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新年度、34歳以下の正規社員3%以上の賃上げを行う中小企業等に一人10万円

 4月1日、しんぶん赤旗日刊紙は、岩手県が中小企業の賃上げに支援金を支給していると次のように報じました。
 「岩手県は、時給50円以上の賃上げをした中小企業に対し、従業員一人あたり5万円を支給する『物価高等対策賃上げ支援金」制度を創設しました。受け付けが2月5日から始まっており、3月25日時点で1250件、8871人分の申請がありました。同県は、物価高騰の上昇ペースに賃金の上昇が追いついていない県内の中小企業が多いことから、賃上げ支援の必要があるとして、昨年12月、支援のための21億円を盛り込んだ補正予算を組みました。補正予算には全会派が賛成しています。支給対象は昨年4月以降、従業員の賃金を時給換算で50円以上引き上げた中小企業で、一人あたり5万円、1事業所に最大20人分、合計100万円を支給する制度。引き上げ後の賃金水準を1年間継続することなどが条件です。財源には国の『重点支援地方創生交付金』を活用することとしています。今年の春闘では大手企業を中心に5%の賃上げを決めましたが、まだ一部の企業にとどまっており、賃上げが物価高騰に追いついていない企業も多数あります。今後、中小企業が賃上げできるのかが課題となっています。政府が中小企業の賃上げ対策として行っているのは、賃上げした中小企業の法人税を減税する『賃上げ税制』です。6割の赤字企業は使えない制度で、今回、政府は赤字の企業が5年間繰り返し黒字になったら相殺できる繰越欠損控除制度を設けるとしています。与党税制大綱も、賃上げに向けた税制措置のインセンティブが必ずしも効かないと認めています。中小企業の賃上げが進まない原因の一つは、原材料やエネルギー、人手不足による労務費の高騰分を転嫁できないという問題です。原材料費の上昇分を転嫁できても、賃金について価格転嫁させてほしいと交渉できる中小企業はごく一部です。政府は賃上げした分を転嫁するよう促していますが、それだけでは賃上げできないことは明らかで、岩手のように中小企業の賃上げを直接支援する施策が必要です。3月22日の参院財政金融委員会で、日本共産党の小池晃書記局長が岩手の賃上げ支援策を取り上げたのに対して、鈴木俊一財務相は『自治体の独自の取り組みとして評価したい』と答弁。小池氏は、国としてもこの取り組みに学び中小企業の賃上げを直接支援すべきだと求めました。」
 山口県も、中小企業の賃上げ対策に取り組んでいます。所管の産業労働部から、この間の取り組みについて説明を受けましたので、その結果を報告します。
 県は、22年11月県議会に提出した11月補正予算に、中小企業制度融資として、「賃金引上げ・価格転嫁支援資金」を上程し、予算可決後の22年12月19日から取り扱いを開始しました。
 資金のねらいは、①事業場内賃金を引き上げた後の賃金支払いの円滑化②賃上げ原資の確保に向けた製品・サービスの価格転嫁の促進ーです。
 融資対象は、①雇い入れ後6月を経過した労働者の最も低い時間当たりの賃金を3%以上引き上げること。②賃金の引き上げの原資を確保するため、製品・サービスの価格転嫁に取り組むことーです。
 融資限度額は8千万円、融資期間は10年、融資使途は運転資金・設備資金です。
 融資利子は5年以内年1.7% 5年超年1.8%です。
 保証料率は、すべて保証付き 年0.34~年1.76%です。
 この融資制度は、昨年度、今年度も取り扱い中です。
 今年2月末までに6件の融資の申請が行われました。
 県は、23年6月県議会に提出した6月補正予算に、賃上げ環境整備応援事業を計上しました。
 この事業は、①県が指定する働きやすい環境づくりの制度等を新たに導入した場合に10万円/取組(最大4取組 40万円)及び②年内事業所に従事する労働者の賃金引上げ(時間当たり30円以上)の実現を支援を合わせて行うーものです。
 賃上げの取り組みは、一人6万円、上限は一社あたり60万円です。
 この事業に444件の交付決定が行われました。
 今年度当初予算には、「賃金見直しによる人材確保・定着支援事業」が計上されてました。
 一つは、初任給等引上げ応援奨励金です。
 これは、初任給や若年層(34歳以下)の正規社員について、定期昇給相当分を除く3%以上の賃金引上げを実施した中小企業等に奨励金を支給する事業です。
 一人当たりの支給額は10万円で、1社あたり100万円が上限です。

  奨励金事業は、4月中に開始される見通しです。
 二つは、賃金体系見直しモデル創出支援です。
 専門家による伴走支援としては、新たに賃金規定及び評価制度を導入し、計画的な賃金引上げを実現するとともに、従業員の将来摂家やスキルアップを図り業績向上を目指すモデル事業所を創出するものです。
 また、取組事例集を作成し、県内企業への横展開を行います。
 山口県は、新年度の事業は、若年層に特化したものですが、1社あたり100万円という点では、岩手県と同額の制度となっています。
 中小企業に賃上げを広げることは、今後とも極めて重要な課題です。
 国に、制度の拡充を求めながら、山口県にも制度の拡充を求めていきたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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