25年9月30日、アエラ・デジタルは、著評で、横山勲著「過疎ビジネス」(集英社新書)を次のように報じました。
「福島県北部に位置する人口8000人ほどの小さな町『国見町』では、2022年にある事業が始まりました。それは、計4億3200万円の企業版ふるさと納税を財源に、高規格救急車12台を購入して他の自治体にリースするというものです。なぜ、当初予算にもなかった防災関連車両の研究開発に、突然これほどの大金が使われるのか。国見町議会の会議録でこの地方創生事業を知った河北新報の横山勲記者は不可思議に思い、取材を開始します。そこで浮かび上がったのは、過疎にあえぐ小さな自治体に近づき公金を吸い上げる『過疎ビジネス』の事態。その全貌を追求したのが書籍『過疎ビジネス』です。調査の中で明らかになったのは『寄付金還流』と呼べる仕組みでした。これは、事業を受託した備蓄食品製造企業「ワンテーブル」が、企業版ふるさと納税で寄付した企業のグループ会社である救急車ベンチャー「ベルリング」に、開発用車両を発注することで、寄付したはずのお金が事業を介して寄付企業グループに戻ることになるという事業スキームです。事業の委託先は公募型プロポーザルで募ったものの、手を挙げたのはワンテーブル一社のみ。しかも異例の短期間で選定されていること、購入した救急車の車両価格が市場相場の二倍以上であること、事業の仕様書作成にはワンテーブルが深く関与し、ベルリングの車両と酷似した指定が多数織り込まれていたことなどから、これは公的な事業としては透明性・中立性を欠くものものであると言わざるを得ません。その後、決定的な証拠として、横山氏は情報提供者からある録音データを受け取ります。そこには、当時のワンテーブル社長が寄付金還流スキームについて『超絶いいマネーロンダリング』と語る音声が収められていました。さらに、『無視されるちっちゃい自治体がいいんですよ。誰も気にしない自治体』『(地方議員)は雑魚だから。俺らのほうが勉強しているし、分かっているから。言うことを聞けっていうのが本音じゃないですか』などの言葉も・・・。これはまさに『人口減少で活力を失った小さな自治体に地方創生の夢を熱弁して近づき、施策のアウトソーシングを巧みに持ち掛けて公金を吸い上げる』『地方の自治体を見下し、食い物にして利益確保を狙う』(本書より)という過疎ビジネスの正体ではないでしょうか。横山氏は同時に、『コンプライアンス意識が根本から崩れ、さながら『限界役場』とも言えそうな自治体行政の機能不全』(本書より)にも問題があると指摘。さらには『地方の実情を度外視して予算をばらまくだけばらまき、隙だらけの制度設計を放置した』(本書より)と、国の責任にも言及しています。最終的に国見町の地域再生計画の認定は取り消しとなりました。しかし、官民連携の落とし穴は他の地域でも見られることが、本書で明かされています。少子化が進み、過疎化に歯止め効かない中、真の地方創生には何が必要なのか、国も自治体も私たちも自分ごととして考えるべき時がきているのかもしれません。」
私は、昨年読んでいた今井照著「自治体は何のためにあるのかー<地域活性化>を問い直す」に、国見町のことが書かれてあり、最近読んだ新聞の広告に、横山勲著「過疎ビジネス」が紹介されてあり、この数日、本書を読んでいます。
本書には、ワンテーブルの代理人弁護士から河北新報の記事は、「名誉権侵害」であり「記事の削除」などを求める「通知書」が届いたとあります。
本社からは「気にするな、どんどんやれ」と言われたとあります。
私も、行政の問題を詳らかにする中で、躊躇する時があります。自由法曹団の先生方に相談することが度々あります。
国見町の事案の全容解明がされた背景には、横山記者の真実を明らかにしようとする熱意があったからだと思います。その熱意は、ジャーナリズムに基づくものだと感じました。
本書の後半で、国見町と同様に、企業版ふるさと納税を寄せた企業が地方創生コンサルタント企業を介して町の事業を受注する「寄付金還流」疑惑が指摘されている自治体の存在が明らかにされています。
山口県に企業版ふるさと納税をした企業が、令和7年度に6社、令和6年度に15社、令和5年度に8社あります。
令和6年度と令和5年度に山口県に企業版ふるさと納税を寄せたA社は、「令和3年度包括外部監査の結果報告書」によると、A社は、令和元年に「やまぐち産業イノベーション促進補助金」の交付を受けています。
県政策企画課の「企業版ふるさと納税について」のサイトには、「寄付を行うことの代償として経済的な利益を受け取ることは禁止されています。例:×寄付の見返りとして補助金を受け取る。×有利な利率で貸付をしてもらう。」
このケースは、企業版ふるさと納税における禁止行為ではないのか。その他、ふるさと納税を行った企業が、県から補助金や有利な利率での貸付を受けているケースはないのか、ふるさと納税を所管している県政策企画課に、明日、照会を行いたいと思います。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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