議員日誌

1級河川水系における事前放流の仕組みを学ぶ

 昨日、日本共産党山口県議団は、国土交通省中国整備局河川部を訪ね、1級河川における治水協定に係るレクチャーを受けました。

 河川部の西尾河川保全管理官と下山広域水管理官から説明を受けました。

国土交通省レクチャー

中国地方整備局河川部の方からレクチャーを受ける

 内閣府に設置された既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議は、昨年12月に「既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針」を定めました。

 基本方針は、事前放流を実施するために、ダム管理者と利水事業者が治水協定を結ぶことを定めています。

 基本方針は、具体的に、1級河川のダムについては、今年度の出水期までに、治水協定を結ぶことを求め、都道府県管理の2級河川のダムについては、今年度から緊要性等に応じて順次、治水協定の締結を実行することを求めています。

 国土交通省は、基本方針に基づき、5月中に、全国全ての1級河川のダムで利水事業者との治水協定を締結しました。

 中国整備局管内では、12の1級水系・102ダムで、5月29日に、治水協定が締結されました。

 国土交通省が4月に作成した「事前放流ガイドライン」では、予測降雨量の算定を今まで39時間先までの予測を84時間先までに延長しました。

 事前放流とは、予測降雨量を計算し、最大で3日前から、貯水位低下量を下流に放流するものです。

 治水協定を締結後、岡山県の高橋川水系にある新成羽川ダムで、事前放流が実施されました。

 河川部の下山広域管理官(以下、下山管理官)は「84時間先の予測降雨量を算定することになったことから、ゲートレスダムにおいても事前放流が可能となった。山口県では、島地川ダムがその例である。」と説明しました。

 また、下山管理官は、治水協定締結に合わせて、各ダムで事前放流の実施要領を策定したことも明らかにしました。

 国土交通省のガイドラインには、「事前放流後に水位が回復しなかった場合の対応」として「損失補填制度」が明記されています。

 例えば、水道なら、利水事業者の広報等活動費及び給水車出動等対策費用の増額分を地方整備局が負担することなどをガイドラインは定めています。

 私は、「2級河川の損失補填制度は、都道府県が担保するのか、都道府県の損失補填に対する国の財政措置はあるのか。」とたずねました。

 下山広報官は「2級河川の損失補填制度は、基本的には都道府県が担保することになる。都道府県から国に対して、損失補填に対する財政措置を求め声が上がっているが、地方へ財政措置は行われていない。」と答えました。

 今後、山口県で、事前放流に向けて治水協定を締結する場合、「損失補填制度」の創設が一つの課題になることが分かりました。

 下山広報官は、2級河川での治水協定締結の動きについて「岡山県笹子ヶ瀬ダムで締結に向けて作業が開始されたと聞いている」と答えました。

 その他、島根県や広島県で、2級河川での治水協定締結に向けての動きが開始されているとのことでした。

 最後に、西生河川保全管理官「ダムの事前放流を行うということは、周辺で大変な豪雨が降ることが近く迫っているということである。周辺住民の方々は、事前放流が行われることの意味をよく理解していただいて、避難行動につなげていただきたい。」と述べました。

 昨日、学んだことを6月県議会に生かしていきたいと思います。

 山口県も梅雨入りし、出水期となりました。河川行政に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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