「チーム・バチスタの栄光」という本が数年前から書店で平積みされていたことは知っていました。最近、映画化されたことも知っていました。今日ようやく映画を見ました。
映画を観た後の「スカッ」とした気持ちは、過去最高でした。私が観た映画の中の総合点でも上位クラスです。
田口公平が映画では、田口公子となっていましたが、私は成功していると思いました。その田口医師役は、竹内結子。昨年は、彼女が出演した「クローズド・ノート」を観ましたが、伊吹先生役がとても素敵でした。今度の演技もバッチリはまっていたと思います。白鳥役の安部寛は今や日本映画界の看板俳優の一人です。キャラが立つ個性的な役は、安部寛だと定着する勢いです。
映画の面白さは、原作の面白さにあります。原作の文庫の解説を書いた書評家の茶木則雄氏によると、この作品が高い評価を集めた要因のとして、「現役医師ならではの、専門知識を駆使した細部の迫真性にある。」「「崩壊寸前の大学病院の現状や医療現場の危機的状況など、現代医療が抱える今日的問題を隠しテーマとして内包している点も、見逃すべきではない。」と書いています。
私は、この点に、この作品がミステリー仕立てになっているが、とてもヒューマニィティーを感じる要因だと感じました。例えば、原作中に、「独立行政法人化でカネを減じ、研修医制度を変えることで兵隊の供給を絶つ。」「大学医学部に対し兵糧攻めを敢行しているのは誰か。少なくとも中央省庁の官僚が主力軍として加担し、陰に陽に蠢動していることだけはほぼ間違いない。」というくだりがあります。
この視点が、原作の読後にある爽快感につながっていると感じました。
次は、田口・白鳥コンビ第二弾「ナイチンゲールの沈黙」を読みましょう。中村義洋監督には、この作品のシリーズ化に取り組んでいただきたと要望します。少々、海堂尊にはまりそうな今日この頃です。
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