだ、他の命は人間に奉仕して当然なのだと驕ってきた私たちにとっては、このことが忘れられてしまって、いつのまにか大きな驚きになっていたのです。」と語っています。
上山さんは、金子みすゞさんの詩が産まれた背景には、お寺の多い仙崎の育まれたブッダの思想があったのではないかと語ります。
ブッダの「殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」は念仏者9条の会を支える大きな柱となる言葉です。
国政を私物化して暴走を加速させている安倍総理に、故郷が生んだ詩人「金子みすゞ」の「大漁」の詩を今、送りたいと思います。
自分や自分の周りの者のためいは、他は奉仕して当然なのだと安倍首相は驕っています。
安倍首相に今、「大漁」を読んで感じていただきたいと思います。
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