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映画「僕の帰る場所」を観ました

 ワイカムシネマで2017年に作成された藤元明緒監督の映画「僕の帰る場所」を観ました。
 藤元監督は1988年生まれ、この映画を作成に着手した頃は20代でした。藤元監督は、この映画を作成するに至った経緯を次のように語っています。藤元監督は、「ミャンマーに関わる長編映画の監督募集」に応募します。
 リトル・ヤンゴンと言われる高田馬場に通う藤元監督は次のように映画のパンフレットの中で話します。
 「(在日ミャンマー人の方々の)話を聞くと、みんな『難民』や『難民申請中』の人たちなんですよ。そして『なかなか難民に認定されない』と。僕は東京にそんな人たちがいるなんて想像もしていなかったんです。それから入管のボランティアに行くようになって。そのうち、『僕の帰る場所』の父アイセのモデルになった男性に出会うんです。お酒を飲みながら彼に話を聞いたら『(難民)申請をしてもなかなか通らなくて、奥さんが鬱病になってしまった。6歳と3歳の子どもを連れてミャンマーに帰ってしまった。特にお兄ちゃんは日本で育っているから、ミャンマーに馴染めないんだ』と。そして母親に向かって『おまえのせいでこうなったんだ!』と怒鳴ったというんです。僕も親が離婚した時に同じセリフを親に言ったことがあった、と心情レヴェルで共感できて『お兄ちゃんを撮ることは僕にしかできない!』とはっきり思えたんです。」
 藤元監督はキャストについてこう述べています。
 「6歳と3歳の兄弟を探していたら、在日ミャンマー人コミュニティの方が『いるよ』と紹介してくれたのが、カウン君とテッ君です。二人は実際の兄弟です。会ってみたら、お兄ちゃんはミャンマー人というより日本人に見える。『どうかな?』と思ったけど、条件を満たすのはこの兄弟しかいない。お母さんに挨拶に行ったら魅力的で『彼女はケイン役にぴったりだ』と思えたんです。」
 藤元監督は、撮影についてこう述べています。
 「『ドキュメンタリー風に撮ろう』とは意識していなかったんです。もともとフレームをしっかり決めて、どしっとフィックスで撮りたかったですが、撮影開始すぐに動き回る子どもたちをみて『この撮り方は違う』と思ったんです。フレームの中に子どもたちを押し込めるのではなくて、子どもたちをカメラが追うのでなければ、って。」
 ストーリーが実話で、キャストが実際の親子だということに映画を観た後に知って、だからこその出来栄えだと実感しました。
 それにしても、ストーリー通りに子どもたちの演技が、「ドキュメンタリー」のように進行していく様子は圧巻でした。
 主役であるお兄ちゃんの演技は素晴らしかったです。同時に、弟の「お父さんに会いたい」「お母さんに合いたい」と愚図る演技は自然でした。
 この映画には日本の難民認定制度の問題点が大きなテーマとなっています。法務省入国管理局・難民審査参与員でもある名古屋大学講師の浅川晃広さんは、この映画について「難民認定制度はもちろん、在日外国人の雇用、いわゆる移民一世と移民二世の関係と確執、外国人と言語、外国人の子供の教育、外国人の母国への帰還と再適用(いわゆる『帰還移民』)、といった移民政策研究の立場から見ても、あまりにも多くの論点が盛り込まれている。」と映画のパンフレットで述べています。
 外国人問題では、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんの事件で入管制度の問題点が大きくクローズアップされました。
 この映画は、外国人問題を考えていく上で大きな示唆を与える作品でもあります。
 やはり、この映画は、今のミャンマーに想いを馳せる作品です。
 ミャンマーに帰還した親子は、今、元気なのだろうかと考えてしまいます。
 ミャンマーは今年2月1日に起きたクーデター以降、国連の発表では、軍の弾圧による死者はすでに138人にのぼると言われています。
 ミャンマーは仏教国という繋がりもあり、念仏者9条の会の関係で、ミャンマーを支援するZOOM会議に数回参加しました。
 それ以来、私は、「自由、平等、正義」の3本の指を立てるミャンマー民主化のシンボルをデザインしたバッチを付けて、議員活動を続けています。
 2010年代中頃の映画に出てくるサイゴンの街はとても活気があるものですが、今は、どうなっているのでしょうか。
 いつしか、私の夢は、国軍の暴挙がおさまり、ミャンマーに民主主義が回復した暁には、是非ともミャンマーに足を運びたいと思います。
 今回の映画の売り上げは、ミャンマーの市民を支援する資金となるとのことです。
 この映画は、東京国際映画祭「アジアの未来」部門でグランプリと監督賞を受賞するなど、国際映画祭での賞を相次いで受賞しています。
 藤元監督、素晴らしい作品をありがとうございました。これからもミャンマーを始め、私たちが知りたい問題をダイナミックな映画として紹介していただきたいと思います。
 映画館で近日公開作品であるジョニー・デップ主演の映画「MINAMATA」が紹介されていました。年末には、「MINAMATA」を観たいと思います。
 映画は人生を豊かにしてくれます。皆さんの最近ご覧になった映画の感想をお聞かせ下さい。

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