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気候ネットが宇部市の石炭火力発電所計画取り止めで声明

 16日、電源開発と宇部興産は、宇部市西沖の山での石炭火力発電所建設計画の取り止めを発表しました。

 特定非営利活動法人気候ネットワークは、16日、「電源開発による西沖の山発電所(仮称)新設計画の計画取り止めを歓迎する~石炭火力発電のフェーズアウトへ、他の計画見直しを~」とする声明を発表しましたので以下紹介します。

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電源開発による西沖の山発電所(仮称)新設計画の計画取り止めを歓迎する

~石炭火力発電のフェーズアウトへ、他の計画も見直しを~

2021年4月16日

特定非営利活動法人気候ネットワーク

代表 浅岡美恵

2021年4月16日、電源開発及び宇部興産は西沖の山(仮称)発電所の石炭火力発電所の新設計画を断念し、計画を白紙撤回することを公表した。本案件は2020年7月に梶山経済産業大臣から既存の非効率な石炭火力発電の休廃止の方針が示され、同10月に菅首相が2050年カーボンニュートラルを宣言した状況下で残されていた新規石炭火力発電所の計画の一つであった。計画は当初60万kW2基を建設するものだったが、大阪ガスが撤退を決めた後、両社は、60万kW1基に規模を縮小し、酸素吹石炭ガス化複合発電(IGCC)への変更を検討するとして計画を継続する方針を2019年4月に発表していた。

両社は本日のプレスリリースの中で、「本計画が位置する西日本エリアにおいて、電力需要は横ばいで推移すると見込まれることや、再生可能エネルギーの導入が拡大していることなど、事業環境を巡る状況を総合的に判断した結果、本計画を取り止める」と述べている。私たちはかねてより、本計画は気候変動に甚大な影響を及ぼすだけでなく、電源開発および宇部興産の企業価値を毀損するものだと指摘するものであり、日本の脱炭素社会の形成・発展、企業の持続的な中長期的成長のために計画を白紙撤回することを求めてきた[1]。本計画の中止により、少なくとも年間360万トンのCO2排出(日本の年間温室効果ガス排出量の0.3%)が回避される(60万kW、USC1基とした場合)。今回両社によって示された企業判断はその要請に沿うものであり歓迎したい。

なお、下表の通り、現在も、関電エネルギーソリューション、丸紅、コベルコパワー神戸第二、JERA等、多くの事業者が、石炭火力発電所の建設計画を継続している。今回の両社の決断は、それらの事業者に対しても、経営判断の観点から再考を促すものである。

とりわけ、西沖の山以外で新規石炭火力発電所計画のなかで西沖の山の他に着工に至っていない丸紅と関電エネルギーソリューションによる秋田港発電所(65万kW×2基)計画については、未だ正式な中止の発表はされていないが、環境アセスメント終了の時点で動きが止まっている。同案件も白紙撤回されれば、西沖の山発電所1基分とあわせて、日本の温室効果ガス排出量の1.1%に相当する年間1,226万トンのCO2の追加的排出が回避されることになる。さらに、現在建設工事中の案件も含めると、これらの新設計画による排出量は年間5,000万トンを超え、日本の排出の4%に相当する。石炭火力の新設計画を見直すことで、現在、検討されている2030年の温室効果ガス排出削減目標引き上げに大きく貢献する。

気候ネットワークは、脱炭素社会の実現と事業者の経営リスク回避の観点から、これらの事業者に対して石炭火力新設問題を真摯に受け止め、建設段階にある計画も含め、中止することを求める。さらに政府に対し、石炭火力発電所の新設・拡大方針を抜本的に見直し、速やかに中止すること、及びすべての既存発電所を、目標年次を明確に定めたうえで、フェーズアウトの具体的な道筋を描き、その着実な実施を改めて求める。

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 山口県内で、建設中の石炭火力発電所は、周南市で進められています。発電所名は、徳山製造所 東発電所 3号。施設容量300MW。2022年4月運転開始予定です。

 気候ネットワークの声明通り、建設中の石炭火力発電所の方針の抜本的見直し、及び既存発電所のフェーズアウトの着実な実施への方針を確立していくことが今後求められていると思います。

 宇部市の石炭火力発電所計画が中止される方向です。引き続き、この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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