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IT大手役員が知事補佐

 9日、NHK山口放送局は、県のデジタル化について次のように報じました。
 「山口県は、デジタル化の推進に向け、来年度、知事に提案や助言を行う『補佐官』のポストを儲け、IT大手の日本マイクロソフトや通信アプリ大手、LINEの幹部などを起用する方針を固めました。県は、最新の技術に精通した専門家を政策の策定に参加させ、デジタル化を加速させたい考えです。国は、『デジタル庁』の発足を予定しているなど、デジタル化を進めていますが、地方では、最新技術に精通した人材の確保が課題となっています。このため、山口県は、来年度、村岡知事がCIO=最高情報責任者に就任した上で、知事に、直接、提案や助言を行う『CIO補佐官』のポストを設け、民間の専門家を起用する方針を固めました。補佐官のポストは3つ用意され、県関係者によりますと、IT大手の日本マイクロソフトや、通信アプリ大手、LINEの執行役員などが就任する見通しだということです。県は、デジタル技術に精通した民間の専門家を政策の策定に参加させることで、県内のデジタル化を加速させたい考えです。あわせて、山口県は、新たに、デジタル化に向けた県の事業や県内の自治体との調整を統括する『デジタル推進局』を設置することにしていて、一連の政策でデジタル化がどこまで加速するか注目されます。」

 10日、朝日新聞山口版は県のデジタル化について次のように報じました。

 「県は、デジタル施策について村岡嗣政知事に提案や助言をする非常勤特別職の『補佐官』を2021年度に新設し、IT大手・日本マイクロソフトの執行役員ら3人を登用する方針を固めた。デジタル技術に関する専門知識をもつ人材が政策決定に関わる体制をつくることで、産業の担い手の高齢化など県の抱える課題解決につなげるねらいがある。3人は、日本マイクロソフト、通信アプリ大手『LINE』の執行役員と、デジタル技術を活用して地域課題の解決に取り組む一般社団法人『コード・フォー・ジャパン』の代表理事。村岡知事は21年度に新たに設けるCIO(最高情報責任者)に就任し、3人は『CIO補佐官』として専門的知見から知事を直接サポートする。また、県が21年度に新設する方針を示したデジタル施策の専門部局は、総合企画部内に『デジタル推進局』として置く。県庁の情報システムやネットワークに関する予算はこの推進局に一元化され、全国知事会や市町との連携も担う。デジタル技術活用の取り組みを後押しするため、県民や民間企業、大学などが抱える地域課題の相談先となる『DX推進官民協働フォーラム』や、市町へのデジタル技術の支援などを担う『DX推進拠点』を設ける方向で調整している。」
 総務省は、昨年12月25日に「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を発表し、各自治体における取組の指針となる国による支援策を明らかにしました。対象期間は、2021年1月から2026年3月です。
 自治体DX推進計画の柱の第一は、「推進体制の構築」です。首長、CIO、CIO補佐官等を含めた全庁的なマネジメント体制の構築、デジタル人材の確保・育成などを示しています。
 NHKや朝日新聞が報じた山口県のデジタル化の内容は、総務省が示した「自治体デジタルDX推進計画」の具体化そのものです。
 日本共産党県委員会と県議団が村岡知事に行った新年度予算編成への要望の中で、行政の「デジタル化」について以下の点について要望しています。
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 〇行政の「デジタル化」(DX)について
①「デジタル化」は、行政手続きのオンライン化や業務の民間委託などによる「自治体リストラ」の手段とするのではなく、職員が全体の奉仕者としての役割を発揮でき、行政サービスを向上させ、労働負担を軽減するための補助手段として活用する、ことを大原則とする。
②マイナンバーカードの普及促進、各種給付の迅速化を口実にした行政手続きのオンライン化などを通じた個々人の所得や資産、医療、教育などの「個人情報」の収集、それを悪用した社会保障の給付抑制は行わない。
③行政のデジタル化を踏まえ、個人情報保護条例に、どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないよう関与する権利、自己情報のコントロール権、情報の自己決定権を保障することを加える。
④行政手続きのデジタル化、オンライン化を推進する際は、多様で多面的な住民ニーズに応えられる対面サービスの維持・向上にも努める。
⑤デジタル化の推進にあたっては、障がい者や高齢者などデジタルを使いこなすことが困難な条件や環境にある人、経済的事情でIT機器が利用できない人など、デジタル・デバイド(利用できる人と利用できない人との間に生じる格差)の是正・解消に取り組む。
⑥自治体の独自サービス低下や行政情報の公開抑制などにつながる行政サービスのシステムの統一・標準化を強要しない。

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 白藤博行専修大学教授は、しんぶん赤旗に「デジタル化と地方自治」として次のように述べています。

 「政府が推進するデジタル化は、住民の生活の改善や地方自治の充実とは無縁の代物です。安倍政権以来の経済成長戦略の延長上にあり、各国企業・国家間の争いに勝ち残ることにのみ関心がある、国家目的のためのデジタル化であることを忘れてはなりません。政権は、新型コロナ感染症対策の失敗の原因をデジタル化の遅れにしたいようですが、とんでもない話です。例えば、住民のいのちと健康を守る砦であるべき保健所や公立病院を減らし続けた政策の失敗であり、デジタル化の遅れは何も関係ありません。」

 「すべての問題は『デジタル集権化』に行きつきます。国や大企業が個人から情報を吸い上げ、管理統制を強めていくようなデジタル化では、暮らしも地方自治も破壊されます。デジタル化で便利になるといっても、個人の尊厳やプライバシーを侵さない仕組みやルールをはっきりさせた上で進めなければ身も凍えるような行政になりかねません。個人情報が民間企業等に不用意に流れないように、そして個人情報を自己コントロールできるようにすることが不可欠です。」

 白藤先生の指摘に照らして、山口県のデジタル化をチェックしていきたいと思います。

 新年度から山口県のデジタル化が加速しようとしています。

 皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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