議員日誌

飲酒米兵が死亡事故

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、「19日午前5時5分ごろ、那覇市泊の国道で米軍トラックが軽トラックと正面衝突し、軽トラックを運転していた同市栄原の会社員、平良英正さん(61)が胸を強く打ち死亡しました。沖縄県警那覇署は同日、運転していた米海兵隊上等兵のニコラス・ジュームスマクリーン容疑者(21)=牧港補給地区所属=を過失運転致死や酒気帯び運転の疑いで逮捕しました。」「沖縄県警の資料によると、米軍関係者によると交通事故は統計のある1981年から2016年末までで3613件、死傷者数は1990年~2016年末で4106人(死亡82人)に達しています。」と報じました。

 今朝の読売新聞は、同事件について「県警が米軍側に確認したところ、『(事故当時は)公務外』との回答があった。」と報じました。

 昨日も引用した伊勢﨑賢治・布施祐仁著「主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿」から今日も引用します。

 「日本は独立した主権国家です。そして、法治国家でもあります。日本国内には日本の法令が適用されます。それに一種の『例外』を設け、米軍やその関係者に特別な権利を与えたいるのが日米地位協定です。」

 この本では、このように日米地位協定を規定し、次の「特権」を米軍に与えていると指摘しています。

 〇日本のどこでも施設・区域の提供を求める権利(2条)

 〇提供された施設・区域内ですべての管理権を行使する権利(3条)

 〇施設・区域を返還する際、原状回復・補償の義務を免除される権利(4条)

 〇米軍の船舶・航空機が日本に出入りする権利、日本国内を自由に移動する権利(5条)

 〇日本の公共サービスを優先的に利用する権利(7条)

 〇米兵・軍属・家族が日本に出入国する権利。米兵について入国審査を免除される権利(9条)

 〇関税・税関検査を免除される権利(11条)

 〇課税を免除される権利(13条)

 〇公務執行中の刑事事件についてアメリカ側が優先的に裁判権を行使する権利。日本の捜査機関による身柄の拘束から免除される権利(17条)

 〇損害補償、民事裁判権に関するさまざまな免除を受ける権利(18条)

 今回の事件は、「公務外」であれば、米軍は17条の「特権」を行使できないものと思われます。

 日米地位協定17条には、「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行うものとする。」との規定があります。

 日米地位協定では、アメリカ側が被疑者お身柄を最初に確保した場合、日本側が起訴する時までアメリカ側が被疑者を拘禁するとされているのです。「基地に逃げ込めば助かる」と言われる所以です。

 1995年の少女暴行事件を受け、制定された日米合同委員会合意は「合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的な考慮を払う。」とされました。

 この合意について、この本は、「アメリカ側に起訴前の身柄の引き渡しを義務付けるものではなく、あくまでも日本側の要請に対して『好気的な考慮を払う』ものであり、要請に応じるかどうかはアメリカ側次第なのです。」と指摘しています。

 この本は、米国と韓国が締結している米韓地位協定は、「米側は、12種類の凶悪な犯罪の場合は韓国側による起訴時、それ以外の犯罪については裁判確定後まで、被疑者を拘禁できることになっています。」と指摘し、2012年の韓米合同委員会で、「起訴前の身柄引き渡しを事実上不可能にしていた『24時間以内起訴ルール』を削除することが合意されました。これにより、現在は、少なくとも12種類の犯罪について起訴前の身柄引き渡しが現実的に可能になっています。」と書いています。

 この本は、韓国の方が「日米地位協定よりも有利な運用を勝ち取っている」と結論づけています。

 今回の事件で、米側の特権がどう行使されるのかはっきりしない部分がありますが、相次ぐ米兵犯罪が起こる中、日米地位協定17条の抜本的改定が急がれます。

 皆さんは日米地位協定についてどうお考えですか、お教え下さい。

 

 

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