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「長生炭鉱事故犠牲者の遺骨とみられる人骨発見」「反戦情報」に私の小論が掲載

  反戦情報(2025・9・15)No.492号に、私の小論が掲載されました。

 必要な方は、私の手元に数冊ありますので、お申し出ください。

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長生炭鉱事故犠牲者の遺骨とみられる人骨発見

  長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会運営委員 藤本一規

 1941年12月8日、日本軍がマレー半島に上陸し、米ハワイの真珠湾を攻撃、アジア・太平洋戦争が始まりました。その2カ月後の1942年2月3日、長生炭鉱で水没事故が発生し、183人が亡くなりました。亡くなった方の7割の136人が朝鮮半島出身労働者でした。
 「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(以下、刻む会)が市民の協力を得て行ったクラウドファンデングで得た資金を基に、水没事故犠牲者の遺骨収集のための潜水調査が、水中探検家・伊佐治佳孝さんを中心として、昨年10月末から始まりました。5回目となる8月6日と8日の潜水調査では、目指していた主坑道に到達しました。6回目の調査は、韓国人ダイバーのキム・キョンスさんとキム・スウンさんが参加。8月25日に大腿骨、上腕骨、橈骨が発見され、同26日には、頭蓋骨が発見されました。骨は、県警に渡され、県警は、同27日、いずれも人骨と判明したと発表しました。
 韓国遺族会の会長の楊玄(ヤン・ヒョン)会長は「炭鉱のピーヤ(海面に突き出た坑道の排気・排水筒跡)で収容した骨なら、当然、水没事故で亡くなった方ですが、それを確認すること自体も申し訳ない限りです。その方々を日本政府が一日も早く収容して、故郷の地で永眠できるようにお願いします」とメッセージを寄せました。
 長生炭鉱水没事故の犠牲者とみられる人骨が発見されたことを受け、野党国会議員有志は、9月4日、国会内で、厚生労働省に対し、石破茂首相と福岡資麿厚労相の現地訪問、遺骨収容作業への政府の参画を要請しました。申し入れには、日本共産党の小池晃書記局長、社民党の福島瑞穂党首、ラサール石井参院議員が参加。遺骨の発見以降も日本政府が消極的な姿勢をとり続けていることに対し、小池氏は「遺骨が発見され、局面が変わったことを認識しているのか」と質問。厚労省の担当者は「安全性が確保できない状況では政府の参画は不可能」と従来と同じ見解を繰り返しました。さらに、担当者は「現地の状況や調査の進展など、現状を正確に把握できていない」と述べました。野党側が、炭鉱内の潜水調査を担当する伊佐治さんと日韓両国のダイバーを交えた検討会を実施するよう求めると、厚労省側は「実施する」と答えました。伊佐治さんと、現地調査に関わったダイバーを交えた、厚労省での検討会が開催されることは大きな前進です。
 1991年に、「刻む会」が結成され、ピーヤの保存と追悼碑建設運動を始めました。毎年水没事故の日にあわせて、韓国から遺族らを招き追悼式を行ってきました。2013年には、「強制連行 韓国・朝鮮人犠牲者」と書いた追悼碑が完成しました。そして、ついに、昨年9月29日、長生炭鉱の坑口を開けました。
 2004年12月、当時の小泉純一郎首相は、廬武鉉韓国大統領と日韓首脳会談を行いました。廬大統領は、徴用工の遺骨問題の解決を提起。小泉首相は、「何が出来るか検討する」と表明しました。政府は、これまで、遺骨の位置や深度が不明のため収集は困難だと答弁してきました。しかし、長生炭鉱事故犠牲者の遺骨とみられる人骨が発見された今、政府の言い訳は通用しません。ただちに政府として調査を行い、遺骨を、速やかに遺族の元に届け、尊厳を回復すべきです。
 「刻む会」は、9月9日、遺骨収集後、初めてとなる政府交渉を行うことにしています。外務省への要請では、遺骨のDNA鑑定に関し韓国政府との連携などを求めます。内閣府や厚労省には、遺骨の位置や深度が分かった今、遺骨収集の実施のために必要な補正予算を計上することなどを求めます。

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 引き続き、皆さんのお声をお聞かせください。

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