20日付しんぶん赤旗日刊紙は、「生みづらく育てにくい」と題する記事で、東京一極集中の弊害を次のように報じています。
「全国平均で1・26と過去最低となった日本の出生率。なかでも低いのが東京都など大都市部です。地価が高く子育てに必要な住居面積を確保しづらいことや、進学率が高く教育費が高くなりやすいことなどが原因と指摘されています。ただし、進学や就職を機に地方から若者層が流入してくることで、都市部の出生数は一定維持されてきました。出生率全国最低の東京への一極集中は、日本の少子化をいっそう深刻にしています。同時に地方でも出生率低下が進んでいます。以前から低い北海道に加え東北も2000年以降急降下。首都圏や大阪府よりも低い県も出ています。かつては全国でも高かった東北の出生率が急降下した原因は解明されていません。しかし、農産物の輸入自由化やバブル経済崩壊で痛めつけられていたところに、11年の東日本大震災と福島第一原発事故が追い打ちをかけたことは間違いありません。人口流出と出生率低下のダブルパンチで青森、秋田、岩手の3県は、過去半世紀の出生数の減少割合も全国最多です。一極集中の是正には、最低賃金一律1500円の実現や農政の転換による地域経済の立て直しとともに、地域医療の破壊など地方切り捨て政策の撤回が必要です。東日本大震災の復興財源の軍拡転用は断じて許されません。」
日本共産党の雑誌「議会と自治体」2023年5月号、中山徹奈良女子大学教授の「『デジタル田園都市国家構想』の本質を暴く」は、国の「まち・ひと・しごと総合戦略」における東京一極集中について次のように述べています。
「2013年は、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への転入超過者数が9万6524人でした。2014年に策定された総合戦略では2020年に東京圏への転入超過数をゼロにするという目標を掲げました。そのため毎年、地方で10万人の雇用を生み出し、2013年度と比べ、東京圏から地方圏へ転出するものを4万人増加させ、地方から東京圏へ転出するものを6万人減少させ、2020年で東京圏と地方圏の転出・転入を均衡させるとしました。実際にどうなったか。2019年までは東京圏への転入者が減るどころか増え続け、2019年には14万5576人になっています。基準年である2013年の1・5倍です。2020年は、新型コロナ感染症の影響で転入者が減り9万8005人の転入超過となっていますが、東京圏への一極集中は是正されませんでした。2021年はさらに、転入超過者が8万441人まで減りました。緊急事態宣言は2021年9月に解除され、それ以降は発令されていません。その結果、東京圏への転入超過者数は再び増えだし、2022年は9万9519人の転入超過になっています。『地方創生』で取り組まれた個々の事業については、優れた取り組みも見られます。しかし、もっとも大きな目標であった出生率の回復、東京圏への一極集中の是正は全く実現できず、『地方創生』は政策として失敗だったとみるべきです。」
中山教授は、「地方創生」の失敗の理由について次のように述べています。
「一つは、他の先進国と比べて教育などに対する行政の支出が少なく、個人負担が多いからです。もう一つは、日本ではこの20年間、実質賃金が低下しているからです。」
子育て支援策と賃上げを後回しにしたままでは、これからも「地方創生」は成功しないことは明らかではないでしょうか。
県は、第三期「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(素案)を先日、発表しました。子育て支援と賃上げを回避した計画になっているか、私は、6月県議会で、しっかり指摘していきたいと思います。
東京一極集中や地方創生などに対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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