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六ケ所再処理施設などのPR施設を見学 青森県庁職員から核サイクル施設の概要説明受ける

  日本共産党山口県議会議員団の視察で、18日、午前中は、青森県六ケ所原燃PRセンターを視察しました。

 PR施設から、六ケ所再処理工場の建設現場を望む

 この施設は、六ケ所再処理施設を運営する日本原燃株式会社が、様々な使用済み核燃料などの再処理施設を紹介する施設です。
 青森県のむつ小川原開発計画区域に、1984年、電気事業連合会が青森県および六ケ所村に使用済み核燃料サイクル3施設(濃縮、埋設、再処理)の立地申し入れを行い、1985年、基本協定書が締結され、施設整備が進められてきました。
 このエリアには、7つの使用済み核燃料サイクル施設が設置・計画されています。
 まず、ウラン濃縮工場です。
 この施設は、天然ウランに含まれる「核分裂しやすいウラン」の濃縮を高め、原子力発電の燃料を作るための原料に加工する施設です。
 1992年3月に操業を開始し、2017年に新規制基準に基づく事業変更が許可され、2022年2月に、ウラン濃縮工場に係る設計及び工場の計画等について認可されました。
 23年9月末現在、1702㌧UF₆の製品ウラン出荷量となっています。
 次に、低レベル放射性廃棄物埋設センターです。
 この施設は、全国の原子力発電所の運転等によって発生した「放射能レベルの低い廃棄物」を埋設・管理する施設です。
 1992年12月に操業開始し、2023年9月末現在、200㍑ドラム缶本数換算で、1号埋設施設に約16.2万本、2号埋設施設に、約19.9万本が埋設されています。
 2023年度に200㍑ドラム缶12824本を受け入れる予定です。
 この施設は、低レベル放射性廃棄物の最終処分施設となるものです。
 次に、高レベル放射性廃棄物埋蔵管理センターです。
 この施設は、海外での再処理によって発生した「放射能レベルの高い廃棄物を、最終処分されるまでの間、一時的に貯蔵・管理する施設です。
 1995年4月に操業を始めましたが、しゅん工予定期間は、2024年度上期のできるだけ早期となっています。
 2023年9月末現在で、高さ1.3メートル、直径約0.4メートルのステンレス鋼容器で、フランスとイギリスから約2200本を受け入れています。
 当貯蔵管理センターでは、30年から50年間の中間貯蔵施設とするとしています。
 次は、使用済み核燃料受け入れ貯蔵施設です。
 原子力発電所で一度使用した核燃料(使用済み核燃料)は、輸送容器に入れて運ばれてきます。市使用済み核燃料は、原子力発電所と再処理工場のプールで合わせて15年以上貯蔵します。
 1999年12月に事業を開始し、現在、2968㌧Uga在庫量です。
 受入れ容量が3000㌧ですから、六ケ所再処理工場にある使用済み燃料受入れ貯蔵施設は、ほぼ受入れ容量を満たす在庫量となっている状況です。
 つまり、現時点で、新たな受入れは難しい状況です。
 次に、再処理工場です。
 原子力発電所で一度使用した核燃料(使用済み核燃料)からウランとプルトニウムを取り出す工場です。
 1989年3月、再処理事業指定申請を行い、1993年4月に工事を着工しています。
 2020年7月に、新規制基準に基づく事業変更許可が出されましたが、2022年12月第二回設計及び工事の計画の許可申請の変更認可申請を行っている段階です。
 事業者は、2024年度上期のできるだけ早期に竣工できるとしていますが、現在のところしゅん工の見通しは立っていないものと私は考えます。
 最後に、MOX燃料工場です。
 再処理工場で取り出したウランとプルトニウムを原料にして、原子力発電所で使う新しい「MOX燃料」を作る施設です。
 2010年10月に着工し、工事進捗率は、約12.8%です。
 2020年に新規制基準に基づく事業変更許可は出されましたが、2023年2月に、第2回変更許可申請および認可申請を行った段階です。
 事業者は、この工場について、2024年度上期にしゅん工予定としています。
 この施設もしゅん工する見通しがあると言えるのでしょうか。
 タンカーに積まれたキャスクなどを陸揚げする場所が、むつ小川原港です。
 午後の予定地である青森県庁に向かう移動中に、むつ小川原港に立ち寄りました。

 むつ小川原湊にある使用済み核燃料を収めたキャスクなどを荷下ろしする際に使用するガントリークレーン

 港の近くに原燃輸送の会社の社屋があり、近くにキャスクなどを陸揚げする際に使用するガントリークレーンがありました。
 ガントリークレーンは敷設されたレールで可動できる仕組みでした。
 むつ小田原港は青森県営の港でした。
 この場所に卸されたキャスクは、専用の車両に積まれ、専用道を通って、再処理工場に隣接した使用済み燃料受入れ貯蔵施設へ運ばれることになっています。
 六ケ所使用済み核燃料等サイクル施設内に7つもの施設が存在しているこを直接見て、学ぶことが出来、貴重な体験となりました。
 これら施設が一つでも稼働できなければ、国が進める核燃料サイクルシステムは、破綻します。
 上関町に計画されている中間貯蔵施設も、六ケ所使用済み核燃料等サイクル施設が稼働しなければ、特に再処理工場が稼働しなければ、「中間貯蔵」の名称が破綻し、恒久的貯蔵施設になる可能性が広がることになります。
 午後は、青森県庁に移動して、青森県エネルギー総合対策局原子力立地対策小田桐立人課長らから①むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設②六か所村再処理施設についてをテーマに青森県の対応状況を聴取しました。

 青森県の担当者から核燃料サイクル施設などについて説明を受ける 奥手前から私、木佐木県議、河合県議

 まず、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設にいてです。
 2000年11月にむつ市が、東京電力に立地可能性調査を依頼したことからこの問題がスタートしました。
 東京電力は、2001年4月に現地調査を開始し、2003年4月に調査を終了し、立地可能性調査最終報告書をむつ市に提出しています。同年6月、むつ市長が施設誘致を表明しました。
 その後、青森県は、専門家をメンバーとする「使用済燃料中間貯蔵施設誘致に係る安全性チェック・検討会」を開催し、諸団体の長などで構成する「青森県原子力政策懇話会」の開催、県民説明会の開催するなどしました。
 2005年、県、むつ市長、東京電力、日本原子力発電で「使用済燃料貯蔵施設に関する協定」が締結されました。直ちにリサイクル燃料貯蔵が設立されました。
 2010年リサイクル燃料貯蔵が使用済核燃料の中間貯蔵施設の工事を着工しました。
 現在、リサイクル燃料貯蔵は、2024年度上期にしゅん工する見通しを示しています。
 2005年10月19日に、青森県知事、むつ市長、東京電力社長、日本原子力発電社長で交わした「使用済燃料中間貯蔵施設に関する協定書」には、「使用済燃料の貯蔵容器の貯蔵期間は、容器を建屋に搬入した日から50年間とする。」「使用済核燃料は、貯蔵期間終了までに貯蔵施設から搬出するものとする。」とあります。
 むつ市への使用済燃料中間貯蔵施設が誘致されていること、六ケ所村にMOX燃料加工施設があること、大間原子力発電所があることにより、2010年から2020年までに149億円の核燃料サイクル交付金が交付されました。
 交付金充当事業としては、観光振興事業などの産業を支えるもの、防災対策などの生活を支えるもの、学校施設整備事業など人づくりを支えるものなど、事前に、地域振興計画を国に提出した事業に支給されます。
 支給された市町は、8市町村と担当者は説明しました。
 質疑の中で、私は、電源立地地域対策交付金の期間1、期間2にどう対処したのか質しました。
 担当者は、「2001年度から2007年度までの間に、24億円の電源立地地域対策交付金の交付を受けた。全額むつ市に交付され、県は交付を受けなかった。2005年度に知事が同意し、期間2は、2005年度から2007年度までだ。」と説明しました。
 私は、知事同意に当たっての対応を質しました。
 担当者は、「法的な規定はない」として、交付金上の手続きとして知事同意を行ったにすぎなかったという趣旨の説明を行いました。
 むつ市が、中間貯蔵施設に関する課税を事業者に行っていることに関連し、担当者は、「県として、事業者に課税を行っている。」と説明しました。
 次に、六ケ所再処理工場についてです。
 1984年に電事連が、青森県知事に対し、原子燃料サイクル事業の下北半島太平洋側立地について包括的協力を要請したことから、この事業がスタートしました。1985年に、県、六ケ所村、日本原燃サービス、日本原燃産業で「原子燃料サイクル施設の立地に関する基本協定」が締結されました。同年には、「核燃料サイクル施設建設立地に関する県民投票条例」制定請求が行われましたが、県議会は、県民投票条例制定議案を否決しました。
 1993年11月には、日本原燃が、再処理工場の工事に着手します。2000年に、隣接6市町村及び日本原燃が「再処理工場の使用済燃料受入れ貯蔵施設等の隣接市町村住民の安全確保等に関する協定書」が交わされ、同年12月から使用済み核燃料の搬入が開始されました。
 日本原燃は再処理工場について、年内は難しいが、2024年度の上期のできるだけ早い時期にしゅん工したいとの見通しを示しています。
 核燃料サイクル交付金は、六ケ所サイクル施設内に、MOX燃料加工施設があることから交付されています。
 担当者は、この交付金について「令和4年度に、8.5億円、県として交付を受けた」と説明しました。
 中間貯蔵施設に関し、電源立地地域対策交付金の期間1と期間2の交付を青森県は受けなかったことが分かったことは重要でした。
 中間貯蔵施設の建設に対して、核燃料サイクル交付金149億円が、8市町村に交付された実績があったことも重要でした。
 六ケ所再処理施設について、事業者は、年内のしゅん工は難しいと公言していることが分かったことは重要でした。
 再処理施設については、1993年の着工以来30年が経過したにも関わらずしゅん工していない事実も重要でした。
 いよいよ、本日は、むつ市の中間貯蔵施設を見学する予定です。明日以降報告していきます。
 

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