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山口県の海域の利用に関する条例は、工作物の建設(使用)の許可は含まれない

 昨日、中国電力が、住民団体「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に上関原発の予定地での海上ボーリング調査を止めないよう求めた訴訟の第7回口頭弁論が行われ、中国新聞は、次のように報じました。
 「山口県上関町に原発建設を計画する中国電力が、住民団体『上関原発を建てさせない祝島島民の会』に予定地の海上ボーリング調査を止めないよう求めた訴訟の第7回口頭弁論が18日、山口地裁岩国支部であった。調査の正当性をめぐり双方の意見が対立。結審は来年以降になる可能性が出てきた。両者とも準備書面を提出した。中電は2014年に島民の会などと和解した内容に基づき、原発建設の準備工事が中断しても埋立区域で同町で建設を検討している使用済み核燃料の中間貯蔵施設の設置許可の申請に調査結果を使うかどうかについては『関連づけることはできない』と答えた。一方、島民の会は調査に必要な県の一般海域の占用許可は、県条例に基づき申請書に利害関係人の同意書が必要だとし、祝島島民が同意しない限り申請は違法で、中電は専用できないとした。知事からの要請を受けて埋め立て工事の先行きが見通せない中、海の埋め立て権を根拠に調査を進めるのは権利の乱用だと指摘した点への中電の反論が不十分だとして改めて回答を求めた。中間貯蔵施設と調査結果の関連についても明確に回答するよう再度要求した。最後に裁判長が今後の流れを両者に確認。中電は主張を出し尽くしたと答えた。島民の会は漁民や漁業権に詳しい専門家への尋問を予定し、次期は年明け以降になると説明して閉廷した。」
 私は、本裁判を傍聴することができました。
 その後行われた報告集会に参加しました。

 上関原発を建てさせない祝島島民の会の弁護団にる第7回口頭弁論の報告集会

 報告集会では、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」(以下、島民の会)弁護団が山口地方裁判所岩国支部に提出した「準備書面(6)」に関する報告を行いました。
 島民の会弁護団の準備書面は、一般海域占用の許可申請について論証しています。
 一つは、利害関係人についてです。
 山口県の一般海域の利用に関する条例の施行規則第二条第一項5号は「利害関係人がある場合にあっては、その同意書」を申請書に添付するとあります。
 準備書面は、2014年に中電が島民の会と交わした和解条項において祝島の漁民らを当事者にしており、「和解条項第3講において『船舶を進入させることのありうることも同意されているから、祝島の漁民らは、漁業権者であるか否かに関わらず、明らかに同規則で定める『利害関係人』である。」としています。
 二つは、海域の占用についてです。
 準備書面は「一般海域の『占用』とは、厳密には、『工作物の設置中及び設置後に工作物を存置し続ける(土地や水域を占用し続ける)こと』であり、他方で、一般海域の『使用』とは『工作物建設工事を実施すること』であるから、岡山県や長崎県の各条例と比べると明らかなように、山口県の一般海域の利用に関する条例第3条第1項には『工作物の建設(使用)』の許可は含まれておらず、一般海域の自由使用を妨げるような工作物の建設(使用)についいては得られていないことになる。したがって、山口県が管理する一般海域においては、原告が海上ボーリング調査を実施するとしても、本来、工作物の建設工事を実施することはできないはずである。」
 過去の議会で、祝島の漁民の同意が必要だとの議論はあったが、山口県の条例は工作物の建設(使用)の許可は含まれないとする議論は、行われていないと認識しています。
 この点については、今後の議会で議論していきたいと思います。
 大いに勉強になった一日でした。
 

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