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県の「新集中的実施計画」に新規入所者の検査がないのはなぜか?

  山口生活と健康を守る会が発行する「社会保障資料(2021年4月臨時号)」は、県が策定した「新集中的実施計画」を特集しています。

 「社会保障資料」は以下の通りです。

・・・

  山口県は、厚生労働省の3月22日付け事務連絡を受けて、高齢者施設等の従事者に対するPCR検査の実施計画「新集中的実施計画」を策定、4~6月に県下454カ所の高齢者・障がい者施設、精神科・療養型医療機関で検査を実施することとしました。

【厚生労働省事務連絡「4月以降の高齢者施設等の検査について(要請)」の概要】
 都道府県、保健所設置市、特別区は、以下の①~⑧のいずれも満たす新集中的実施計画を3月29日までに策定すること。
① 対象地域は保健所等の区域(保健所管轄区域の全部または一部)を単位とすること。
② 対象施設種別を地域の実情に応じて設定すること。障害者施設、医療機関の実施も検討
すること。
③ 高齢者施設の従事者は必ず含めること。その他、外部と接触のある新規入所者なども含めることを検討すること。
④ 検査の実施は基本的に施設単位で行い、各施設の希望を確認し充分な配慮を行うこと。
⑤ 検査方法(個別検体によるPCR検査・抗原定量検査、検体プール方式によるPCR検
査・抗原定性検査など)を定めること。
⑥ 適切な頻度を定め、定期的に検査を実施すること。2~3月に行われた「集中的実施計画」
では週1回、2週間に1回などの事例もあり、参考にすること。
⑦ 感染症法に基づく行政検査として実施するものか、それ以外の地方公共団体の独自事業
として実施するものかを区別して計画に記載すること。
⑧ 検査は6月までを目途に実施すること。

  山口県の「新集中的実施計画(2021年4月~6月)」の内容は次のとおりです。
  〔対象地域と実施区分〕
   ○岩国市・周南市・山口市・宇部市・山陽小野田市・下関市(これまでに感染者の累計が100人以上で、かつ、クラスターの発生した6市)⇒行政検査として実施
   ○その他の13市町⇒県の独自事業として実施
 〔対象施設〕
  ○介護保険施設288カ所(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・認知症グループホーム・介護療養型医療施設・介護医療院)
  ○障害者施設101カ所(障害者支援施設(入所施設)・共同生活支援事業所・自立訓練事業所(宿泊型)・福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設)
  ○医療機関65カ所(精神科入院医療機関・療養型医療機関)
 〔対象者〕
  ○施設従事者(施設に勤務する事務職員、給食職員、運転職員などを含む)
 〔検査方法〕
  ○唾液採取によるPCR検査 ※民間検査機関を活用予定(業務委託)
 〔検査頻度〕
  ○計画期間中1施設当たり1回
 
▽評価と疑問点
 国の全国要請を受けてとは言え、山口県でも高齢者施設等の従事者を対象にPCR検
査を行うに至ったことは一応評価できます。
 しかしながら、一方で、①対象地域を行政検査として実施する6市とそれ以外の13市町に区分したことで検査の実施に濃淡が生じないか、②高齢者施設を介護保険施設に限定しているが、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅を対象外とした理由は何か、③検査対象を入所施設の従事者に限定しているが、通所・訪問事業所の従事者は検査しないのか、④事務連絡で言及されている新規入所者が検査対象となっていないのはなぜか、⑤検査頻度について、事務連絡では週1回、2週間に1回といった頻度に言及しているのに、計画では期間中に1回とした理由はなにか、などの疑問があります。
 また、保育所など他の福祉施設や医療機関、教育施設でのPCR検査や地域でのモニタリング検査について、県はどう対応しようとしているか不明です。
 いずれにしても、山口県は相変わらず国の方針を後追いするばかりで県独自の“検査戦略“が見えてきません。独自戦略で先進的な取組を行っている広島県を参考にして更なる拡充を図るべきと思うのですが・・・。

【広島県の取組~いつでも誰でも検査が受けられる(湯崎知事)~】
○全県民を対象としたPCR検査の実施
⇒県下5カ所(広島市中区・西区、東広島市、福山市、三次市)のPCRセンターで検体採取
⇒広島市内の指定薬局(約200カ所)で検査キットを配布
 ○転入者や県外往来者との接触者を対象にしたPCR検査の集中実施
  ⇒広島市内に特設会場(19カ所)を設けて検査キットを配布(2021.4.12~25)
 ○感染症指定医療機関、帰国者・接触者外来のある医療機関(50カ所)の医療従事者
を対象に月1回の定期的PCR検査(2021.9~)
 ○介護施設(475カ所)の従事者を対象に月1回の定期的抗原検査(2021.12~)

・・・

 「社会保障資料」にある「評価と疑問点」での指摘は重要です。

 また、広島県では、医療や介護施設の従業者に対して月1回の定期検査を行っているとの指摘も重要だと思います。

 山口県で高齢者施設等の職員に対して大規模な検査が実施されることは評価しつつ、更なる拡充に向けて、「社会保障資料」の指摘に大いに学んでいきたいと思います。

 山口県内の高齢者施設等の職員を対象に大規模な検査が始まります。

 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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