議員日誌

日本が売られる

 堤未果さんの「日本が売られる」を読んでいます。

 堤さんは、まえがきでこう書いています。

 「多国籍企業群は民間商品だけでなく公共財産にも触手を伸ばし、土地や水道、空港に鉄道、森林や学校、病院、刑務所、福祉施設に老人ホームなどオークションにかけられ、最高値で落札した企業の手に落ちるようになった。企業は税金を使いながら利益を吸い上げ、トラブルがあったら、責任は自治体に負わさせ速やかに国外に撤退する。水源の枯渇や土壌汚染、ハゲ山や住民の健康被害や教育難民、技術の流出や労働者の賃金低下など、本来企業が支払うべき〈社会的コスト〉の請求書は、納税者に押しつけられるのだ。」

 堤さんは、その上で、日本がそうなっていると次のように書いています。

 「日本が、実は今猛スピードで内部から崩されていることに、いったいどれほどの人が気づいているだろうか。次々に売られてゆく大切なものは、絶え間なく届けられる派手なニュースにかき消され、流れてゆく日常に埋もれて、見えなくなってしまっている。」

 堤さんは、日本が売られる第一に、「水が売られる」を取り上げています。

 水道が民営化された結果、料金の高騰が起こったと堤さんは次のように書いています。

 「民営化後の水道料金は、ボリビアが2年で35%、南アフリカが4年で140%、オーストラリアが4年で200%、フランスは24年で265%、イギリスは25年で300%上昇している。高騰した水道料金が払えずに、南アフリカでは1000万人が、イギリスでは数百万人が水道を止められ、フィリピンでは水企業群によって、水道代が払えない人に市民が水を分けることも禁じられた。」

 世界37カ国235都市が、一度民営化した水道事業を、再び公営に戻していることを紹介し、堤さんはこう書いています。

 「主な理由は、①水道料金の高騰、②財政の透明性欠如、③公営が民間企業を監視する難しさ、④劣悪な運営、⑤過度な人員削減によるサービス低下、などだ。」

 「そんな中、世界の流れと逆行し、今になって水道民営化を高らかに叫び出した国」が日本だと堤さんは松山市の例から次のように指摘します。

 「民営化推進派はこの契約をいつものフレーズで礼賛した。〈公共サービスを民間企業に任せることで、無駄がなくなり水道料金は下がり、サービスの質は上がるだろう〉だがここに、見落としてはならない事実が一つある。複数の電力会社が一つの送電網を共有して電気を流す電力と違い、1本の水道管がつなぐ水道は、1地域につき1社独占になる。つまり水道おいうインフラには利用者を引きつけるためにサービスの質や価格の安さで勝負しなければと民間企業に思わせるための〈競争〉が存在しないのだ。」

 堤さんは、今国会に提出された水道民営化を含む「水道法改正案」についてこう書いています。

 「水道民営化を含む『水道法改正案』は、委員会で9時間、本会議ではわずか2日の審議を経て、衆議院本会議で可決された。だが大半の国民は、この重大な法律に全く気づかなかった。本来なら新聞の一面にデカデカと乗り、テレビで大きく取り上げられるはずのこのニュースが、紙面のどこにもなかったからだ。日本のマスコミは足並みを揃えたように、オウム真理教の浅原彰晃と幹部7人死刑執行の話題を一斉に流し、日本人のライフラインである水道が売られることへの危険について、取り上げることはなかった。」

 改めて、先の臨時国会で強行された法案一つ一つを再度検証する必要性をこの本を読んで痛感しました。

 「水道法改正案」などは、国民に知られたくないので、強行したとしか思えません。

 改めて、水が売られていいのか、水道の民営化について考えたいと思います。

 皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 年末年始、堤さんの「日本が売られる」からしっかり学びたいと思います。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。