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6月県議会で「第二期『山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略』改訂素案』報告される見通し

 国は、昨年12月23日、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(以下、総合戦略)の策定を閣議決定しました。
 国は、「総合戦略」の中で、地方自治体に地方版総合戦略の策定について次のように求めています。
 「地方公共団体は、総合戦略を勘案し、地域の個性や魅力を生かした地域ビジョンを再構築し、都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略(『地方版総合戦略』)を改訂するよう努め、具体的な地方活性化の取組を果敢に推進するものとする。」
 山口県は、今年2月15日に行った活力創出本部会議・デジタル推進本部会議において、「第2期『山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略』の改訂」を明らかにしました。
 会議で示された改訂の考え方・スケジュールは次の通りです。
 改訂の考え方
 〇第2期総合戦略の基本的な枠組みを維持
 〇「やまぐち未来維新プラン」を基に作成
 〇国の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を勘案
 〇第2期総合戦略の検証結果を反映
  [対象期間]2023年度~2027年度
 改訂スケジュール(予定)
  3月~ 第2期総合戦略の検証
  6月  「素案」作成  ⇒【県議会に報告】
  7月  パブリックコメント実施
  9月  「最終案」作成 ⇒【県議会に報告】
 10月  改訂
 5月1日に、今年度第一回目の「山口県活力創出本部会議」が開かれ、第2期「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改訂について、とする資料が配布されました。
 資料では、「改定に向けて」、と題してポイントがいくつか示されました。
 〇やまぐち未来維新プランでは、「3つの維新」を「4つの視点」を踏まえて、さらなる進化を図り、プロジェクト等を未来志向で再構築
 〇プランに掲げた新たな施策等を総合戦略に反映するとともに、アクションプランを作成し、実践的な取組を推進
 〇さらに、予算編成等を通じてより具体化した取組や、社会環境の変化等に対応した見直し、国の動きへの対応等を総合戦略に反映
 〇デジタルの力を活用した社会課題の解決や地域の魅力向上を図る施策を、総合戦略に積極的に反映
 〇やまぐちデジタル改革に基づき、県政の各分野、各地域で重点的に行うデジタル実装の取組を総合戦略に反映
 〇少子化は待ったなしの課題であるとの認識を県民と共有して、社会全体で子育てを応援し、安心して子育てできる環境づくりを推進
 〇国における政策の動向等を踏まえながら、県の取組を検討し、総合戦略に的確に反映
 〇総合戦略の策定と施策の構築・実行にあたっては、多様な主体との連携・協働・共創を積極的に推進
 〇同時に、様々な施策の連携により、より高い成果が得られるよう、県庁内の部局間連携の取組をさらに推進
 中山徹奈良女子大教授は、日本共産党中央委員会発行の「議会と自治体」5月号の論文「『デジタル田園都市国家構想』の本質を暴く」の中で、次のように指摘しています。
 「『新しい資本主義』や『デジタル田園都市国家構想』では、デジタル化を進めればさまざまな問題が解決できるように描かれていますが、DXは魔法の杖ではありません。この間、市民生活や地方で生じた問題の多くは新自由主義的な政策によってもたらされたものです。新自由主義的な政策を根本から改めず、『デジタル田園都市国家構想』を新自由主義的な政策の延長線上に位置づける限り、デジタル化を進めても問題は解決できません。『地方創生』の8年間を見れば明らかなように事態を悪化させるだけでしょう。また、市民生活を支える基本的なサービスを企業が提供するため、サービスを購入できる層と購入できない層の格差を拡大させるでしょう。医療・福祉・教育の状況を改善させるためには、大手企業や富裕層に適切な課税をおこない、財源を確保した上で、自治体が地域の特性を考慮した福祉・教育施策を公的施策として展開できるようにすべきです。そこに情報技術の発展を活かすことは可能ですが、今の制度や予算を前提にデジタル化を進めても抜本的な改善は困難でしょう。たとえば、地域経済の活性化を進めるためには、地方の中小企業、第一次産業の活性化が不可欠です。しかし、地域で暮らす市民の所得が上がらなければ物やサービスは売れません。いかにデジタル化を進めても地域での消費が拡大しなければ絵に描いた餅になります。非正規労働者を増やし、格差を拡大してきた新自由主義的な政策の見直しと、中小企業、第一次産業の振興は一体的に取り組まなければ成功しません。大都市と地方の格差を是正し、地方を住み続けられる地域にするためには、この間と取り組まれてきた一極集中政策の見直しが不可欠です。東京一極集中政策をそのまま実行し、そのもとでデジタル化を進めても、地方が抱える諸問題の解決は困難です。」
 山口県は、6月県議会に「第2期「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改訂(素案)を示す予定です。
 中山教授の指摘を参考に、少しでも県民のためになる新たな総合戦略になるよう、大いに論戦を行っていきたいと思います。
 県の総合戦略の改訂に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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