議員日誌

映画「リンカーン」

 昨日、家族で映画に行きました。

 長男と長女は「どらえもん」を、次男と三男は「図書館戦争」を、私は、「リンカーン」を観ました。

 「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」(2011)、「戦火の馬」(2011)につづく、スピルバーグ作品ですが、前の二作品も映画館で観ました。

 私は、同時に、この映画の原作であるドリス・カーンズ・グッドウィンの「リンカーン」を読んでいます。文庫版で上中下巻に及ぶ長編で、まだ読み始めたばかりですが、リンカーンの非凡さと平凡さが回りのライバルとの対比で詳しく描かれており、人間リンカーンを詳しく知る上で大変参考になります。

 政治に携わる一人として、民主主義が築かれた時代の中心人物の一人である「リンカーン」の人生を知ることは有意義です。

 この連休で、ドリス・カーンズ・グッドウィンの作品を読破したいと思っています。

 映画のパンフレットにスピルバーグのこの映画の製作意図が次のように語られています。

 「4、5歳の時にリンカーン記念館を初めて観て、あの巨大な像がひどく怖かったことを覚えている。以来、リンカーンに興味を抱き、子供時代から彼についての書物を読みこんだ。彼は国の最悪の時代を乗り越え、アメリカ民主主義の理想を持続させて奴隷制を廃止した。でも映画化するにあたってはその多面性を描きたかった。政治家で軍の指揮者である一方、父であり夫として、常に自分自身を深く見つめる人でもあった。私は、英雄崇拝に陥ることなくその人生を深く探ろうと考えた」

 スピルバーグは、この製作意図の通り、人間リンカーンを見事に描いてみせたと思います。

 映画は、リンカーンが合衆国憲法修正13条を議会で可決しようとする一部始終を描いています。

 可決した条文の内容は「奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国国内及び如何なる場所でも、存在してはならない。ただし正式に有罪とされた犯罪の罰とする場合は除く」というものです。

 リンカーンが奴隷制廃止に果たした役割の大きさを改めてこの映画で知る事ができました。

 安倍首相は憲法96条改悪を7月の参議院選挙の争点にすると表明しました。

 「まぎれもない改憲論論者の私」と自称される慶応大学の小林節教授が、「『憲法そのものが危ない』という差し迫った状況が目の前にあり、からだを張ってでもそれを阻まなければいけないとの思いから」今朝の赤旗新聞のインタビューに応じ、96条改悪をこのように評しています。

 「憲法の拘束をうける政治家(権力者)たちが、憲法から自由になろうとして改憲発議の条件を軽減しようとするということは、立憲主義の否定であって、国民主権に対する反逆に等しい」

 リンカーンは、憲法を改正して、自由と民主主義を前進さました。

 小林教授の指摘を受けて考えるならば、安倍首相は、改憲発議の条件を軽減して、自由と民主主義を後退させようとしているとしか思えません。

 このような日本が置かれた状況の中、映画「リンカーン」は、今日的な大きな意義を持つものと思います。

 日本国憲法97条には、「基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来に国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」とあります。

 日本国憲法でいう「過去幾多の試練」の中に、奴隷制度があり、これを廃止したことは「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」だと思います。

 また、日本国憲法そのものが、自由獲得の努力の成果の象徴だと思います。

 アメリカの150年前の自由と平和を求めるリンカーンの活躍を通じて、日本国憲法のすばらしさを痛感することが出来ました。

 この連休、是非、皆さんも映画館で「リンカーン」をご覧いただきたいと思います。

 

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