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仲松昌次著「『艦砲ぬ喰ぇー残さー物語』でいご娘と父・比嘉恒敏が歩んで沖縄」を読みました。

 先日の沖縄出張した際、普天間基地に隣接した場所にある佐喜眞美術館を訪ね、「でいご娘」の歌と、元NHKディレクターの仲松昌次さんのお話をお聞きしました。
 今日までに、「『艦砲ぬ喰ぇー残さー物語』『でいご娘』と父・比嘉恒敏が歩んだ沖縄」を読みました。
 沖縄の戦後を代表する沖縄民謡に「艦砲ぬ喰ぇー残さー」があります。歌詞・作曲したのが比嘉請恒敏さん。恒敏さんの子どもたち4姉妹で結成されたのが「でいご娘」。私が沖縄でお聞きしたのは、三女の千津子さんと四女の慶子さんのデュエットでした。
 恒敏さんと子どもたちが生まれ育った読谷村のユウバンタに「艦砲ぬ喰ぇー残さー」の歌碑が建立されました。この歌碑にはこう書かれています。
 「1945年(昭和20年)4月1日、アメリカ軍は比謝川河口を中心として南北10キロ余の海岸から上陸してきました。それは、明らかに北飛行場(読谷)と中飛行場(嘉手納)攻略を目指したものでした。アメリカ軍は1400~1500隻の艦船と183,000人の兵員で上陸を行い、ほとんど無抵抗のうちに上陸し、その日のうちに2つの飛行場は占領されてしまいました。アメリカ軍は海、空、陸から地形が変わるほど激しい艦砲射撃を行い、この戦闘が『鉄の暴風』と呼ばれ、緑豊かな島は焦土と化した。戦後68年が経過し沖縄戦の実相が時間の経過と共に風化していくことが危惧されている今日、改めて歴史の過ちを繰り返さないため沖縄戦体験の継承が課題となっている。『艦砲ぬ喰ぇー残さー』は1971年頃(故)比嘉恒敏氏が作詞・作曲した沖縄民謡で1975年、恒敏氏の四人娘、民謡グループ『でいご娘』がレコーディングして県内で大ヒットした。歌詞の中には、戦中、戦後の沖縄戦体験者の思いが綴られていて艦砲射撃によって犠牲になった人々への哀悼と共に、悲惨な沖縄戦を生き残った(うちなーんちゅ)の戦争を恨み平和を願う心情が綴られ『恨でぃん悔でぃん 飽きじゃらん 子孫末代 遺言さな』と結ばれている。悲惨な沖縄戦の実相を伝える象徴として、この地から全世界へ戦争の悲惨さと平和の尊さを発信するため『艦砲ぬ喰ぇー残さー』の歌碑を建立する。2013年6月23日」
 恒敏さんは、戦争中は、大阪に出稼ぎに出ていました。当時、彼は、光子さんと結婚して次男と一緒に生活していました。長男は、沖縄の父母に託していました。
 恒敏さんの父、母、長男が、対馬丸の事故で亡くなり、妻と次男は、大阪空襲で亡くなりました。
 恒敏さんは、天涯孤独となり、沖縄で再婚したシゲさんとの間に生まれたのが、「でいご娘」の4女と間に3男の7名の子どもたちです。
 恒敏さんは、「艦砲ぬ喰ぇー残さー」が大ヒットする直前の1973年、交通事故で、妻のシゲさんとともに亡くなってしまいました。享年、恒敏さん56歳、シゲさん48歳でした。
 三女の千津子さんの夫である朝比呂志さんが、「艦砲ぬ喰ぇー残さー」の訳詞をしています。
 4番と5番を紹介します。
・・・
 平和の世を迎え何年たっただろうか
 子らも成長していくと
 射ち損ばいの猪が
 我が子案じるごとく
 (苦い)潮の水は二度との想いで
 夜っぴ眠れぬ日もあり・・・
 
 我が親喰らったあの戦
 我が島喰らったあの艦砲
 生まれ変わったとて忘れるものか
 誰があのざまを始めた
 恨んで悔やんでまだ足りない
 子孫末代遺言しよう
・・・
 戦後80年、沖縄戦後80年、「誰があのざまを始めた」のか、「子孫末代遺言しよう」この言葉をかみしめます。
 還暦を迎えた私たちの親世代が最後の戦争経験者です。その方々が80代後半から90代になっています。
 子孫である私たちの世代が「平和の世を」継承していかなければなりません。
 再び戦争の悲劇を繰り返さないためには、誰があの戦争を始めたのかを学ばなければならない。
 このことを恒敏さんは、子孫の代の私たちに伝えてくれているのだと思います。
 辺野古への新基地建設と南西諸島に自衛隊のミサイル基地建設が強行される沖縄を視察しました。
 沖縄で、戦争を始める準備が進んでいることを実感しました。戦争を実際に始めてはいけない決意を恒敏さんの歌詞から学び深めました。
 この本の作者である仲松さんには実際にお会いしてサインをいただきました。
 仲松さん、これからも沖縄戦の歴史を未来につなぐ本を書き続けてください。
 仲松さん、またお会いいたしましょう。素晴らしい本をありがとうございました。
さて、このブログを書いている最中、沖縄のひめゆり学徒隊の歴史を偽造する自民党議員の発言が、問題になり、ようやく議員側が発言を撤回しました。
 沖縄に向き合うという自民党は、恣意的にしか沖縄に向き合おうとしてないと感じます。
 私は、これからも沖縄と向き合い、山口県や日本全体の問題を考え続けていきたいと思います。
 沖縄戦の歴史と沖縄の今について、皆さんのご意見をお聞かせください。

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