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米兵自動車窃盗・交通事故 解決阻む日米地位協定の壁

 12月3日、午前6時過ぎころ、在日米軍岩国基地所属の米兵が岩国市錦見の自動車販売店(ウエストオート)内の敷地を30分ぐらい歩きまわり、事務所の玄関のガラスを蹴って破壊し店内に侵入しました。そして、敷地内に停めてあった車のカギを盗み、その車を盗み出し、運転して米軍岩国基地の方面に向かったところ、岩国錦帯橋空港入口付近の交差点で交通事故を起こし、盗んだ車と交通事故の被害者を放置して米軍岩国基地内に逃げ込む重大事件が発生しました。
 23日、器物破損と、車の盗難の被害にあった自動車販売店(ウエストオート)の代表者である原田和男さんと従業員である息子さんの原田順一さんは、浜田靖一防衛大臣に、「器物破損・盗難・交通事故等を連続して起こした在日米軍岩国基地所属の米兵に対して、国内法による処罰と損害賠償請求の協議を実現するための要請書」を提出しました。
 日本共産党の大平よしのぶ前衆議院議員と私と、大西県議候補(前岩国市議)が同席しました。

 手前から大平元衆議院議員、原田和男さん、原田順一さん、私、大西県議候補(前岩国市議)

 要請書の項目と回答の趣旨は次の通りです。
①重大事件の犯人の身柄を岩国警察署が逮捕出来るようにしてください。同時に、犯人の氏名、年齢、所属部隊名、運転免許の有無の公表を要請します。
 対応した木村哲久中国四国防衛局企画部業務課長は、「当局は、捜査機関ではなく、犯人の名前等を公表する立場にない」などと答えました。
②器物破損、窃盗、交通事故などによる損害賠償の請求先や今後の協議の窓口などについて支援をお願いいたします。
 木村課長は、「加害者が損害賠償の当事者となる。その場合、窓口は、米軍岩国基地の法務部となる。加害者と示談が成立しなかった場合、アメリカ政府が賠償金を支払うことになる。その場合の窓口は、中国四国防衛局岩国防衛事務所となる。岩国基地と連携し、今後とも真摯に対応したい」などと答えました。
③犯人は交通事故を起こしたうえに、基地内に逃げ込んでいます。交通事故被害者の救済と事故原因等を説明して下さい。
 木村課長は「車の窃盗などと同様、交通事故の賠償責任は加害者にある。その場合の窓口は、基地法務部だ。加害者と示談が成立しなかった場合、アメリカ政府が賠償金を支払う。その場合の窓口は、中国四国防衛局岩国防衛事務所となる。事故原因等については、当局は、捜査機関ではないので公表できない」などと答えました。
④防衛省として、この重大事件をどう思っているのか説明して下さい。
 木村課長は、「今回の事件はあってはならないものと考えている。12月16日、中国四国防衛局長が基地司令官に綱紀粛正や被害者への真摯な対応などについて直接要請を行ったところだ」などと答えました。
 原田さん親子から、「基地法務部から、一旦、連絡があったが、それ以降全く連絡がない」と現状が報告されました。
 大平元衆議院議員と私は、①今日中に、中国四国防衛局から米軍基地法務部に、原田さんからの要請内容を伝えること②年内に、米軍基地法務部から原田さんへ連絡をするよう要請しました。
 木村課長は、「原田さんからの要請内容は今日中に基地法務部に伝える。年内に連絡がほしいとの要請があったことについても基地法務部に伝える」と答えました。
 原田さんから昨日の夕方、次のような連絡が入りました。
 「中国四国防衛局から事務所に到着してすぐに基地法務部から電話があった。しかし、内容に全く進展はなく、今後の対応は来年に持ち越すとのことだった」
 2017年、沖縄県は、日米地位協定の改定を国に要請しています。
 刑事裁判権を規定した17条関係では次の要請を行っています。
①合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘束の移転の要請がある場合は、速やかにこうれに応じる旨を明記すること。
②米軍の財産が施設及び区域の外にある場合には、日本国の当局が操作、差押え又は検証を行う権利を行使する旨を明記すること。
③施設及び区域の外における事故現場等の必要な統制は、日本国の当局主導の下に行われる旨を明記すること。合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘束の移転の要請がある場合は、これに応じる旨を明記すること。
 民事請求権を規定した18条関係では次の要請を行っています。
①公務外の合衆国軍隊の構成員若しくは軍属、若しくはそれらの家族の行為又は不作為によって損害が生じた場合において、被害者に支払われる損害賠償額等が裁判所の確定判決に満たないときは、日米両政府の責任で、その差額を補填するものとし、補填に要した費用負担については、両政府間で協議する旨を明記すること。
②合衆国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、合衆国軍隊の構成員又は軍属に支払うべき給与等を差し押さえて、日本国の当局に引き渡さなければならない。
 以上引用した沖縄県の日米地位協定改定の要請文を読むと、原田さんへの損害賠償が遅れている原因に日米地位協定があることがよくわかります。
 被疑者を米側から拘束の移転することはが地位協定に明記されていないことで、岩国警察署における被疑者への取り調べなどが遅れている状況があるのではないかと推察します。
 被害者に支払われる損害賠償に対する詳細な記述が日米地位協定に明記されていないことが、原田さんへの損害賠償への対応が遅れている理由にあることを感じます。
 2020年11月5日、全国知事会は、「米軍基地負担に関する提言」を発表しました。
 この中に、「日米地位協定を抜本的に見直し(中略)事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障などを明記すること」があり、「米軍人等による事件・事故に対し、具体的かつ実効的な防止策を提示し、継続的な取組みを進めること」があります。
 今回の米兵による犯罪、交通事故を通じて、改めて山口県は、国に、日米地位協定を改定し、米軍人等の事件・事故に対して、迅速に問題が解決できる仕組みをつくるよう求めるべきだと思います。
 これからも、原田さん親子に寄り添って、問題の早期解決を求めていきたいと思います。
 日米地位協定の改定などに対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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