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総合支援学校の寄宿舎は、障がい児の自立した社会参画を保障する大切な場所です。

 今村美都著「『不』自由でなにがわるい 障がいあってもみんなと同じ」を読んでいます。
 この本は、脳性まひで車いすで生活している山下智子さん(本文では、『ともっち』さん)の生活を綴ったルポルタージュです。
 山下さんは、21歳で参加した水泳の世界大会で世界新記録を出した方です。
 その他、様々なチャレンジを続けています。
 今日、紹介するのは、山下さんが、総合支援学校時代に寄宿舎で過ごした経験です。
 山下さんは、小中高を総合支援学校で学びます。
 山下さんは、小学校5年生の時と、高校2年生の時に寄宿舎で生活を送りました。
 小学5年生の時は、水曜日から土曜日までの3泊を、高校2年生の時は、月曜日から土曜日までの5泊を寄宿舎で過ごしました。
 作者の今本さんは、寄宿舎について「障がい児が生きていくことに必要な基本的習慣と社会性を身に付けることが主な目的」と書いています。
 今村さんは、「障がい児を育てる大人にとって、自分がいなくなった世界で子どもが生きていく環境をいかに整えていくか、いかに生きていくことに必要な術を身に付けさせるかは、より切実なことと言えます。育てる大人にとっても、子どもと一時的に離れる休息(レスパイト)の時間は重要です。どんなに子どもを愛しく思っていても、四六時中一緒にいてはからだにも心にも疲れが溜まっています。子どもにも大人にも、自分のための時間が必要です。寄宿舎は、障がい児の自立が最大の目的ですが、育てる大人のためのレスパイトの意味もあります。」とも書いています。
 今村さんは、山下さんにとっての寄宿舎の意味について「家庭では経験できないことを経験できた寄宿舎生活は、のちに大人になったともっちさんが自立生活といって一人暮らしをする上でも大切な時間になりました。」
と書いています。
 私は、昨年11月県議会で、総合支援学校の寄宿舎について一般質問を行いました。
 私は、県内の総合支援学校4校にある寄宿舎7棟は、築44年以上経過しており、早期に建て替え計画を立案すべきだと求めました。
 県教委は、過去の「山口県特別支援教育ビジョン実行計画」において寄宿舎は「遠距離に居住する通学が困難な児童生徒の通学の利便性を図るため」のものと位置付けています。
 文科省は、2012年「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」で寄宿舎について「入居した障害のある児童生徒等が毎日の生活を営みながら、生活のリズムをつくるなど生活基盤を整え、自立した社会参加する力を養う貴重な場である」としています。
 県教委は、寄宿舎を「通学が困難な児童生徒」のために限定すべきではありません。文科省が指摘するように、寄宿舎を「障害のある児童生徒が、生活基盤を整え、自立した社会参画する力を養う場」と位置づけるべきです。
 県教委は、今村さんが指摘す、障害のある児童生徒の保護者にとっての寄宿舎の役割にも注目すべきです。
 更に、県教委は、今村さんが、自立生活を送る上での寄宿舎の役割にも注目すべきです。
 引き続き、県内の総合支援学校の寄宿舎建て替え計画の立案を県教委に求めていきたいと思います。
 総合支援学校の寄宿舎についての皆さんの意見をお聞かせください。
 

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