落語「昭和の名人」完結編を聴いています。
第一巻は、二代目桂枝雀です。演目は「代書」「親子酒」です。私の車が寄席に変わる瞬間です。
私は落語が好きで、前から聴いていましたが、東京が中心で、また、三代目古今亭志ん生世代が中心でしたので、枝雀の落語をじっくり聴くのは初めてでした。
面白い面白い、一気に虜になりました。
年譜を見ると、枝雀襲名が昭和48年です。昭和39年生まれの私は、テレビではよく枝雀を観ていました。
落語というより、俳優としての枝雀の方が私の記憶に残っています。
特に、「代書」の松本留五郎は圧巻です。
田中優子さんの「江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか?」に、「現代では、一人前に挨拶ができたり仕事についたりしないと「自己責任」といわれ、貧しくて当たり前、ホームレスでも当たり前、とされてしまう。しかし江戸時代、いや高度経済成長前までは違った。そういう人たちは村落や長屋の中に受け容れられ、皆がそうゆうものだ、と理解してそれなりの役割を与えられていた。」とあります。
高度経済成長の真っただ中に育った私ですが、いわゆる村落で育ったせいもあるのでしょうが、私は、地域のネットワークを知る最後の世代かも知れません。
松本留五郎を受け入れにくい現代だからこそ、松本留五郎に会いたくなります。
田中さんは、「自分の境遇や能力を人と比べて劣等感を抱いたり、憂鬱になって閉じこもったりはしない。職を転々とするものの、友人も多く、常に働こうとするし、それを周りが支えているようだ。」とも述べています。
現代社会が松本留五郎から学ぶことは多そうです。もう一度桂枝雀の「代書」を聴くことにします。
第二巻は、三代目「古今亭志ん朝」です。田中さんの本を導きに、車での移動時間は、名人の落語にじっくり浸ることにいたします。
皆さんのお薦めの落語家と演目をお教え下さい。
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