先月30日、国は、「資格証明書の発行に関する調査」の結果を発表しました。この調査では、はじめて、資格証明書発行世帯のうち中学生以下の子どもが何人いるのかも明らかにされました。
国は、この調査と一緒に、「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について」とする課長通知を都道府県の担当者に送付しました。この文書の中で、特に、「子どものいる滞納世帯に対する資格証明書の交付に際しての留意点」を明らかにしています。この点では、「緊急的な対応としての短期被保険者証の発行」として、「子どもが医療を受ける必要が生じ」た場合、「速やかな短期被保険者証の交付に努めること。」と述べています。
今回の厚生労働省課長通達を活用して、子どもいる世帯に保険証が交付されることを強く望みます。
しかし、市町の国保事業者が子どものいる世帯に保険証を渡すうえで、財政上のネックがあることが、岡本宇部市議と一緒に県担当者から説明を聞き分かりました。
それは、市町村の国保財政の中に、「資格証明書の交付を適正に実施しているか」で加減される交付金があるからです。市町村国保の歳入の50%が保険料です。国庫負担金が34%。県の調整交付金が7%。国の調整交付金が9%となっています。この調整交付金に、普通調整交付金と、特別調整交付金があります。この特別調整交付金には、交付要件が10あります。主には、災害などが発生した場合ですが、10項目目に、「その他特別な事情がある場合」があります。この特別な事情がある場合の交付基準の中に、「経営姿勢が良好」である場合があります。この経営姿勢が良好かどうかを評価する項目の一つに「資格証明書の交付を適正に実施しているか」があります。山口県は、県内の保険者の内、おむむね3分の1の団体をこれら項目で評価し、国に推薦し、国が県からの推薦を元に、調整交付金を決定します。
市町の国保事業者が、国の通知を生かし子どものいる世帯に保険証を発行しようと思っても、国保歳入の一つである国の調整交付金の算定根拠の一つとして、「資格証明書は発行しなさい」という項目が残されたままだと、この項目が保険証発行を抑制させる要因になっているのです。
現在の調整交付金に関する基準は、平成19年度分として国が示したものです。平成20年度の基準は、来月早々に出される見通しです。市町の国保事業者が、すっきりと子どものいる世帯に保険証を交付できる環境を整備する必要があります。このための「国の基準の見直し」を県が市町とともに国に意見をあげることが求められています。
No comments yet.
コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。
メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。