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映画「ファースト ラヴ」

 堤幸彦監督の映画「ファースト ラヴ」を観ました。
 原作をしっかり読み込み、映画を鑑賞したのは久しぶりだったかも知れません。原作も良し、映画も良し、合わせて「ファースト ラヴ」の世界観に浸っています。圧巻は、環菜役の芳根京子さんの演技でした。前から演技力のある俳優さんだと感じていましたが、「ファースト ラヴ」での演技は秀逸でした。
 そもそも、この物語がなぜ「ファースト ラヴ」なのか。映画のパンフレットの中で、多くの方が語っていますが、私は、公認心理師の福島哲夫さんの言葉に納得しました。
 「『ファースト ラヴ』というのは、人生の早期に、親や主たる養育者から受け取るものと言えるのではないでしょうか。それが思春期や青年期の愛に色濃く影響を与え、さらにその後の、現在もしくは未来に、いたわり、支え合える愛を形作っていく・・・。そのプロセスが、感動的に描かれている作品だと思います。」
 原作者の島本理生さんがこの作品を「ファースト ラヴ」と名付けた理由も、きっと福島さんの指摘の通りだろうと思いました。
 そう考えると、私は、私の両親や祖母など家族から「ファースト ラヴ」を十分に受けて育ったのだということを改めて感じました。
 そして、私は、4人の子どもたちの親として、十分な「ファースト ラヴ」を与えてきたのだろうかと考えさせられました。
 そして、この物語を読み、そして、観終わって、いつからでもやり直せるが、やり直すためにも、「ファースト ラヴ」が必要だということを感じました。
 父を刺した環菜と対峙する由紀と迦葉が、「環菜と真剣に向かえっているのか」と問い合うシーンがありますが、由紀と迦葉から環菜への「ファースト ラヴ」がこの映画の核心ではないかと思いました。
 私が、この映画で憧れたのは、由紀を支える我聞の姿です。
 彼は、由紀と出会う前は報道写真家でした。由紀は、我聞の写真に涙します。
 映画のパンフレットにフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが、作品の感想をこう書いています。
 「映画を観終えて強く心に残ったのは『いつか私が、自分の言葉で事件のことを書いてみたい』という環菜の最後の言葉です。それまで『お前は嘘つきだ』と言われ続けてきた環菜が、押し込めていた言葉を放ち、それを受け止めてくれる人がいたことで先に進むことができた。ラストの家族写真も、育児放棄され餓死寸前になるまで自分を見てくれる存在がいなかった迦葉に対する、『あなたのことを見ていますよ』という我聞からの意思表示であって。そうした愛に触れることで、自身の声が言葉を、それぞれが取り戻していく、そんな物語だと感じました。」
 2月14日付しんぶん赤旗日曜版が我が家に届きました。
 安田さんのインタビューが掲載されていました。安田さんは、仕事についてこう語っています。
 「写真を撮る仕事は人に会いに行くこと自体が仕事です。一緒にいさせていただく、時間をいただく、というもの。取材を通してたくさんの温かないただきものをしてきた、という感覚が強くあります。紛争地や被災地など、あれだけ厳しい環境で生き抜いている人々がいる。『伝える立場の私が絶望している場合ではない』ということを、取材で出会った人たちが教えてくれました。」
 議員と言う仕事も、人に合いに行く仕事です。その実態を質問として発言するのが議員の仕事です。この仕事に約30年関わってきましたが、「伝える立場の私が絶望している場合ではない」との想いは安田さんと共通するものがあると感じました。
 私は、「ファースト ラヴ」から多くの気づきと勇気を与えられました。
 映画「ファースト ラヴ」一人でも多くの方に劇場でご覧いただきたい作品です。ご覧になられた皆さんは感想をお聞かせ下さい。

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