12月2日、私は、11月県議会で、一般質問を行いました。今日は、県立高校再編整備計画について報告します。
県教委は、10月、県立高校再編整備計画後期実施計画(素案)を発表しました。素案は、県内14校を再編統合することで7校にし、3分校の募集停止などを検討するというものです。
今年2月に公表された中教審「高等学校教育の在り方ワーキンググループ(審議まとめ)」は、「学校の存続は地域の存続にもかかわる重要な課題ともなり得るものである」「地域と密着した小規模校ならではの多様な人間関係の構築の在り方も考えられる」「小規模校のメリットを最大化するとともに、課題を最大限解消し、教育条件の改善につながる方策を国としても考えていくことが必要である」と述べました。
私は、「県教委は、素案を立案する上で、中教審の『審議まとめ』をどう半径したのか。『審議まとめ』を生かし、『望ましい学校規模』を見直し、素案を再検討すべきだ」と質しました。
根ケ山副教育長は「当審議まとめは、これからの高校教育の在り方に係る基本的な考え方がまとめられたもので、その中で、一定の学校規模を確保することの意義は大きいとされつつ、小規模校として地域に残す必要がある場合に、考慮すべき内容が示されたものであり、本素案についても、全体として、その方向に沿ったものであると考えている。また、望ましい学校規模については、最大限の教育効果が期待できるよう、学校規模別の開設科目数や配置教員数、部活動数等を踏まえて検討し、基準として示しているものであり、これを見直し、改めて新しい素案を示すことは考えていない」と答えました。
山口県中山間地域づくりビジョン(2022年度~2026年度)に「高等学校における教育の充実」があり、「今後の少子化の進行や、生徒のニーズ及び地域の状況の変化等を踏まえ、望ましい学校規模の確保を目指して再編整備に取り組んむ中で、選択幅の広い教育を展開する学校・学科を設置するなど、特色ある学校づくりを推進し、高等教育の一層の充実を図ります」とあります。
私は、「県教委は、本素案を作成する上で、県中山間地域づくりビジョンをどうのように反映したのか。提出された素案は、中山間地域の高校教育の一層の充実を図るものになっていない。ビジョンとの整合性を図るため、県教委は、素案を再検討すべきだ」と質しました。
根ケ山副教育長は「当ビジョンは、県教委の取組を踏まえたものとなっており、本素案の内容との整合がとれたものであると考えていることから、改めて新しい素案を示すことは考えていない」と答えました。
私は、「県は、素案の作成に向け、県教委から、どのような意見照会があったのか」と質しあました。
池田総合企画部長は「県立高校再編整備計画後期実施計画(素案)の作成に関して、教育委員会からの意見照会は受けていない」と答えました。
日本共産党県議団は、11月4日に愛媛県教委を、5日に高知県教委を訪ね、各県の高校再編の進め方についてお聞きしました。
愛媛県教委は、再編整備計画案を立案する中で、県内8地域に、協議会を設置し検討を進めました。地域協議会には全ての首長と教育長が参加しています。
私は、「県教委は、市町の意見が反映できる制度を構築し、素案の再検討を行うべきだ」と質しました。
根ケ山副教育長は「本素案については、学識経験者や企業関係者、市長会やPTAの代表者等で構成された検討協議会の議論を踏まえて策定した『第3期県立高校将来構想』の方向性に沿って取りまとめたものであり、改めて新しい素案をお示しすることは考えていない」と答えました。
高知県教委は、中山間地域の小規模校に地域コンソーシアムを設置し、生徒確保に確保に向けたアクションプランを策定する仕組みを構築しています。
私は、「県教委は、高知県と同様の組織を構築し、素案の再検討を行うべきだ」と質しました。
根ケ山副教育長は「本素案は、高校教育の質の確保・向上を図る観点や地理的条件、交通事情による生徒の教育への影響等、本件の実情を総合的に勘案しながら検討したものであることから、改めて素案を示すことは考えていない」と答えました。
統合対象校の学級数をみると、豊浦高校5クラス、長府高校4クラス、下関西高校6クラス、下関南高校4クラス、萩高校4クラス、萩商工高校4クラスと、両校とも4学級以上の組み合わせが3つもあります。
私は、「両校とも4学級以上なのに、なぜ再編統合するのか。望ましい学校規模との整合性が取れていない」と質しました。
根ケ山副教育長は「中学校卒業見込み者数の急激な減少が見込まれる中、昨年度生まれた子どもが中学校を卒業する15年後を見据えて、望ましい学校規模を確保することで、高校教育の質の確保・向上を図るために県立高校の再編整備に取り組んでいるところだ」と答えました。
高知県教委は、中山間地域等の小規模校について本校は1学年1学級20人以上、分校は1学年10人以上と定めています
山口県教委の望ましい学校規模は、1学年4~8学級です。
私は、「望ましい学校規模を見直し、素案を再検討すべきだ。分校は独自の基準を設けるべきだ」と質しました。
根ケ山副教育長は「県教委では、望ましい学校規模については、最大限の教育効果が期待できるよう、学校規模別の開設科目数や配置教員数、部活動数等を踏まえて検討し、基準として示しているのであり、これに沿って一律に再編整備を進めているわけではないことから、これを見直すことは考えていない。全日制課程を置く分校については、多様で柔軟な教育課程による選択幅の広い教育や、学校行事、部活動などおいて、活力ある教育活動の展開が困難になることから、地元中学校卒業者の入学状況等を勘案した上で、募集停止を検討することとしており、分校について、新たな基準を設けることは考えていない」と答えました。
私は、質疑を振り返り、改めていくつかの点を指摘したいと思います。
第一は、小規模校の評価についてです。
中教審は、「小規模校のメリットを最大化する」と審議まとめで指摘しています。県教委は、この審議まとめを尊重しているといいながら、「中学校卒業見込み者数の急激な減少」を受け、県立高校の統廃合ありきに終始していると思います。県教委には、小規模校は、地域の宝であり、小規模校を可能な限り存続させるという姿勢が皆無だと感じます。
第二は、高校再編をオール山口県の視点で評価することについてです。
知事部局は、高校再編について、県教委から意見照会を受けていないという答弁には驚きました。いくら素晴らしい「中山間地域づくりビジョン」を書いても、それぞれの具体化の場面でどうなっているのか、オール山口県の視点で検討を行うことが必要だと思います。
高知県教委の高校再編の計画文の中に、高知県の中山間地域振興計画との整合を図るという趣旨の文章がありました。
今からでも、これほどの高校再編が中間地域にどのような影響を与えるのか検討すべきです。これまでの高校再編についても検証すべきだと思います。
第三は、市町の意見の尊重についてです。
県教委は、「第三期県立高校将来構想」を立案する段階で、多方面の意見を聞いたと答えました。これを否定するものではありませんが、具体的に学校を再編統合する(素案)を立案する前の段階で、当該市町や市長教委の意見が集約されいない状況です。今からでも、当該市町と市町教委の意見を聞くべきです。
第四は、望ましい学校規模に固執していることについてです。
県は、「学校規模別の開設科目数や配置教員数、部活動数等を踏まえて検討し、基準として示している」ことを理由に、現在の1学年4学級以上という望ましい学校規模を見直さないと繰り返し答弁しています。
しかし、これでは、中教審の「小規模校のメリットを最大化する」との方針を県は尊重しているとは言い難くなります。
また、これでは、中山間地域の学校は、存立できなくなります。
私は、この点を繰り返し指摘をしていますが、県教委は、「第三期県立高校将来構想」は、外部委員を入れて検討した、望ましい学校規模は正しいとの見解を見直さない姿勢は重大だと思います。
広島県でも、高知県でも、多くの近隣の県が都市部と中山間地域の高校再編の基準を分けて検討しています。
山口県が、一つの基準で再編を押し通すというのは、やはり、問題があるということを指摘しておきたいと思います。
高校再編問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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