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JR美祢線の鉄路としての復旧に、JR西日本の責任を果たす時 国は、JR西日本を指導すべき

 JR美祢線の沿線自治体やJR西日本などでつくる協議会の総会が開かれたことについて、23日、中国新聞は次のように報じました。
 「2023年夏の大雨で被災して全線運休が続く山口県西部のJR美祢線の沿線自治体や経済団体、JR西日本でつくる協議会の総会が22日、長門市であった。復旧方法の検討結果を両論併記でまとめた報告書が提出されたが、JR西はバス高速輸送システム(BRT)での復旧が適当だと表明した。協議会は7月に臨時総会を開き、意見を集約する。報告書では鉄道での復旧、BRTや路線バスによる復旧の双方について費用や特性をまとめた。復旧費は鉄道58億円以上、BRT55億円、路線バス9億6千万円。年間の運営費は、鉄道が5億5千万円以上だが、BRTと路線バスは各2億5千万円に圧縮できる。復旧までの期間も鉄道の最短10年程度に対し、BRTは約3~4年、路線バスは約1~2年と短い。BRTは、専用道や専用レーンを設けるなど速達性や輸送力を高めたバスシステム。美祢線では、全46・0キロのうち並行道路が狭い4・2キロを専用道に整備し、他区間は線路沿いの既存の国道や県道でバスを走らせる案が浮上している。総会でJR西の広岡研二広島支社長は、低コストで増便できるBRTを導入し、山陽新幹線や山陰線との乗り換え機会を増やす必要があると強調。『BRTで復旧し、広域の交通ネットワークの利便性と公共交通としての持続可能性を高めるのが適当だ』と訴えた。他の参加者からは『報告書を持ち帰って精査したい』との声が相次いだ。協議会会長の篠田洋司美祢市長は総会の最後に『被災からもう2年。費用面や利便性、将来の住民にとっても何が必要かをできる限り早く判断する必要がある』と発言。7月の臨時総会で意見を集約した上で県と沿線3市で話し合い、復旧の方向性を決定する考えを示した。(解説)JR美祢線の復旧方法の検討結果をまとめた報告書が22日、公表された。鉄道存続かバス転換かの方向性には踏み込んでいないが、JR西日本が『BRTが適当』と姿勢を鮮明にしたことで、今後は沿線自治体側が決断を下す局面に入る。BRTは、輸送力では鉄道に及ばないが、一部区間に専用道を設けることで鉄道と同水準の速達性や定時性を目指す。鉄道のような大型設備は必要なく、運行本数や停留所を増やしやすい利点もある。現時点の案ではJR西のグループが運行を担うため、運営面で自治体の財政負担は生じない。自治体側はこれまでJR西による鉄道復旧を求めてきた。しかし、JR西は利用低迷を理由に、自社単独での鉄道復旧と運行再開を否定。自治体が関与する『上下分離方式』を導入するなら鉄道復旧もあり得るとし、自治体が年3億円以上を負担する案を示している。自治体が鉄道での復旧を求めるなら、財政負担は避けられない状況だ。美祢線は3市を経由し、山陽と山陰を南北に結ぶ広域の公共交通だ。BRTではなく、財政負担をしてでも鉄道で残したいのかどうか。沿線3市とともに、広域行政を担う山口県の姿勢も問われる。」
 私が、5月6日付ブログで紹介した通り、山口県知事をはじめ、29知事が連名で、4月9日、石破首相に、「全国的な鉄道ネットワークのあり方に関する特別要望」書を提出しました。
 この中で要請書は、「JR各社は、国鉄の分割民営化による発足時、多額の国鉄長期債務を切り離して国民負担とするほか、事業用固定資産の無償継承や経営安定化のための国費投入が行われ、会社全体の経営の中で内部補助によりローカル線を維持していくものとされた経緯がある」と指摘しています。
 この指摘は、極めて重要なものです。JR西日本は、鉄路を残すなら、自治体負担という論理は、国鉄民営化による発足時の経緯に鑑み、慎むべきだと思います。JR西日本の責任で、鉄路として美祢線を残すことは当然のことだと思います。
 要望書は、「被災した路線について、早期復旧のため鉄道事業者及び地方に対し更なる支援を行うとともに、災害を契機として、沿線自治体の意向を十分尊重することなく、鉄道事業者側の一方的な事業により、安易に存廃や再構築の議論を行わないよう、国の責任においてJRを含む鉄道事業者に対し厳格な指導を行うこと」と指摘しています。
 今こそ、国の責任の発揮が求められます。JR西日本は、災害を理由に、JR美祢線の「存廃や再構築」の議論を行おうとしています。
 国は、JR西日本に対し、厳格な指導を行うべきです。美祢線が鉄路として早期復旧されるよう、国は、JR西日本と沿線3市に対し、更なる支援を行うべきです。
 美祢線の復旧に関し、鉄路なら自治体負担、BTRなら可能との流れがつくられようとしていますが、この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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