ブログ

総務省 病院統廃合を軌道修正 一方、「地域医療構想」は継続

 総務省が3月29日に地方自治体に通知した「公立病院経営強化ガイドライン」について、今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、日本共産党政策委員会の谷本諭さんの小論を次のように掲載しました。
 「4月中旬、複数の新聞が、『総務省 公立病院 統廃合撤回』と題する記事を掲載しました。総務省が3月29日に地方自治体に通知した『公立病院経営強化ガイドライン』の内容を報じたものです。総務省は、2007年に『公立病院改革ガイドライン』、15年に『新・公立病院改革ガイドライン』を策定し、公立病院の『赤字解消』や『再編・ネットワーク』の名による病床削減・病院統廃合の号令を自治体にかけてきました。とくに厚生労働省が16年の『地域医療構想』で高度急性期・急性期病床の20万床削減計画を打ち出して以後は、『新・公立病院改革ガイドライン』と『地域医療構想』を『整合』させながら公立病院の整理・淘汰を求めてきました。注目すべきは公立病院『改革』に向けた方針文書の『第三弾』にあたる『経営強化ガイドライン』が、『改革』の重点を『赤字解消』から『経営強化』に変更したことです。『再編・ネットワーク化』の文書をなくす代わりに『病院間の役割分担・連携』を強調。『改革』のための国の財政措置も、『複数病院の統合』を前提に施設整備費などを補助する従来のやり方から、『不採算地区病院』を維持しつつ、基幹病院から医師を派遣したり、救急体制の連携を行ったりするなど、『統廃合ありきではない』やり方に変えるとしています。軌道修正について総務省は『感染拡大時の公立病院の役割が改めて確認された』と説明しています。背景に、コロナ危機のもとでも病床削減・病院統廃合を進める政府への世論の批判があることは明らかです。『経営強化ガイドライン』は冒頭、21年12月の『地域医療確保に関する国と地方の協議の場』での議論を踏まえたことを強調しています。同協議に厚労省は、『地域医療構想』の取組みは、『病床の削減や統廃合ありきではな(い)』とする資料を提出。そこには『参考』として、21年10月の参院本会議で、日本共産党の小池晃議員が岸田文雄首相に病床削減計画の撤回をせまった論戦の議事録が添付されていました。同協議で、全国知事会の代表は、高齢化のピークとされる25年に向けて急性期病床を減らすという『地域医療構想』の考え方の変更を主張。今後の感染拡大に向け、『一定程度の余力がある』医療体制を国に求めました。全国市長会の代表も、新型コロナに対応できたのは『活用されていないベッドがあったから』だとし、『赤字』を理由にした病院統廃合は『大変な地域の問題になる』と訴えました。まさに、国会論戦と地方からの抗議の声が政府を追いつめ、言い訳と取り繕いに追い込んだといえます。一方、『経営強化ガイドライン」は引き続き、公立病院の民営化など『経営形態の見直し』や、医療機能の『集約化』の検討を自治体に迫っています。厚労省は『地域医療構想』を堅持し、400超の公立・公的病院を統廃合の対象として名指ししたリストも撤回しない立場です。高度急性期・急性期病床の20万床削減計画や、病床を減らした病院に消費税収を使って補助金を出す『病床削減給付金』の仕組みも手付かずです。『地域医療構想の名での急性期病床削減の計画はきっぱり中止し、拡充に切り換える』(4月7日、日本共産党全国総決起集会報告)論戦と運動を、国でも地方でもさらに強めることが必要です。」
 文中にある資料は、昨年10月13日の参院本会議での小池晃議員と岸田首相との次のやりとりです。
・・・
 小池議員「総理は、公立・公的病院の統廃合計画について、病床の削減や統合ありきではないと答弁しました。しかし、自公政権が地域医療構想に基づいて20万床の急性期病床を減らす計画を立て、骨太の方針でその強化、促進を掲げているのは紛れもない事実です。岸田内閣が本当に医療難民ゼロを実現しようというなら、それに反する地域医療構想と骨太の方針、消費税収を使った病床削減の仕組み、とりわけ急性期病床を削減、縮小する計画を直ちに撤回すべきです。答弁を求めます。
 岸田首相「地域医療構想については、人口構造の変化を踏まえ、地域の医療ニーズに合わせ、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指し取り組むものです。こうした観点から、地域での合意を踏まえ、自主的に行われる病床の減少に対して支援を行っています。病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して検討を進めてまいります。
・・・
 私は、総務省が3月29日に地方自治体に通知した「公立病院経営強化ガイドライン」に関する報道を受け、通知を所管している県市町課と、地域医療構想を所管する県医療政策課の担当者から通知の内容についての県の認識について説明を受けました。
 市町課の担当者は新ガイドラインについて「前ガイドラインは、『経営強化』に主眼が置かれて、病院や経営主体の統合についても触れられていたが、新ガイドラインは、病院間の役割分担と連携強化に主眼が置かれたものになっている。」と説明しました。
 一方、医療政策課の担当者は、「地域医療構想」や400超の公立・公的病院の統廃合の対象として名指ししたリストについて「これまでの厚労省の文書に、『地域医療構想』の見直しやリストを見直しに関する記述はない。」と説明しました。
 厚生労働省は、4月27日、下関構想区域(独立行政法人国立病院機構関門医療センター、独立行政法人地域医療機能推進機構下関医療センター、社会福祉法人恩賜財団済生会支部山口県済生会下関総合病院、地方独立行政法人下関市立病院)を、地域医療構想の実現に向けた、「重点支援区域」に選定しました。
 重点支援区域に指定された下関市の4病院の再編統合に対し、厚生労働省から技術的支援や財政的支援が行われることになります。
 しんぶん赤旗日刊紙にある「病床を減らした病院に消費税収を使って補助金を出す『病床削減給付金』の仕組み」が、下関市の4病院の再編統合に向けて使われようとしています。
 政府は、公立病院の経営について統廃合ありきではないやり方に変えるというのであれば、急性期病床20万床削減する「地域医療構想」計画を中止し、400超の公立・公的病院の統廃合を対象にしたリストを撤回すべきです。
 更に、病床を減らしたら病院に補助金を出す仕組みを見直しべきです。
 これら制度が温存されたままなら、病院統廃合路線の軌道修正は難しく、自主的ではなく、強制的に進んでしまいます。
 コロナ禍の中、病院削減計画はきっぱり中止、拡充に切り換えるべきだと私も考えます。
 今度の参議院選挙は、急性期病床削減の計画を継続するのか、中止し、拡充に切り換えることができるかが大きな争点になっています。
 病床の拡充を訴える日本共産党に皆さんのお力をお貸しください。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。