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県弁護士会が県にパートナーシップ宣誓制度の制定を要望する

 10月19日、読売新聞は、県弁護士会が、性的指向による差別を許さないための施策の声明を出し、知事あての声明文を提出したと次のように報じました。
 「性的少数者(LGBT)への理解増進法が6月に施行されたのを受けて、県弁護士会(松田訓明会長)は、各自治体に向け、性的指向による差別を許さないための施策を求める声明を出した。声明文では、ネット空間を中心にLGBTへの偏見が広がっていると指摘。基本的な知識が不足していることが原因とし、自治体が職員や住民に対して啓発活動を行うとともに、パートナーシップ宣誓制度など公的な制度を設けることで、『誰もが住みやすい地域社会をつくるべきだ』とした。18日、松田会長ら3人が県庁を訪ね、村岡知事宛ての声明文を藤田昭弘・環境生活部長に手渡した。県内19市町には12日に郵送したという。松田会長は『県内では、LGBTへの理解が進んでいないと感じる。行政は迅速族に対応してほしい』と話した。」と報じました。
 県弁護士会の会長声明は以下の通りです。

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理解増進法の制定を受け、改めて、性の多様性を尊重し、LGBTsの人権を擁護する地域社会の実現を求める会長声明

2023/10/12

 山口県弁護士会は、理解増進法の制定を受けて、改めて、山口県及び県内全自治体に対して、性の多様性を尊重し、LGBTsにとっても住みやすい地域社会を実現するべく次の施策の実施を求める。

1.各自治体の選挙、教育、福祉、医療、雇用、被害者支援その他の行政活動において、議会の議員、自治体の職員及び自治体内の住民に対して教育・啓発活動を行って理解促進に努めるとともに、性自認及び性的指向による差別を許さないための諸施策を講じること
2.各自治体において、いわゆる同性パートナーシップ認証制度の導入を進めるとともに、各自治体の行政サービスのうちでLGBTsとそのパートナーを含む家族に適用可能なものを平等に提供すること

 当会はこれまで、性的少数者(なお、多様な性のうち、割合として少数の側となる人々を総称する呼び方は様々あるが、以下、「LGBTs」と呼ぶ。)の人権擁護の観点から、性的指向及び性自認に基づく差別を含め、あらゆる差別や不利益取扱いを社会からなくし、個人が尊厳を持って生きることができる社会を実現するべく、取組みを進めてきた。
 また、当会は、2021年(令和3年)5月31日には「民法・戸籍法等の婚姻等に関する諸規定の速やかな改正を求めるとともに地方自治体における同性パートナーシップ制度の制定を推進する会長声明」、2023年(令和5年)3月30日に「内閣総理大臣秘書官による性的少数者に対する差別発言に抗議し、改めて、法令上の性別が同じ者の婚姻を可能とする早期の法律改正を求めるとともに、地方自治体における同性パートナーシップ制度の制定を推進する会長声明」をそれぞれ発出し、これらを山口県及び県内全自治体にも送付した。
 当会が所属する中国地方弁護士会連合会においても、当会の発議により、2021年(令和3年)11月26日に開催された中国地方弁護士大会にて「性の多様性を尊重し、LGBTsの人権を擁護する地域社会の実現と法的整備を求める決議」がなされ、中国地方5県及び5県内の全自治体に要請がなされた。
 さらに、当会は、本年5月5日に山口市で開催された「山口レインボープライド」というLGBTsの理解者(アライ)を増やし、山口県内外のLGBTsが暮らしやすい地域を目指すためのイベントについて後援し、会長等がパレード行進にも参加し、本課題の重要性を市民の前でアピールした。
 このような状況の中、本年6月23日、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(以下、「理解増進法」)が施行された。
 理解増進法は、第3条において、LGBTsが基本的人権を享有する個人として尊重されるという人として当然の理念及びLGBTsに関する国民の理解の増進に関する施策が「不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること」との基本理念を定めている。そして、同法第5条には、地方自治体の役割として「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。」との規定が、同法第10条1項では「国及び地方公共団体は、前条の研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、国民が」「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」との規定が設けられた。これらはまさに当会が求めてきた自治体の役割が明確に立法されたものといえる。
 しかし、今年の内閣総理大臣秘書官発言以来、特にインターネット空間を中心にLGBTsの人権を無視した差別や偏見に基づく声が広がり続けている。LGBTsについての基本的な知識や理解がないことが原因であり、理解増進法の基本理念とは真反対の動きといえる。
 当会としては、これらの声におされて、山口県及び県内の各自治体において、理解増進法に基づく施策策定の歩みが止まることを非常に懸念している。
 以上より、改めて、山口県及び県内の全自治体において、LGBTsの個人の尊厳を守るため、人権擁護のためにも各施策の策定を積極的に推進することを強く求めるものである。

2023年(令和5年) 10月12日
山 口 県 弁 護 士 会
会 長 松田 訓明

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 私は、6月県議会で、パートナーシップ宣誓制度を導入すべきと質問しました。
 藤田環境生活部長は「パートナーシップ宣誓制度の創設については、創設するかどうかを含め、まずは、ワーキンググループにおいて、検討していきたい」と答えました。
 
 現在、パートナーシップ宣誓制度のある人口カバー率は7割を超えました。
 県内では、宇部市に続いて山口市でも制度の検討が始まっています。
 都道府県単位では、青森県、秋田県、茨木県、群馬県、栃木県、東京都、富山県、長野県、岐阜県、静岡県、三重県、大阪府、鳥取県、島根県、福岡県、佐賀県の16府県で制度が導入されています。
 私は、引き続き、山口県でパートナーシップ宣誓制度が一日も早く創設されるように、必要な発言を行っていきたいと思います。

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