岩波ブックレットのジョン・ミッチェル・小泉昭夫・島袋夏子著「永遠の化学物質 水のPFAS汚染」を読んでいます。
この中で、沖縄タイムズ特約通信員であるジョン・ミッチェルさんが「PFASは地球を汚す」とする章で、米軍とPFASについて次のように書いています。
「米軍の規制では、軍が使用する泡消火剤、いわゆるAFFFは、火災を急速に鎮火できる唯一の物質とみなされたPFASを含む必要があった。独立した科学者が行ったAFFF研究によると、30種類以上のPFAS類が含まれており、なかでもPFOAが最も普及していた。2015年、軍はPFOSを含まない消火剤の使用開始を発表したが、新しく導入された消火剤もPFOAとその他PFAS類を含有するという。対照的だが、2000年代になると民間空港では、以前のものと同様の効力を発揮すると確認し、PFASゼロの新しい消火剤への転換が始まった。軍事基地は数十年にわたってAFFFを環境中に放出してきた。火災の後の消火剤は雨水溝に入り、風で飛散した。格納庫ではスプリンクラーの検査によって数万リットルの消火剤が散布された。最も深刻なのは、敵的なピットファイヤー訓練である。訓練用に設けた場所に水を満たして上から燃料をまき、制御しつつ火災を起こして、隊員の消火訓練を実施するものだ。水と燃え残った燃料が泡消火剤と混ざって雨水溝に流される。2016年に、米連邦政府は軍に対して、基地のPFASとPFOAの汚染を調査するよう命じた。2020年3月時点で、米国内の約600カ所の基地に汚染の疑いがあるとされた。PFAS汚染は稼働中か閉鎖後かを問わず、基地から近隣地域の飲料水の取水源に流出していた。米国内では軍が、影響を受けた地域に対して水を補給したり、代替となるボトル飲料水を提供せざるを得なくなった。米軍は日本では、PFAS汚染に関する情報をまったく公表しない。だが筆者が米軍情報事由法(FOIA)で入手した記録から、問題がはびこる様相は明らかである。日本本土で最も汚染のひどい場所のひとつが、在日米軍司令部のある東京の横田基地だ。AFFFの事故のなかには、3000リットル以上の泡消火剤を土中に一挙に流した2012年の事故もあるが、日本政府当局は情報提供を受けていない。この基地の飲料水は、基地内の地下水から提供されており、PFOAとPFOS汚染は35pptの値が検出された。またこの基地の排水は、多摩川のPFOS汚染と関連づけられている。この他のAFFF関連事故は、山口県の海兵隊岩国基地や神奈川県厚木基地でも発生しており、青森県の三沢空軍基地では、2012年に発生した事故で、大量の消火剤が付近の水田に流出したが、軍は農家に対して害はないと確証していた。三沢基地で提供されてきた飲料水はPFAS汚染されていた。米空軍の検査では、2018年に、地域の地下水と湖を水源とする水から、PFOAとPFOSとを合わせて19pptの汚染が検出されている。ドロウンレンジ(天ケ森射爆場)付近の飲料水は、やはり地下水を水源とするが、2018年に、48pptという高い数値の汚染を検出していた。」
先日、本ブログで紹介した、18年5月18日の沖縄タイムズの記事は、ジョン・ミッシェルさんによるものです。この中で、米海兵隊岩国基地の2007年から16年の内部資料に、344件の環境事故が起こっており、「残留性有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)含有とみられる油圧作動油や泡消火剤の漏れ」などの事故もあったと報じられています。
日本国内の米軍基地で、PFAS汚染がどのような状況なのか米国は日本政府に報告すべきです。日本政府は、在日米軍基地内の汚染状況の報告を米国に求めるべきです。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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