文科省は、7月17日「公立の義務教育諸学校の教育職員の給与等に関する特別措置法施行規則の策定及び『公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針』の改正等について」を都道府県教育委員会などに通知しました。文科省は、これら通知の中で、「『休日のまとめ取り』のための一年単位の変形労働時間制の活用に当たっての条例・規則等への反映について(例)」を示しました。
文科省は、これら通知の中で「改正給特法の施行に向けたスケジュール(イメージ)」を示し、「第5条(変形労働時間制の活用)関係」について「9月議会で条例制定」し「令和3年度から施行」するよう促しています。
私は、今年2月県議会で、公立学校の教員に対する変形労働制導入を可能とする法改正への対応について質しました。
私は、この制度の「導入の前提」が「労働時間の縮減」であり、具体的には時間外業務について月45時間、年360時間を上限とすることとなっていることを示し、①県教委は、2017年度からの3年間で教員の時間外業務時間の30%削減を目標に取り組んできた。その進捗状況、達成の見通しを示せ。②変形労働制の適用に当たっては、時間外業務時間が月45時間、年360時間の範囲内の教員に限定されていると考えるが、どうか。③検討にあたっては、少なくとも各教員の勤務時間を調査し、全員が国指針の範囲内と確認されることが制度導入の前提と考えるが、どうか。と3点を質しました。
副教育長は、①について「平成28年度に比べて、今年1月現在で、小学校は0.7%の増、中学校は4.9%の減、県立学校は10.6%の減と、現時点では、目標達成に向けて厳しい状況にあると認識しています。」と答えました。
又、②③については、「変形労働制の導入については、法の施行が令和3年4月となっており、引き続き国の動向を注視してまいります。」と具体的な言及を避けました。
山口県教職員組合が発行する「山口教育」(8月10日発行)は、「消毒や感染防止対策に時間も労力も奪われる中で、一人ひとりの子どもたちに寄り添いながら、大幅な教育課程変更を迫られる学校現場は制度導入の前提がないにもかかわらず『導入ありき』の無責任な態度は到底許されるものではありません。」「萩生田文科大臣が『まず各学校で検討の上、市町村教委と相談し、・・・』(2019年12月3日参議院・文部科学委員会)『対象者を決めるに当たっては、校長がそれぞれの教師と対話をし、その事情をよく汲み取る』(11月22日参議院本会議)と述べている通り、『学校の意向を踏まえ』るよう、各学校での話し合いが重要です。文科省が示した改定特措法第7条の『指針』に係るQ&Aの問43には『教育委員会は、校長及び教育職員が丁寧に話し合い、共通認識を持って本制度を活用することが重要』とあります。」と指摘し、県教委が現場の声を十分聞くことなく、文科省の「スケジュール表」通りに、9月県議会に変形労働制導入を認める条例提出を厳しく批判しています。
冒頭指摘した文科省の通知等の中で、「対象となる教職員の在校等時間に関し、指針に定める上限時間(42時間/月、320時間/年等)の範囲内であること」などを前提としています。私が2月県議会で指摘をした時間より少ない時間を上限としています。県内の教員の時間外業務時間はこの3年間で3割減どころか、小学校では増加している状況です。制度を導入する前提にないことも明らかです。
コロナ禍の中で、県内の各学校では夏休みが短縮され、制度の前提である「繁忙期」、「閑散期」がなくなっているのが実態です。
あらゆる意味で、県教委は、文科省のスケジュール表の通り、9月県議会に変形労働制導入を認める条例提出をすべきではないと考えます。
教育現場で今、求められているのは、変形労働制の導入ではなく、少人数学級の実現のための大幅な教職員を増員することです。
文科省は、都道府県に変形労働制導入を認める条例を9月議会に提出するよう指導しています。皆さんはこの問題をどうお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。
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