議員日誌

武器を買わされる日本

 年始に、映画を観に行った福岡市天神の書店で、東京新聞社会部編「武器を買わされる日本」(文春新書)を購入して読んでいます。

 購入を決めたのは、第3章で、イージス・アショアの問題が取り上げられているからです。

 今日は、イージス・アショアの問題に限って感想を述べていきたいと思います。

 まず、レーダー波の実測調査の問題についてです。

 この本は、以下のように指摘しています。

 「イージス・アショアのレーダーは開発中で存在しない。使ったのはまったく別の対空ミサイルのレーダーだった。陸自の中距離地対空ミサイルのレーダーを現地に運び込み、レーダー波を出して周辺のレーダー値を調べたが、出力や使用は全然違う。大気圏外まで追い掛けるイージス・アショアのレーダーとは比べものにならないほど小さい。ジャンボジェット機が空を飛ぶ原理を小さな模型飛行機で説明するようなもの。『アショアを想定した机上の計算値は正しい』と説明するだけのものだ。そもそも問題は、イージス。アショア自体のレーダー波の出力データなどが非公表のことだ。計算結果だけを見せつけられても、不安な住民からすれば不信が残るだけだ。住民の見学の機会までつくったが、『茶番だ』『本当に電波は出ているのかね』という声が出て評判は芳しくなかった。とにかく地元に一生懸命対応しているというポーズに過ぎなかった。」 

 防衛省は、昨年5月の説明資料で、「電波による周辺への影響はないことが分かりました」と結論付け、具体的に、「レーダーから半径230メートルより離れた場所では、人体への影響がなく、安全という結果になりました。」としました。

 昨年6月14日、村岡知事、藤道萩市長、花田阿武町長は、第4回目の照会を防衛大臣に行いました。

 この中で、防衛省が説明資料で示した数値の根拠について質しました。

 「半径230メートルより離れた場所では、安全」とする防衛省資料に対しては、知事らは「レーダーに供給する最大電力の時間平均値(P)、アンテナ利得(G)及び電力指向性係数(Dθ)のそれぞれの値。出店と数値の制度」を質しました。

 防衛省は、知事らが行った第四回目の照会に昨年12月17日に回答しました。

 半径230メートルの根拠となる数値等を求めた照会に対し防衛省は、「レーダーに供給する最大電力の時間平均値(P)、アンテナ利得(G)及び電力指向性係数(Dθ)の各値については、イージス・アショアのレーダーの具体的な性能を示すものであることからお示しすることはできません。」などと答えています。

 防衛省は根拠を示さず、「半径230メートルより離れた場所では、安全」と言っているとしか受け取りようのない回答です。

 「武器を買わされる日本」では、自衛隊OBからもイージス・アショア反対論が出ていることが明らかにされています。

 2018年9月、初代防衛相を務めた久間章生氏が会長を務める一般社団法人・国際平和戦略研究所のセミナーが開かれました。

 海上自衛隊OBで、弾道ミサイル防衛の第一人者である坂上芳洋氏が演壇に立って次のように話したとこの本にあります。

 「坂上氏はセミナーで『防衛省が選定したSSRは構想段階のもので、作ったためしがない。製造もしていなければ、試験もしていない。にもかかわらず防衛省がSSRにより高い点数を付けたのはおかしいのではないか』と疑問を呈した。『日本はミサイル射撃試験などの試験費の負担を強いられ、価格がさらに膨らむ可能性がある』。会場から驚きの声が上がり、齋藤斗志二元防衛庁長官は『これは国会が止まっちゃうくらいの話だな』と言ってのけ。た」

 「坂上氏が指摘した通り、SSRは弾道ミサイルを模した標的を探知・追尾したり、迎撃したりする種々射撃試験を行っておらず、日本政府が負担を強いられる可能性がある。レイセオン側の関係者によると、レイセオンではSPY-6の射撃試験に5憶ドル以上を要したといい、『(レイセオンが)実施した一連の試験のリストは公表することができないが、探知できる目標のサイズや捜査距離、デューティーサイクルとシステム負荷、迎撃中に不測の事態が発生した際の対処法などの性能確認は最低限、必要になる』と指摘する。さらに日本政府が米側から射撃試験を行うための試験施設の建設費の負担を求められていることも明らかになった。米ハワイ州カウアイ島の太平洋ミサイル試射場に設置されたSPY-6のサイトの建設には、数百億円がかかっているという。「維持・運用費など諸々を含めたら、総額は1兆円近くになるのではないか・・・』。国内の大手重工メーカーの幹部はため息交じりにそう呟いた。防衛省幹部は『さすがに1腸炎ということはないと思う』と首を横に振るが、全体像が示されていない中、そうした懸念を持つのも無理はないだろう。」

 村岡知事が、昨秋視察したSPY-6のミサイル試射場でした。これから、SSRのミサイル試射場が建設され、防衛省が負担する可能性があるとの指摘です。

 防衛省は、2018年7月に、イージス・アショアのレーダーをロッキード社のSSRに決めました。

 まさに青天井の価格のレーダーSSR。この点からも、イージス・アショア配備の再検証を行うべきだと思います。

 この本を読むにつれ、益々、イージス・アショアを今、萩と秋田に配備してはならないとの思いを強めました。

 イージス・アショア配備に関する皆さんのご意見を引き続き、藤本にお寄せ下さい。

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