しんぶん赤旗日刊紙に、映画「ゲッベルス ヒトラーをプロヂュースした男」の評論を映画ライターの平沢清一さんが次のように書いています。
「ヒトラーの側近としてナチスの情報操作を統括した宣伝相ゲッベルス。ドイツ国民を欺き大虐殺に加担させた戦争犯罪に迫る。ヨアヒム・A・ラング監督。1938年ドイツのオーストリア併合。ゲッベルス(ロベルト・シュタットローバー)は群衆を集めて街を飾り、ウィーンの歓迎ぶりを周到に演出した。その絶大な効果にヒトラー(フリッツ・カール)は『魔法をかけた』と称賛した。さらに国民を扇動するため、熱狂的な演説会や差別をあおる反ユダヤ映画などを次々と仕掛けた。全メディアを統制したゲッベルスはヒトラーの神格化とナチズムの浸透を押し進める。さらなる武力侵攻を急ぐヒトラーに異論を唱えて叱責されるゲッベルス。その上ヒトラーに愛人との関係も裂かれ、妻マグダ(フランツィスカ・ワイズ)と夫婦の範を示すよう厳命される。冷遇されたゲッベルスは、再びヒトラーの歓心を得ようとユダヤ人攻撃を強める宣伝戦略を発案し・・・。実際の映像と対比させ暴く、虚偽と憎悪をまき散らし国民感情や世論を操った手法は狡猾でおぞましい。ヒトラーが濫用し独裁を築いた緊急事態条項。自民改憲案に盛り込まれ、麻生元首相は『ナチスの手口を学んでは』と暴言して物議を醸した。戦犯戦時が克服されない日本では、ナチズムは極めて身近な脅威だ。扇動者に惑わされず、権力の世論操作やデマを見きわめる力が問われている。悲劇を繰り返さないための反面教師となる映画だ。」
10月18日、西京シネクラブの例会で、映画「ゲッベルス ヒトラーをプロヂュースした男」が上映され、パートナーと一緒に視聴しました。世界で、極右・排外主義が強まる中で、悲劇を繰り返さないために、今こそ、観るべき映画だと思いました。
映画のパンフレットでヨアヒム監督は、ゲッベルスを主役に映画を作ろうと思ったのはなぜかとの質問に、「確かにゲッベルツが主役ですが、ヒトラーを扱った映画でもあるんです。この二人に焦点を当てたことが大切で、ヒトラーだけでは決してあの大多数のドイツ人を犯罪行為に加担させる、賛同させることはできなかったからです。ヒトラーが自分の目的を遂行するためにはどうしてもプロパガンダが必要だった。だから、この映画で主に描きたいのは2人の関係せいなんです。もう一つは、現代に通じる文脈として今も私たちは様々な誤情報、あるいは操作された情報に晒されています。その状況の中で当時の出来事が今に繋がっていると意識を持って、この人物を選びました。」と述べています。
在独ジャーナリストの熊谷徹さんは、映画のパンフレットでこの映画の今日的意義をこう述べています。
「この映画は、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスを描くことで、過激なポピュリスト勢力によるプロパガンダの危険性を見事に表現した。だがこの映画の狙いは過去の出来事を描くことだけではない。むしろ監督が目指しているのは、フェイクニュースが毎日のように一部の政治家たちによって拡散されて、多くの市民の心を汚染している現代社会について、警鐘を鳴らすことだ。そのことは、冒頭の『ヒトラーという犯罪の最高責任者だけではなく、犯罪を実行した者たちの仮面を引き剥がさなくては、今日のデマゴーグ(妄言を吐く者)の武器を奪うことはできない』という監督のメッセージに表れている。1930年代のドイツと右派ポピュリズム勢力が拡大する今日の欧米諸国の間には、重なり合う部分がある。」
右派ポピュリズム勢力の拡大は、日本でも広がっています。
17日、東京で、外国人差別を公言する候補者や政党にたいして危機感を覚えた弁護士や音楽プロデューサーらが呼びかけた『デマと差別が蔓延する社会を許しません」アピールの2回目となる街頭宣伝が行われました。
この街頭宣伝に参加した日本共産党の田村委員長は、次のように訴えました。
「この国は、デマと差別が最も蔓延した時代に、侵略戦争と植民地支配で徹底的にアジアの人たちを差別し支配した。いまも外国とたたかうとなったら、その国に対する敵がい心をあおることが必要です。戦争への道、戦争をしないという憲法を変えようという動きのなかでの差別、デモではないかと指摘しなければならない。平和と人権を掲げ、この国に働き住み暮らす、すべての人たちの人権を守る。そういう社会、政治をつくるために、私たち日本共産党も、皆さんとの連帯を大いに広げてがんばりぬきます。」
ナチスはユダヤ人を差別しましたが、日本では、アジアの人たちを差別し支配した歴史を忘れてはなりません。差別の拡大の中で戦争が拡大していった歴史を忘れてはなりません。
そして、それらの悲劇を繰り返してはなりません。
デマと差別が蔓延する社会を許してはなりません。
私は、明日、参議院議員会館で行われる、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会が行う、国会交渉に、県議会議員として参加する予定です。
戦前の差別に向き合うことは、未来をよりよくすることに繋がると確信しています。
明日の交渉で、遺族への遺骨返還が前に進むことを願っています。
映画「ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男」を観られた感想をお聞かせください。
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