ブログ

中電の埋立て工事進ちょく報告に「来年1月に竣功予定」とある不思議を解く

 私は、6月17日に、一般質問で登壇しました。
 今日は、上関原発問題の報告を行います。
 中国電力が4月25日、県に提出した「埋立てに関する工事の進ちょく状況報告書」では、これまでの進捗率は0%であるにも関わらず、竣功予定月日を来年1月6日としています。
 私は、「中電が、半年余りで埋立てを完了することは困難だが、県の見解を尋ねる」と質しました。
 和田土木建築部長は「竣功期限に向けて、どのように対応するかは、事業者において判断されるべきものと考えている」と答えました。
 4月28日、中電の社長に内定した滝本夏彦氏が上関原発について「必要な電源であり、着実に進めたい」と述べたと報じられています。
 私は、「県は、埋立免許の期間伸長申請について中電と協議しているのか」と質しました。
 和田部長は「埋立免許の期間伸長申請に関し、中国電力との協議はしていない」と答えました。
 村岡知事は、2019年7月、「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しないこと」を中電に要請した。国のエネルギー計画に原発の新設は明記されていません。
 私は「今後とも『発電所本体の着工時期の見通し』はつかない。県は、たとえ中電から埋立ての期間伸長申請が出されても許可すべきではないが、尋ねる」と質しました。
 和田部長は「公有水面埋立法において、許認可を行う場合、提出された申請書に基づき判断することとされており、期間伸長許可の可否について、現時点では判断できる状況にありません。県としては、申請がなされた場合には、その時点において、公有水面埋立法に従って厳正に審査し、適正に処理する」と答えました。
 中電の埋立てに関する工事の進ちょく状況報告書は、工事が進まなかった理由を「平成23年3月11日に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、当社は3月15日から予定地における準備工事を中断している」としています。
 私は、「中電が、埋立工事が進まない理由を2011年3月15日の東日本大震災に求めているのであれば、2023年1月に竣功出来ないし、今後、期間伸長申請を行っても竣功できる見通しが立たないのではないか。中電が埋立が進まない理由を東日本大震災に求めていることに対する県の見解を尋ねる」と質しました。
 和田部長は「お示しの進捗状況報告書の記載は、工事の状況を述べたものであり、現時点、埋立工事に先立って実施しなければならないのであり、現時点、埋立工事に先立って実施しなければならない海上ボーリング調査を実施していないことから、工事は進捗していないものと考えています。公有水面埋立法において、許認可をする場合、提出された申請書に基づき判断することとされており、申請書が提出されていない時点では、延長許可の可否について、判断できる状況にありません。県としては、申請がなされた場合には、その時点において、公有水面埋立法に従って厳正に審査し、適正に対処する」と答えました。
 国が策定した重要電源開発地点に関する規程に「重要電源開発地点の要件」があります。
 その1は「電気事業者の供給計画が記載されていること」とあります。2019年に中電が公表した供給計画では、上関原発は、着工・営業運転開始年月が「未定」とされています。
その5に「電力需要対策上重要な電源である」とあります。電力広域的運営推進機関が発表した2022年度供給計画の取りまとめでは、中国エリアは、2031年需要電力見込みが1,034万kW、供給見通しが1,255万kwとあります。中国エリアでは供給過多です。この資料から、上関原発の必要性はないと言わざるを得ません。
 私は、「様々な資料から、上関原発は、重要電源開発地点の要件を満たしていないと言わなければならない。県は、上関原発は重要電源開発地点の指定が引き続き有効として土地需要がある、だから延長を許可してきたけれど、私は、上関原発は重要電源開発地点の要件を満たしてはいないと考えるが、県の見解を尋ねる」と質しました。
 商工労働部の三浦理事は「重要電源開発地点の指定要件に適合しているかどうかについては、国が判断するものだ。国からは『上関原子力発電所に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない』との見解が示されているので、県として、上関原発については、重要電源開発地点の指定要件に適合していると国が判断していると受け止めている。」と答えました。
 経済産業省の「重要電源開発地点の指定に関する規程」の7条には「経済産業大臣は、指定を行った重要電源開発地点が要件のいずれかに適合しなくなったとき、その指定を解除することができる」としています。経済産業大臣は、上関原発が重要電源開発地点の要件に適合していないにも関わらず、指定を解除していません。大臣の姿勢は怠慢と言わなければなりません。
 そもそも、福島第一原発事故後、重要電源開発地点そのものを国は見直すべきですが、国はそれを怠っています。
 むしろ、国は、重要電源開発地点を存続させることで、上関原発に公有水面埋立法上の有効性を担保しているのです。
 この点での上関原発問題での国の罪は重いものがあると考えます。
 その脆弱な根拠に、唯々諾々と従っている県の姿勢についても厳しく問われる必要があると考えます。
 いずれにしても上関原発が重要電源開発地点であるとの一点で、中国電力が今後、公有水面埋立の期間伸長申請を行った場合、またぞろ県が許可する構図が続く危険性があることが、私の質問に対する県の回答で明らかになりました。
 中国電力への埋立免許の期限は来年1月までです。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。