議員日誌

検察庁法改定案と「日御子」

 安倍晋三・自公政権が15日の衆院内閣委員会でもくろんでいた検察庁法改定案の採決を、日本共産党、立憲民主党、国民民主党など野党のたたかいで断念に追い込みました。

 ツイッター上の「#検察庁法改正案に抗議します」の投稿は数百万件に上り、俳優の小泉今日子さんらも抗議の声を上げています。

 衆院内閣委員会での採択を断念に追い込んだ背景には、SNS上で短期間に広がった国民の反対世論の力があったことは確かです。

 世論を動かす大きな力になったのが、法曹界での反対の声の広がりです。

 山口県弁護士会を含め、全国で9割の弁護士会会長が検察庁法改正案に反対する声明を発表しました。

 更に、15日には、検察OBの方々が、検察庁法改定案に反対する声明を発表されました。

 検察OBの声明は次のように述べています。

 「本年2月13日衆院本会議で、安倍総理大臣は『検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした』旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ず内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる『朕は国家である』との中世の亡霊のような言葉を彷彿させるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著『統治二論』(加藤節訳、岩波文庫)の中で『法が終わるところ、暴政が始まる』と警告している。心すべき言葉である。」

 「正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。」

 今、帚木蓬生著「日御子」を読んでいます。

 2世紀から3世紀にかけて中国などとの交易のために各王に仕え通訳をしていた「あずみ」一族の物語です。

 「あずみ」一族には3つの掟があります。

 第一は「人を裏切らない」(仕える人には誠心誠意尽くし、自分の意にそぐわない行為をしたら命懸けで進言する)

 第二は、「人を恨まず、戦いを挑まない」(人がいつくしみを捨て邪悪な心をもつようになると、天の眼から人間が見えなくなり、天の恩恵が受けられなくなる)

 第三は、「良い習慣は才能を超える」(才能があるなしは大した問題ではなく、毎日同じ習慣を繰り返す不断の努力が重要)

 文庫本の解説で、文芸評論家の末國善己さんは、こう書いています。

 「現代の指導者が『天』に恥じないように生きることを心がけ、政治的な譲歩を『敗北』と考えなかった日御子のように、発想を変えて一歩を踏み出せば、平和外交が決して夢では終わらなかったことも納得できるだろう。」

 衆議院内閣委員会での審議の在り方について、日本共産党の穀田国対委員長はこう述べました。

 「これだけ国民の衆目を集めている法案をたかだか5時間程度で採択しようと提案すること自体、天をも恐れぬ所業だ」

 安倍首相は、「人を恨まず、戦いを挑まない」姿勢を失っているようです。

 「天の眼から人間が見えなくなり」まさに「朕は国家なり」となっているのではないでしょうか。

 私は「正しいことが正しく行われる国家社会」を今こそ望みます。

 私は、検察OBの方々の「人を裏切らない」「命懸けの進言」に心打たれました。

 検察OBの方々の声明はこう締めくくられています。

 「関係者がこの検察庁法改正の問題を賢察され、内閣が潔くこの改正法案中、検察幹部の定年延長を認める規定は撤回することを期待し、あくまで維持するというのであれば、与党野党の境界を越えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない。」

 日本を「法が終わるところ、暴政が始まる」国家にしてはいけません。

 心ある国民すべてが力を合わせ、検察庁法改正案に反対し、法案の強行をストップさせようではありませんか。

 そのために私もみなさんと一緒に力を尽くす決意です。

 検察庁法改定案について、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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