この夏、NHKで放映された山田尚子監督のアニメ映画「聲の形」を録画して観ました。
小学校時代の聴覚に障がいをかかえる硝子に嫌がらせをする将也の関わりに胸を鷲掴みにされ、今、コミック本を一巻から読んでいます。
公式ファンブックで漫画原作者の大今良時さんは、インタビューの中で、「いじめ」や「聴覚障害」という非常に重い事柄を、あえて作品のテーマに据えたことに対して次のように答えています。
「『いじめがテーマ』とシンプルに語られることに、少し違和感を抱いているところはあります。自分としては『いじめ』や「聴覚障害』を主題にしたつもりはなくて、『人と人がお互いに気持ちを伝えることの難しさ』を描こうとした作品です。だから『聲の形』というタイトルにしても、『コミュニケーションそのものを描いた話』なんだよ、という想いを込めています。」
「『聲の形』は、実体験に基づく要素がとても大きく影響しています。あの子の声を聞けなかった、気付けなかった後悔が、『ちゃんと見る』『ちゃんと聞く』いう石田が抱える課題に影響を与えています。きっかえとなったその友達の耳が聞こえなかったわけではありませんし、自分にとっては、硝子の聴覚障害は作品のテーマを読者に気づかせるためのモチーフのひとつであって、描くべき『本題』ではなかったんです。」
友だちとの関係が世界そのものであるような小学校から高校までのヒリヒリする人間関係を物語に昇華させる大今良時さんの筆力に感服しました。
漫画というメディアの可能性の深さを実感する作品でもありました。
久しぶりに、ページをめくる手が止まらない漫画を読みました。
高校の友人とここ数年、毎年のように会食をしています。
同じメンバーであっても、上手く話せなくなったりすることが多々あります。
同じ言葉を同じ人にぶつけたとしても反応が変わってくることがあります。
言葉は表面的なものであり、やはり、トータルとして相手とコミュニケーションが取れているかどうかなのでしょう。
大今良時さんが語るように、究極の相手とのコミュニケーションは「ちゃんと見る」「ちゃんと聞く」ですね。
私は、「見ずに話す」「聞かずに話す」所があるなあと、この作品を見て実感しました。
私は、日本福祉大学で学びゼミナールは「障害者福祉」でした。
個人を取り巻く障がいを取り除き、一人ひとりの権利を尊重していくことの大切さを学びました。
障がいを持った方々の問題に関しても「ちゃんと見る」「ちゃんと聞く」が原点だと思いました。
私は、今、西宇部校区人権教育推進委員協議会の会長を務めています。
「障がい者」の問題をはじめ様々な人権課題がありますが、その解決の原点は。「ちゃんと見る」「ちゃんと聞く」ことだとこの作品から気づかされました。
全ての人々の人権が尊重されるためには、「ちゃんと見る」「ちゃんと聞く」ことが原点だと気づきました。
山口県では来週から2学期です。この時期に、自殺をする児童・生徒が多い国となりました。
私たち親たちが、スマホを置いて、この時期、子どもたちの「聲の形」を見つめる時だと痛感します。
子どもを取り巻く大人たちが子どもたちのを「ちゃんと見る」「ちゃんと聞く」ことが大切な時だと痛感します。
まずは、親として、わが子を「ちゃんと見る」「ちゃんと聞く」努力を続けたいと思いました。
コミック「聲の形」、映画「聲の形」のファンの皆さん、感想をお聞かせ下さい。
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