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逢坂冬馬著「歌われなかった海賊へ」を読む

 4日付、しんぶん赤旗日曜版に、「歌われなかった海賊へ」の著者である逢坂冬馬さんのインタビューが掲載されています。
 逢坂さんは、「同志少女よ、敵を撃て」で本屋大賞を受賞しました。
 逢坂さんは、前作との違いを聞かれ「前作と今回には共通する点があります。歴史上、突出した出来事でありながら、これまであまり語られてこなかったということです。ソ連の女性狙撃兵が意外に知られていないことは小説に出してから実感しました。今回の、ナチス体制に順応しない少年たちがいたということも知られていない気がしました。日本の過去の戦争では、戦時下の受難が作品下されることが多かった。でも、それでは描けない戦争というものが必ずあると思ってエーデルヴァイス海賊団を題材にしました。これなら新しい小説が書けるだろうと」と語っています。
 逢坂さんは、現在における本小説の価値について次のように述べています。
 「今回の小説を、昔のドイツの話だというだけでなく、現在に通じるものとして受け止めてくれたらうれしいです。国際社会はいま、歴史に通じるものとして受け止めてくれたらうれしいです。国際社会はいま、歴史に学ぶことの意味を問い直されています。例えばガザ攻撃をめぐるEU(欧州連合)主要国のイスラエル擁護は、明らかにナチス・ドイツの歴史と密接なかかわりをもっています。ナチスへの反省が、ガザで現在進行形のジェノサイドを容認することにつながっています。でも、これでは歴史に学んだとはいえません。本当にホロコーストに学ぶなら、パレスチナの人たちは保護されなければならないはずです。いかなる民族も、その民族であることを理由に土地を追われたり殲滅されたりすることがあってはならない。これこそがホロコーストの歴史の教訓として導き出されるものです。日本政府の姿勢を含め、歴史に誠実に向き合っているとはいえません」と語っています。
 本作には、ナチス政治が赤裸々に描かれています。
 まず、ユダヤ人の殲滅です。作品の中ではこう書かれています。
 「理想的なアーリア人、それしかいないドイツ人繁殖のための牧場だ。要するにコインの裏表。片面ではユダヤ人をドイツから一掃し、『劣等人種』を排除するコインの反対面で、きらきら光っている顔が私たちってわけだ。」
 ナチスが殲滅したのは、ユダヤ人だけではありません。作品の中ではこう書かれています。
 「ナチスは収容所に入れる人たちに色のついた下向き三角形を与えることで、彼らを記号のように扱っていた。犯罪者は黒、共産主義者は赤、宗教的異端は紫、そして同性愛者はピンク。もしその者がユダヤ人であれば、上向きの黄色い三角形が重ねられ、ダビデの星の形になる。」
 ナチス教育は、同性愛者を堕落したもので、アーリア人の民族共同体を破滅に導くものとされていました。
 同性愛者を殲滅させようとしたこともナチスの政治で忘れてはならない歴史的事実だと感じました。
 逢坂さんは、日本の歴史認識をめぐる近年の動向を懸念しこう述べています。
 「関東大震災の直後にあった朝鮮人虐殺は歴史的事実です。ところが驚くべきことに、”虐殺はあったかどうか分からない”という方向に導こうとしている勢力がある。これは恐るべきことで、ありえないことをやろうとしています。当時、虐殺をめぐり実際に裁判があり判決が下され記録にも残っています。それなのに松野官房長官(当時)は虐殺の”記録がない”と繰り返し主張する。本当に恐ろしい状況です」
 日本を再び全体主義にさせないために、本書を読む意味が高まっていると感じます。
 私の今日の予定は、「長生炭鉱水没事故82周年犠牲者追悼集会」に主催者である長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会の運営委員として追悼式の運営スタッフとして参加することです。
 1942年2月3日、宇部市西岐波にあった長生炭鉱の坑口から1キロ付近の坑道が天盤崩壊で海水が侵入し、坑内労働者183人が犠牲になりました。そのうち136人は日本が植民地支配した朝鮮半島から強制連行された、あるいは生活苦から渡日を余儀なくなれた朝鮮人でした。
 183人の遺骨は、今も海の中です。歴史を刻む会は、「事故があったかどうか分からない」とされないために、遺族との連絡を続け、追悼式を続けてきました。
 歴史をできれば消したいと思う勢力に抗い、日韓両政府を動かし、遺骨を遺族に返すことができる道筋を立てるために、私は、今日、追悼式に運営スタッフとして参加します。
 山口県議会議員として、山口県が、遺骨を遺族に返すことが出来るよう協力するために、必要な発言を行っていくためにも、私は、今日の追悼式と第二部の学習会でしっかり学んでいきたいと思います。
 戦争に関わる悲劇を繰り返さない想いを逢坂さんの作品から感じながら、私は、今日の追悼式に向かいます。
 「歌われなかった海賊へ」を読まれた皆さん、感想をお聞かせください。

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